122 / 432
122『造反有理』
しおりを挟むせやさかい
122『造反有理』
反逆すのるには道理がある……という意味らしい。
ほら、大仙高校の水道管破裂事故で、旧館の裏階段通って避難した時に壁に赤ペンキで書かれてた四文字熟語。
帰ってからテイ兄ちゃんに聞いたけど「仏教用語には無いなあ」という返事。お祖父ちゃんに聞いてみた。
「ああ、反逆するのには理由があるいう意味や」
え、当たり前やん。反逆とか反抗とかは、なんか気に入らんことがあってやるもんや。あ、『理由なき反抗』いうのもあったっけ。あれは映画やし。
「お祖父ちゃんが若かったころはなあ、あっちゃこっちゃで学園紛争ちゅうのがあってな。授業も受けんと、学校の中で暴れたり、もの壊したりしとった奴らがおった」
「校内暴力?」
「まあ、そんなもんやけどな。そこに理屈をつけよった。学校や社会は我々学生や生徒に、秩序への一方的屈従を強いるものであって、それは打倒され破壊されなければならない、とかな」
「なんや、難しいなあ」
「やってることは校内暴力や、褒められたもんとちゃう。せやけど、なんでそんなカビの生えたような言葉知ってんのん?」
「ああ、それはね……」
スマホの写真をお祖父ちゃんに見せる。
「これは……大仙高校か?」
「うん……て、なんで分かんのん?」
「わし、大仙の卒業生やからなあ」
「え、旧制中学!?」
交流会のファッションショーで見た詰襟の制服を思い出す。
「アハハ、そこまで歳やないわ」
そう言うと、お祖父ちゃんは衣を着て檀家周りに出かけて行った。
ネットで調べてみた。
造反有理いうのは中国の毛沢東(マオ・ツォートン)いう人が中国の体勢を倒したり、文化大革命(なんやろ、文化祭の革命?)やるときのスローガンやったとか。昔からあった『造反無道』のひねりみたい。
むつかしいので、大仙高校を調べる。
字ぃ読むのはメンドイから画像を見ると、旧校舎の写真、外観は、こないだ見た通りやったけど、内部は剥き出しの配管なんか無くてスッキリしてる。仁徳館いうのが正式な名前。文化祭やら地域の行事、選挙の演説会やら投票所にもなって、青春映画のロケにも使われた様子が写ってる。
いろんな思い出がある建物なんや。
スクロールすると、仁徳館に赤旗が林立して、立て看板が並んでるのがあった。これやろか、学園紛争いうのんは?
あ、造反有理や!
壁に、あの造反有理がピカピカのペンキで書かれてて、その前にヘルメット被ったニイチャンらが腕組みして立ってる。傍の旗には『大仙反戦反帝連盟』と書かれてる。なんや、怖い。
その中で一人だけノーヘルで学生服いうのが写ってる。画像下のURLをクリックすると、別のサイトに飛んで、さっきの写真が大写しで出てる。
今度のは、下に名前が書いてある。
書記長 野中民雄 以下ゴチャゴチャとあって、ノーヘルの学生服……。
生徒会長 酒井諦観
え? え? お祖父ちゃんのこっちゃ!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
思い出を売った女
志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。
それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。
浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。
浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。
全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。
ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。
あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。
R15は保険です
他サイトでも公開しています
表紙は写真ACより引用しました
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
揺れる波紋
しらかわからし
ライト文芸
この小説は、高坂翔太が主人公で彼はバブル崩壊直後の1991年にレストランを開業し、20年の努力の末、ついに成功を手に入れます。しかし、2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故によって、経済環境が一変し、レストランの業績が悪化。2014年、創業から23年の55歳で法人解散を決断します。
店内がかつての賑わいを失い、従業員を一人ずつ減らす中、翔太は自身の夢と情熱が色褪せていくのを感じます。経営者としての苦悩が続き、最終的には建物と土地を手放す決断を下すまで追い込まれます。
さらに、同居の妻の母親の認知症での介護が重なり、心身共に限界に達した時、近所の若い弁護士夫婦との出会いが、レストランの終焉を迎えるきっかけとなります。翔太は自分の決断が正しかったのか悩みながらも、恩人であるホテルの社長の言葉に救われ、心の重荷が少しずつ軽くなります。
本作は、主人公の長年の夢と努力が崩壊する中でも、新たな道を模索し、問題山積な中を少しずつ幸福への道を歩んでいきたいという願望を元にほぼ自分史の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる