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249『お祖父ちゃんのクイズ』
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せやさかい
249『お祖父ちゃんのクイズ』さくら
スマートやってんなあ!
お祖父ちゃんが感心した。
感心したというても、うちがスマートになって、それに感心したというわけやない。
ほんなら、詩(ことは)ちゃんか? 今さら感心せんでも、詩ちゃんはスマートのナイスバディーや。
まさかテイ兄ちゃん?
いえいえ、坊主としてはまあまあやと思うけど、男としてスマート……ちゃうなあ。
留美ちゃん? 清楚とかケナゲという形容詞がしっくりくる。
では、お祖父ちゃんは、何に感動して「スマートやってんなあ!」と感動したのか?
「テレビやがな、テレビ、スマートテレビとは思わんかった!」
リビングのテレビはプレステ4がカマシタあるから、ユーチューブとか動画サイトは見られるんやけど、そういう操作は難しいんで、動画を見る時は自分の部屋ということが多いお祖父ちゃん。
「それが、このテレビでも観られるんや!」
ヒマにあかしてリモコンを弄ってるうちに発見した。
「これで、わし一人の時も、大きいテレビで動画が観られる!」
なんか時めいてる。
お祖父ちゃんは住職家業の第一線から引いてからは、暇を持て余してる。
元来が人恋しいジジイやさかい、大人しい自分の部屋に籠ってるのはきらい。用もないのにリビングに居って、家族の気配を感じながら、本を読んだりテレビを観たり。
ところが、最近のテレビは面白ないということに思い至って、ユーチューブとか観ることに喜びを見出したというわけ。
「よかったね、お祖父ちゃん(^▽^)」
孫としては、やっぱり喜びを共有したげなあかん……けなげな孫やなあ(^_^;)。
で、その日は、横に座ったげて、いっしょに動画を観てあげたたんやけど、二日目には飽きて、そのあくる日。
「ちょっと、これ見てみい」
留美ちゃんと学校から帰って来ると、お祖父ちゃんに呼び止められる。
これは、ちょっと優しいしたげたのに調子づいて、わたしらの貴重な時間を浪費させる気ぃらしい。
「またあとで」と逃げたいねんけど、留美ちゃんに怒られそうなんで「なになに?」と、お祖父ちゃんの横に座る。
ちなみに、ほんまに興味がある時は「え、なになにぃ?」になる(留美ちゃんの説)。「なになに?」いうのは、ほんの付き合いで言うときらしい。ほんなら、いつでも「え、なになにぃ?」と言うとけばええねんけど、それは、たいへんわざとらしいので逆効果やと言われてる。
「NHKの昔の番組、第一回目の冒頭やねんけどな、なにか分かるか?」
そう言うて、リモコンのボタンを押すと、それが始まった。
白黒やから、めちゃくちゃ昔やねんけど、映ってるのは線路の真ん中のコンクリート製の枕木から、真っ直ぐ先を映した画面。
「……新幹線かな?」
留美ちゃんが呟く。
すると、彼方に白い点のようなものが現れて、みるみる大きくなってきて、数秒で新幹線やと分かる。
パオーーーーーン! ガタンガタン ガタンガタン ガタンガタン ガタンガタン!
