上 下
7 / 84

007『先代ボビーの墓参り』

しおりを挟む
やくもあやかし物語・2

007『先代ボビーの墓参り』 




 ネルが入って、うちの女子は8人になった。

 あ、聴講生の詩(ことは)さんを入れると9人ね。



 マシになったとはいえ、もともとコミュ障のわたしは全員とは仲良くなれていない。



 ちなみに、女子のクラスメートは以下の通り。

 アーデルハイド・クロイセン   みんなからハイジと呼ばれてる活発な子。

 アイン・シュタインベルグ    アインシュタインとは関係ないらしいけど、頭は良さそう。

 アンナ・ハーマスティン     どんな? そんな? あんな? まだよく分からない。

 オリビア・トンプソン      良家のお嬢さん まだよく分からない

 コーネリア・ナサニエル     ネル ノッポのルームメイト エルフ  気が合いそう

 ベラ・グリフィス        天文台みたいな苗字  まだよく分からない

 ヤクモ・コイズミ        わたし

 ロージー・エドワーズ      バラみたいな名前  まだよく分からない



「ねえ、ボビーを見に行きません?」

 
 言語学の授業が終わるとオリビアが声をかけてきた。

 クラス一番の美人でお嬢のオリビアに声を掛けられて、ちょっとドギマギ。

「お、いくいく!」

 わたしが返事する前にネルが割り込んできて、これにハイジが加わって四人で見に行くことになる。

 言語学のあとはランチなので、いつもより早く食べて、ボビーの住家である衛兵詰所に向かう。

 前にも言ったけど、学校は王宮の敷地の中にある。

 宮殿と『王室管理』の札が掛かっていないところ、それから、森の奥と夜のヤマセン湖は立ち入り禁止。

 

 衛兵詰所は、王宮正門脇の石造り。



「ちょっと入りにくいね」

 鉄砲持った兵隊さんが等身大のフィギュアみたいに立っている。

「裏に周ってみましょう」

 オリビアの意見で裏に周ると、ちょうどソフィー先生がボビーを引き連れて出てくるところだった。

「なんだ、お前たち?」

「えと……」

「「「ボビーを見に来ました!」」」

 わたしが言い淀んでいると、三人が声を揃えて返事をする。

「そうか……ちょうどいい、これから先代ボビーの墓参りに行くところだ。ネルとオリビアは免許を持っていたな?」

「「ハイ」」

「お前たちは、向こうのカートに乗って付いてこい」

「「「「ハイ!」」」」

 ウィーーン

 あれ?

 ソフィー先生のカートは回れ右して宮殿の方に進んで行く。

「いったん降りろ」

 宮殿の前に付いて、下りるように言われる。

「アテーンション!」

 いきなり号令を掛けられ、条件反射で気を付けする。

 

 え?



 なんと、宮殿の正面玄関から王女と聴講生の詩(ことは)さんが出てきた。

「あら、あなたたちも来てくれたんだ(^▽^)」

 満面の笑顔で喜んでくださる王女さま。

 詩さんは侍従さんに車いすを押してもらっていたんだけど、一言告げると侍従さんは、こちらに会釈して行ってしまった。

 これは、代わりにお世話しろということだ。

 ちょっと緊張して詩さんの方に足を向ける。

「「あ、大丈夫よ」」

 王女と詩さんもハモって、みんなでクスクス笑う。

 控え目だったけど、ソフィー先生が笑うところを始めて見たよ。

 もう一台のカートにはリフトが付いていて、あっという間に準備が整う。



 ワン!



 ボビーが一声あげて、二台のカートはお墓参りに出発したよ。



☆彡主な登場人物 

やくも        斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
メグ・キャリバーン  教頭先生
カーナボン卿     校長先生
酒井 詩       コトハ 聴講生
同級生たち      アーデルハイド メイソン・ヒル オリビア・トンプソン

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

魔法少女マヂカ

武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
マヂカは先の大戦で死力を尽くして戦ったが、破れて七十数年の休眠に入った。 やっと蘇って都立日暮里高校の二年B組に潜り込むマヂカ。今度は普通の人生を願ってやまない。 本人たちは普通と思っている、ちょっと変わった人々に関わっては事件に巻き込まれ、やがてマヂカは抜き差しならない戦いに巻き込まれていく。 マヂカの戦いは人類の未来をも変える……かもしれない。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

異世界転移したロボ娘が、バッテリーが尽きるまでの一ヶ月で世界を救っちゃう物語

京衛武百十
ファンタジー
<メイトギア>と呼ばれる人型ホームヘルパーロボット<タリアP55SI>は、旧式化したことでオーナーが最新の後継機に買い換えたため、データのすべてを新しい機体に引継ぎ、役目を終え、再資源化を迎えるだけになっていた。 なのに、彼女が次に起動した時にいたのは、まったく記憶にない中世ヨーロッパを思わせる世界だった。 要人警護にも使われるタリアP55SIは、その世界において、ありとあらゆるものを凌駕するスーパーパワーの持ち主。<魔法>と呼ばれる超常の力さえ、それが発動する前に動けて、生物には非常に強力な影響を与えるスタンすらロボットであるがゆえに効果がなく、彼女の前にはただ面倒臭いだけの大道芸に過ぎなかった。 <ロボット>というものを知らないその世界の人々は彼女を<救世主>を崇め、自分達を脅かす<魔物の王>の討伐を願うのであった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

魔双戦記アスガルドディーオ 神々の系譜

蒼井肇
ファンタジー
手に紋章が浮かび上がった。それは魔神イフリートの紋章だった。魔剣イフリートの継承者ファイは魔神剣士として、三大世界構造アスガルドに侵攻してくる魔王アガスラーマとの戦いの日々が仲間たちと始まる。 第三シリーズ始動。闇の王の戦いの末、魔族フォライーが現る。エトワル帝国の皇太子が復活の書というものを持っているのだが。 バトルファンタジー。 主人公ファイ、美剣士ヒョウ、魔法騎士キュラ。天才魔法使いエリュー、 戦いの絵巻は続いていきます。 連載再開です。応援よろしくお願いします。 (更新、滞っていましたが、毎日更新していきます。応援よろしくお願いします。キャラ、物語など気に入ってもらえたら、お気に入りお願いします)お気に入りありがとうございます。 読者様の応援が頼りです。読者様の応援が作者の書く気力にかわります。 第十章スタート! 復活するのか! 更新滞っていましたが、更新していきます。 *表紙キャラ、ファイ。  (ファウストプリンセス、∞インフィニティナイツにもファイ出てます。魔双戦記サイドストーリー) 魔双戦記とリンクしています。

処理中です...