上 下
195 / 230

196『ペギーのだんご屋』

しおりを挟む
RE・かの世界この世界

196『ペギーのだんご屋』テル 





「おやおや、今度はだんご屋さんですか(^▽^)」

「いらっしゃいませ~₍ᐢ.ˬ.ᐡ₎」

「お待ちしてましたよ、御一行さま₍ᐢ.ˬ.ᐡ₎」



 イザナギさんが声をかけると、ペギーとバイトの女の子が笑顔で出迎えてくれる。



 二人とも柿色の作務衣にウグイス色の前掛けを掛けて、いかにもだんご屋という感じだ。なぜか二人とも白いウサ耳を付けている。

「地域振興を兼ねてましてね、因幡の白ウサギですよ」

「ああ、もうそんなところまで気を遣ってもらってるんですかぁ」

 恐縮して頭を掻くイザナギさん。

「そんなところというのは?」

「なんにも知らねえんだな、ヒルデのねえちゃん」

「北欧神だからな」

「因幡の白ウサギだろ、おばちゃん?」

「ああ、そうだよ。岡山は二号が現れるくらい桃太郎が有名だけどね」

「二号で悪かったな」

 口を尖らせる桃太郎二号、やっぱり気にしてるんだ。

「うふふ( ´艸`)」

「あ、白ウサギ、笑ったな!」

 テヘペロをかます白ウサギ。愛想はいいが、なんか無口だ。

「サメを相手に喋り過ぎたんで、気を付けてんのよ」

 ああ、騙したことをわざわざ言って赤裸にされたもんね。

「まあ、だんご買ってくれた人の一割でも島根や鳥取に足を伸ばしてくれたらって、協力させてもらってんの」

「でも、インバウンドとかで外国の客とかは増えてんじゃねえのか?」

「…………いくらかは」

 困ったように微笑む白ウサギ。

「しっかり増えてりゃ、この子も岡山までバイトには来ないさ……あ、きび団子だろ?」

「あ、そうそう。五人前」

 ケイトが桃太郎二号の肩に手を置く。

「うん? え、オレが買うのか!?」

「当たり前、きび団子と言えば、桃太郎がお供に配るものってのがデフォルトでしょーが」

「けっこうおいしいぞ」

「うんうん」

 いつの間にか、ヒルデとタングニョーストが試食している。無口だけども白ウサギも商売がうまい。

 桃太郎二号がしぶしぶきび団子を、我々は装備やアイテムを買って準備を整える。

「あ、あれを預けたら」

 一通りそろったところで、ペギーが白ウサギに振った。コクコク頷いて、白ウサギは手紙の束が入った袋を取り出した。

 袋には「黄泉の国宛て」と書いてあって、郵便番号は000―0000となっている。

「黄泉比良坂(よもつひらさか)の前で手紙を焼くと、亡くなった人に届くって言われてるのさ」
 
 へえ!

「買い物してくれた人へのサービスで始めたら、けっこう集まってね、シーズン終わってから行ったんじゃ、ちょっと遅くなるしね」

「ええ、なんかめんどくせえ」

「それに、きっと役に立つ。きび団子も二割引きにしといてやるからさ」

「お、おう、それなら頼まれておいてやる」

「鬼ノ城へは、桃太郎鉄道で総社市まで行ったほうが道が開けてるよ、マップも付けとくよ」

「ありがとう、ペギー」

「気を付けて!」

 エビス顔のペギーと無口な白ウサギの笑顔に送られて岡山駅を目指す。

 出店を十メートルほど離れると、スイッチが入ったように店が賑やかになる。

「うっわー、すっげーお客!?」

 桃太郎二号がビックリ、イザナギさんは恐縮したように頭を掻く。

 どうやら、わたしたちの相手をするために魔法で客足を停めてくれていたみたいだった(^_^;)。




 ☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...