カメラの真上を通って、新幹線は轟音と共に過ぎ去っていくところで画面が停まってしまう。
「さ、この第一回目の番組はなんやろ?」
ちょっと意地悪な、それでも面白そうに、うちと留美ちゃんに振ってくる。
「あ、プロジェクトX! 新幹線はゼロ系だったし、レールも、高架も真っ新で、これは試験運転か、開業間もないころの映像だと思います!」
留美ちゃんが博識ぶりを発揮する。うちは、皆目わかりませ~ん(^_^;)
「う~ん、ええ線ついてるけど、違うねんなあ」
不正解になってお祖父ちゃんは嬉しそう。
「ええ、じゃあ、なんだろ?」
「ヒント、大河ドラマの第一回目や」
「大河ドラマ……新幹線ということは現代劇ですね!」
「あ、そない言うたら、勘九郎が出てたオリンピックのん、あったやん!」
「ああ……でも、あれは最近のだから、カラーでハイビジョンだよ」
「あ、そうか……」
「ヒント2、これが放送された時はNHKの中で大騒ぎになってなあ」
「え、なんでえ?」
「大河ドラマの冒頭に教育テレビのビデオが流れてしもたいうて、技術系の職員はひっくり返ったらしいで」
お祖父ちゃんは、なんや、嬉しそう。
「う~ん……降参です」
「降参かあ(^▽^)/」
「あ、お祖父ちゃん、うちにも聞いてえやあ」
「なんや、さくら、分かるんか?」
「さくらには分からへんやろて、スルーされるのは傷つくしい」
「そうか、ほな、なんや?」
「わっかりませ~ん!」
「ハハハ、いっちょかみしよいう気概はええと思うで」
「で、正解はなんなんですか?」
「『太閤記』や」
「太閤記って……豊臣秀吉の一代記ですよね?」
「そうや、あんまり斬新な始まり方で、教育テレビのビデオが紛れ込んだ言うて、ちょっとした騒ぎになったんや。それで、教育テレビの方から大河ドラマの制作に『こういう紛らわしい演出をするときは、事前に知らせて欲しい』て異例の抗議がされたんや」
「アハハ、面白いですね(^▽^)」
「ハハ、ほんまや、で、教育テレビてなに?」
「教育テレビ知らんか?」
「いまのEテレビだよ」
「ああ、観たことないやつや」
「それで、なんで新幹線が出てきたか言うとなあ……」
「あ、ちょっと待ってください」
「どないしたん?」
「面白そうだから、自分で調べます!」
「おお、さすが留美ちゃん、偉いなあ(^_^;)」
お祖父ちゃんは褒めたけど、ほんまは、自分で種明かしをしたいのが見え見え。
まあ、こんなことでコミニケーションがとれる我が家は、けっこういい線いってると思ったよ。
せや、この話、頼子さんにも振ってみよ。
249『お祖父ちゃんのクイズ』さくら
スマートやってんなあ!
お祖父ちゃんが感心した。
感心したというても、うちがスマートになって、それに感心したというわけやない。
ほんなら、詩(ことは)ちゃんか? 今さら感心せんでも、詩ちゃんはスマートのナイスバディーや。
まさかテイ兄ちゃん?
いえいえ、坊主としてはまあまあやと思うけど、男としてスマート……ちゃうなあ。
留美ちゃん? 清楚とかケナゲという形容詞がしっくりくる。
では、お祖父ちゃんは、何に感動して「スマートやってんなあ!」と感動したのか?
「テレビやがな、テレビ、スマートテレビとは思わんかった!」
リビングのテレビはプレステ4がカマシタあるから、ユーチューブとか動画サイトは見られるんやけど、そういう操作は難しいんで、動画を見る時は自分の部屋ということが多いお祖父ちゃん。
「それが、このテレビでも観られるんや!」
ヒマにあかしてリモコンを弄ってるうちに発見した。
「これで、わし一人の時も、大きいテレビで動画が観られる!」
なんか時めいてる。
お祖父ちゃんは住職家業の第一線から引いてからは、暇を持て余してる。
元来が人恋しいジジイやさかい、大人しい自分の部屋に籠ってるのはきらい。用もないのにリビングに居って、家族の気配を感じながら、本を読んだりテレビを観たり。
ところが、最近のテレビは面白ないということに思い至って、ユーチューブとか観ることに喜びを見出したというわけ。
「よかったね、お祖父ちゃん(^▽^)」
孫としては、やっぱり喜びを共有したげなあかん……けなげな孫やなあ(^_^;)。
で、その日は、横に座ったげて、いっしょに動画を観てあげたたんやけど、二日目には飽きて、そのあくる日。
「ちょっと、これ見てみい」
留美ちゃんと学校から帰って来ると、お祖父ちゃんに呼び止められる。
これは、ちょっと優しいしたげたのに調子づいて、わたしらの貴重な時間を浪費させる気ぃらしい。
「またあとで」と逃げたいねんけど、留美ちゃんに怒られそうなんで「なになに?」と、お祖父ちゃんの横に座る。
ちなみに、ほんまに興味がある時は「え、なになにぃ?」になる(留美ちゃんの説)。「なになに?」いうのは、ほんの付き合いで言うときらしい。ほんなら、いつでも「え、なになにぃ?」と言うとけばええねんけど、それは、たいへんわざとらしいので逆効果やと言われてる。
「NHKの昔の番組、第一回目の冒頭やねんけどな、なにか分かるか?」
そう言うて、リモコンのボタンを押すと、それが始まった。
白黒やから、めちゃくちゃ昔やねんけど、映ってるのは線路の真ん中のコンクリート製の枕木から、真っ直ぐ先を映した画面。
「……新幹線かな?」
留美ちゃんが呟く。
すると、彼方に白い点のようなものが現れて、みるみる大きくなってきて、数秒で新幹線やと分かる。
パオーーーーーン! ガタンガタン ガタンガタン ガタンガタン ガタンガタン!
カメラの真上を通って、新幹線は轟音と共に過ぎ去っていくところで画面が停まってしまう。
「さ、この第一回目の番組はなんやろ?」
ちょっと意地悪な、それでも面白そうに、うちと留美ちゃんに振ってくる。
「あ、プロジェクトX! 新幹線はゼロ系だったし、レールも、高架も真っ新で、これは試験運転か、開業間もないころの映像だと思います!」
留美ちゃんが博識ぶりを発揮する。うちは、皆目わかりませ~ん(^_^;)
「う~ん、ええ線ついてるけど、違うねんなあ」
不正解になってお祖父ちゃんは嬉しそう。
「ええ、じゃあ、なんだろ?」
「ヒント、大河ドラマの第一回目や」
「大河ドラマ……新幹線ということは現代劇ですね!」
「あ、そない言うたら、勘九郎が出てたオリンピックのん、あったやん!」
「ああ……でも、あれは最近のだから、カラーでハイビジョンだよ」
「あ、そうか……」
「ヒント2、これが放送された時はNHKの中で大騒ぎになってなあ」
「え、なんでえ?」
「大河ドラマの冒頭に教育テレビのビデオが流れてしもたいうて、技術系の職員はひっくり返ったらしいで」
お祖父ちゃんは、なんや、嬉しそう。
「う~ん……降参です」
「降参かあ(^▽^)/」
「あ、お祖父ちゃん、うちにも聞いてえやあ」
「なんや、さくら、分かるんか?」
「さくらには分からへんやろて、スルーされるのは傷つくしい」
「そうか、ほな、なんや?」
「わっかりませ~ん!」
「ハハハ、いっちょかみしよいう気概はええと思うで」
「で、正解はなんなんですか?」
「『太閤記』や」
「太閤記って……豊臣秀吉の一代記ですよね?」
「そうや、あんまり斬新な始まり方で、教育テレビのビデオが紛れ込んだ言うて、ちょっとした騒ぎになったんや。それで、教育テレビの方から大河ドラマの制作に『こういう紛らわしい演出をするときは、事前に知らせて欲しい』て異例の抗議がされたんや」
「アハハ、面白いですね(^▽^)」
「ハハ、ほんまや、で、教育テレビてなに?」
「教育テレビ知らんか?」
「いまのEテレビだよ」
「ああ、観たことないやつや」
「それで、なんで新幹線が出てきたか言うとなあ……」
「あ、ちょっと待ってください」
「どないしたん?」
「面白そうだから、自分で調べます!」
「おお、さすが留美ちゃん、偉いなあ(^_^;)」
お祖父ちゃんは褒めたけど、ほんまは、自分で種明かしをしたいのが見え見え。
まあ、こんなことでコミニケーションがとれる我が家は、けっこういい線いってると思ったよ。
せや、この話、頼子さんにも振ってみよ。
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