51 / 79
051『保健室のフロ-レンス先生』
しおりを挟む
やくもあやかし物語 2
051『保健室のフロ-レンス先生』
朝飯前のラビリンスとくわせもの、二匹やっつけたので、それからは、まあ平和。
ただね、くわせものが食堂のみんなにいっぱい食べさせたので、みんなお腹の調子が悪くて保健室の前に長い行列をつくった。
「やくも、あなたは大丈夫なの?」
最後の一人を廊下まで見送って、養護教諭のフローレンス先生が声をかけてくれる。
「あ、わたしは食べる前だったから(^_^;)」
「あ、そうか、あの妖怪やっつけてくれたのよね」
「はい、なんとか。みんな大丈夫なんですか?」
「ああ、ほんとうに食べたわけじゃないからね」
「え、そうなんですか?」
「ああ、中の下という感じの妖怪だから本物を食べさせる力は無い、そんな気がしてるだけよ。ただ、食べたって感触は本物だから、ほんとうに具合が悪くなる」
「じゃあ、治療とかは?」
「胃薬と整腸剤よ」
「え、実際には食べてないのにですか?」
「気は心よ。いわば、食べ過ぎたって暗示が掛かってるわけだから、ていねいに話を聞いてお腹も診てやって、ていねいに調剤する。わたしは魔法使いじゃないから、チチンプイプイってわけにはいかないの」
「そ、そうなんだ、ご苦労さまでしたぁ(^_^;)」
お~~い やくもぉ~
情けない声がカーテンで仕切られたベッドからする。
「え、その声はハイジ?」
「ああ、あの子は魔法がかかる前に、けっこう食べてたからねえ(^△^;)」
「あはは、そうなんだ」
「「アハハハ」」
アハハハ……
先生と二人で笑うと、ベッドのハイジも笑う。まあ、だいじょうぶだろう。
ピンポンパ~ン
『教頭のメグ・キャリバーンから生徒諸君に連絡です。妖怪くわせもののために、体調を崩す生徒が多いため、御前の授業を中止します。行動は自由ですが、学校の敷地からは出ないように。午後の授業については後ほど連絡します。くりかえします……』
まあ、そうなるよね。
グウウウウウ……
納得すると、急にお腹が空いてきた。妖怪騒ぎで、まだ朝ご飯を食べていないことを思い出す。
食堂に行ってみよう、まだなにかあるかもしれない。
保健室の廊下を突き当りまでいくと、食堂にはまだだいぶあるのに美味しいそうな匂いがしてきたよ。
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの
051『保健室のフロ-レンス先生』
朝飯前のラビリンスとくわせもの、二匹やっつけたので、それからは、まあ平和。
ただね、くわせものが食堂のみんなにいっぱい食べさせたので、みんなお腹の調子が悪くて保健室の前に長い行列をつくった。
「やくも、あなたは大丈夫なの?」
最後の一人を廊下まで見送って、養護教諭のフローレンス先生が声をかけてくれる。
「あ、わたしは食べる前だったから(^_^;)」
「あ、そうか、あの妖怪やっつけてくれたのよね」
「はい、なんとか。みんな大丈夫なんですか?」
「ああ、ほんとうに食べたわけじゃないからね」
「え、そうなんですか?」
「ああ、中の下という感じの妖怪だから本物を食べさせる力は無い、そんな気がしてるだけよ。ただ、食べたって感触は本物だから、ほんとうに具合が悪くなる」
「じゃあ、治療とかは?」
「胃薬と整腸剤よ」
「え、実際には食べてないのにですか?」
「気は心よ。いわば、食べ過ぎたって暗示が掛かってるわけだから、ていねいに話を聞いてお腹も診てやって、ていねいに調剤する。わたしは魔法使いじゃないから、チチンプイプイってわけにはいかないの」
「そ、そうなんだ、ご苦労さまでしたぁ(^_^;)」
お~~い やくもぉ~
情けない声がカーテンで仕切られたベッドからする。
「え、その声はハイジ?」
「ああ、あの子は魔法がかかる前に、けっこう食べてたからねえ(^△^;)」
「あはは、そうなんだ」
「「アハハハ」」
アハハハ……
先生と二人で笑うと、ベッドのハイジも笑う。まあ、だいじょうぶだろう。
ピンポンパ~ン
『教頭のメグ・キャリバーンから生徒諸君に連絡です。妖怪くわせもののために、体調を崩す生徒が多いため、御前の授業を中止します。行動は自由ですが、学校の敷地からは出ないように。午後の授業については後ほど連絡します。くりかえします……』
まあ、そうなるよね。
グウウウウウ……
納得すると、急にお腹が空いてきた。妖怪騒ぎで、まだ朝ご飯を食べていないことを思い出す。
食堂に行ってみよう、まだなにかあるかもしれない。
保健室の廊下を突き当りまでいくと、食堂にはまだだいぶあるのに美味しいそうな匂いがしてきたよ。
☆彡主な登場人物
やくも 斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生 ミチビキ鉛筆、おもいやり等が武器
ネル コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女 ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン 教頭先生
カーナボン卿 校長先生
酒井 詩 コトハ 聴講生
同級生たち アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン ロージー・エドワーズ
先生たち マッコイ(言語学) ソミア(変換魔法) フローレンス(保健室)
あやかしたち デラシネ 六条御息所 ティターニア オーベロン 三方 少彦名 朝飯前のラビリンス くわせもの
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる