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199『鬼ノ城・1』
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RE・かの世界この世界
199『鬼ノ城・1』テル
総社市から40分ほど寂しい舗装道路を上って、山上の駐車場に着いた。
「わたしたちだけなんだろうか、雪舟ねずみ君?」
「……のようですね、シーズンも外れのウィークデーでもありますから」
イザナギさんは鷹揚に頷くと、我々の先頭に立って木の間隠れに見える櫓門を目指して進んで行く。
「……ドワーフの砦に似ている」
「ドワーフの砦ならば、櫓の上に10人、土塁の向こうに50人、おそらくはアーチャー(弓兵)が潜んでいるでしょう」
「主力は棍棒の歩兵、こちらが怯んだところに……200余りが襲い掛かって来る」
「伏兵の可能性もあります、仕掛ける前には左右に斥候を出すべきでしょう」
「うむ、まずは、テルとケイトで斥候に出てくれ。伏兵が居ないようなら……一気呵成に攻めるべし。桃太郎二号、楼門の上に放り投げてやるから、10を数える間だけ暴れまわれ、その隙に主力である我らが東西いずれかの土塁を抜いて侵入する。門を開けるまでに長くて3分、門さえ開けてしまえば、櫓や物資に火をつけて混乱させて混戦に持ち込める。乱戦になれば、技量とスタミナに勝るヴァルキリーの勝利に疑いはない!」
「イエス、マム!」
ヒルデがタングニョーストと盛り上がっている。
「あのう……これは城跡を復元したもので、リアルの鬼とかドアーフは(^_^;)」
「え、リアルには居ないのか!?」
「あ、そうか…………なるほど、雪舟ねずみ、おまえといっしょだ」
「え、わたしとですか!?」
「雪舟ねずみ、お前は、雪舟が涙で床に描いたアンリアルのねずみだろ。それが、こうやってタクシーを運転してわたしたちを送ってきたんだ。この鬼ノ城の構えにも同じものを感じる」
「あ、アハハハ(*´□`*)」
「だとしたら……まぁ、中に入りましょう」
イザナギさんがなにか言いかけて、遠い目をするが、吹っ切るようにため息をついて前に進んだ。
楼門は柱こそ太々としているが、二階部分は壁も無い素通しで、粗末な板葺きの屋根が載っているに過ぎない。
左右に続く城壁も土を掻き上げた上に申し訳程度の板壁が立っているだけの土塁、全体から受ける印象は痛々しい恐れ。
なにか恐ろしいものが攻めてくるという恐怖に駆られ、大勢の者が突貫工事で造った印象。
鬼ノ城というよりは……鬼を恐れる城。
何者かが鬼の来襲を怖れ、人々に呼びかけ、おそらくは一年もかけずに大急ぎで造った避難のための城塞。
そう思い至るとイザナギさんと目が合ってしまう。
イザナギさんは、瞬間労わるようなまなざしになり、角髪(みずら)の頭を掻くと、ゆっくり楼門を潜る。
「桃太郎二号が一番乗り!」
「ちびのクセに前出んな!」
桃太郎二号とケイトが子どものように国生みの神を追い越して、我々も後に続いた。
☆ ステータス
HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
ペギー 異世界の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
その他 フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
日本神話の神と人物 イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎
199『鬼ノ城・1』テル
総社市から40分ほど寂しい舗装道路を上って、山上の駐車場に着いた。
「わたしたちだけなんだろうか、雪舟ねずみ君?」
「……のようですね、シーズンも外れのウィークデーでもありますから」
イザナギさんは鷹揚に頷くと、我々の先頭に立って木の間隠れに見える櫓門を目指して進んで行く。
「……ドワーフの砦に似ている」
「ドワーフの砦ならば、櫓の上に10人、土塁の向こうに50人、おそらくはアーチャー(弓兵)が潜んでいるでしょう」
「主力は棍棒の歩兵、こちらが怯んだところに……200余りが襲い掛かって来る」
「伏兵の可能性もあります、仕掛ける前には左右に斥候を出すべきでしょう」
「うむ、まずは、テルとケイトで斥候に出てくれ。伏兵が居ないようなら……一気呵成に攻めるべし。桃太郎二号、楼門の上に放り投げてやるから、10を数える間だけ暴れまわれ、その隙に主力である我らが東西いずれかの土塁を抜いて侵入する。門を開けるまでに長くて3分、門さえ開けてしまえば、櫓や物資に火をつけて混乱させて混戦に持ち込める。乱戦になれば、技量とスタミナに勝るヴァルキリーの勝利に疑いはない!」
「イエス、マム!」
ヒルデがタングニョーストと盛り上がっている。
「あのう……これは城跡を復元したもので、リアルの鬼とかドアーフは(^_^;)」
「え、リアルには居ないのか!?」
「あ、そうか…………なるほど、雪舟ねずみ、おまえといっしょだ」
「え、わたしとですか!?」
「雪舟ねずみ、お前は、雪舟が涙で床に描いたアンリアルのねずみだろ。それが、こうやってタクシーを運転してわたしたちを送ってきたんだ。この鬼ノ城の構えにも同じものを感じる」
「あ、アハハハ(*´□`*)」
「だとしたら……まぁ、中に入りましょう」
イザナギさんがなにか言いかけて、遠い目をするが、吹っ切るようにため息をついて前に進んだ。
楼門は柱こそ太々としているが、二階部分は壁も無い素通しで、粗末な板葺きの屋根が載っているに過ぎない。
左右に続く城壁も土を掻き上げた上に申し訳程度の板壁が立っているだけの土塁、全体から受ける印象は痛々しい恐れ。
なにか恐ろしいものが攻めてくるという恐怖に駆られ、大勢の者が突貫工事で造った印象。
鬼ノ城というよりは……鬼を恐れる城。
何者かが鬼の来襲を怖れ、人々に呼びかけ、おそらくは一年もかけずに大急ぎで造った避難のための城塞。
そう思い至るとイザナギさんと目が合ってしまう。
イザナギさんは、瞬間労わるようなまなざしになり、角髪(みずら)の頭を掻くと、ゆっくり楼門を潜る。
「桃太郎二号が一番乗り!」
「ちびのクセに前出んな!」
桃太郎二号とケイトが子どものように国生みの神を追い越して、我々も後に続いた。
☆ ステータス
HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾
☆ 主な登場人物
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ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
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