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76『町長はあとまわし!』
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RE・かの世界この世界
76『町長はあとまわし!』テル
戦隊物の女戦士のようになっていたタングリスだけがまともだった。
ヒルデはドレスのスカートがズタボロで、なんだか腰蓑のようにバランバランになっている。
ケイトは肩紐とブラのストラップが切れたので、弓を持った手で押さえている。
ロキは何もしなかったはずなのに、シャツのボタンが三つもとれて、右袖が肩の所で千切れかけている。頭の上でポチがせわしなく回っているところをみると、興奮したポチを押さえ込もうとして、逃げ惑う人たちにもみくちゃにされたようだ。
わたしは、ドレスの右袖がとれただけで比較的マシ……と思ったら、タングリスが後ろを指さす。
え?
後ろに手を回す……なんと、ドレスの後ろがきれいさっぱり無くなっていた(#^_^#)。
「これをどうぞ」「すみません(#^_^#)」
無事だった女性がケープを掛けてくれたので、なんとか体裁を整えることができた。
「せ、石化した人たちをもどさなければ……」
町長婦人は呟くのだけど、ショックで行動に移すことができずに石段に腰を下ろして俯いている。
ゼイオン司祭……目で追ってみると、断末魔のメデューサに睨まれたのだろう、鬼の形相のまま石化している。
「手持ちの金の針で直そう」
「足りるかな……」
「足りなかったら、そのとき考えよう」
タングリスの一言で、我々もやっと動き出す。
「……申し訳ありません、クリーチャーなど町の中では見たこともないもので……みなさんには、お世話になります」
俯いたままの町長夫人が深々と頭を下げ、彼女の額はほとんど石段に接している。
「出来る限りの事はいたします」
「ありがとうございます……町のみなさんも手を貸して、石化した人たちを横たえて。倒れて壊れたら大変だから」
ようやく顔を上げた夫人は人に支えられ、やっと指示を出した。
「わかりました」
間近の町長さんに手を伸ばすと、夫人が遮った。
「町長は最後でかまいません。石化は若い人ほど進行が早いのです、長引くと金の針でも元に戻りませんから」
「わかりました、治療は若い人からだ!」
タングリスが指示を出して作業が始まる。
そして、117人目の石化を解いたところで金の針が無くなってしまった。
「どうしよう、まだ町長さんと司祭さんが……」
わたしなら……大丈夫だ……
絞り出すような声に振り返ると、ゼイオン司祭が、そこだけ解けた口で喋っている。
「これでも一級白魔導士だからね、ゆっくりだがオートリペアで回復する……町長は……この三日以内に解いてやらないと戻らなくなる」
「どうしよう……」
「ペギーに連絡してみよう……」
スマホを出してペギーを呼び出す。
「あ……圏外だ」
「ここは、バラの力で魔よけをしている、スマホの電波は、ちょっと入りにくいんだ」
「あんまり喋ると、口の周りにヒビが入るわよ」
「すまんが、連れて行って治してやって……あ、ヒビが……」
パリンと音がして司祭の口にひびが入った。
我々は着替えを澄ますと、四号の砲塔に町長を括りつけて町を出発した……。
☆ ステータス
HP:6000 MP:3000 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・50 マップ:5 金の針:0 所持金:800ギル(リポ払い残高35000ギル)
装備:剣士の装備レベル20(トールソード) 弓兵の装備レベル20(トールボウ)
憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
76『町長はあとまわし!』テル
戦隊物の女戦士のようになっていたタングリスだけがまともだった。
ヒルデはドレスのスカートがズタボロで、なんだか腰蓑のようにバランバランになっている。
ケイトは肩紐とブラのストラップが切れたので、弓を持った手で押さえている。
ロキは何もしなかったはずなのに、シャツのボタンが三つもとれて、右袖が肩の所で千切れかけている。頭の上でポチがせわしなく回っているところをみると、興奮したポチを押さえ込もうとして、逃げ惑う人たちにもみくちゃにされたようだ。
わたしは、ドレスの右袖がとれただけで比較的マシ……と思ったら、タングリスが後ろを指さす。
え?
後ろに手を回す……なんと、ドレスの後ろがきれいさっぱり無くなっていた(#^_^#)。
「これをどうぞ」「すみません(#^_^#)」
無事だった女性がケープを掛けてくれたので、なんとか体裁を整えることができた。
「せ、石化した人たちをもどさなければ……」
町長婦人は呟くのだけど、ショックで行動に移すことができずに石段に腰を下ろして俯いている。
ゼイオン司祭……目で追ってみると、断末魔のメデューサに睨まれたのだろう、鬼の形相のまま石化している。
「手持ちの金の針で直そう」
「足りるかな……」
「足りなかったら、そのとき考えよう」
タングリスの一言で、我々もやっと動き出す。
「……申し訳ありません、クリーチャーなど町の中では見たこともないもので……みなさんには、お世話になります」
俯いたままの町長夫人が深々と頭を下げ、彼女の額はほとんど石段に接している。
「出来る限りの事はいたします」
「ありがとうございます……町のみなさんも手を貸して、石化した人たちを横たえて。倒れて壊れたら大変だから」
ようやく顔を上げた夫人は人に支えられ、やっと指示を出した。
「わかりました」
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「町長は最後でかまいません。石化は若い人ほど進行が早いのです、長引くと金の針でも元に戻りませんから」
「わかりました、治療は若い人からだ!」
タングリスが指示を出して作業が始まる。
そして、117人目の石化を解いたところで金の針が無くなってしまった。
「どうしよう、まだ町長さんと司祭さんが……」
わたしなら……大丈夫だ……
絞り出すような声に振り返ると、ゼイオン司祭が、そこだけ解けた口で喋っている。
「これでも一級白魔導士だからね、ゆっくりだがオートリペアで回復する……町長は……この三日以内に解いてやらないと戻らなくなる」
「どうしよう……」
「ペギーに連絡してみよう……」
スマホを出してペギーを呼び出す。
「あ……圏外だ」
「ここは、バラの力で魔よけをしている、スマホの電波は、ちょっと入りにくいんだ」
「あんまり喋ると、口の周りにヒビが入るわよ」
「すまんが、連れて行って治してやって……あ、ヒビが……」
パリンと音がして司祭の口にひびが入った。
我々は着替えを澄ますと、四号の砲塔に町長を括りつけて町を出発した……。
☆ ステータス
HP:6000 MP:3000 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・50 マップ:5 金の針:0 所持金:800ギル(リポ払い残高35000ギル)
装備:剣士の装備レベル20(トールソード) 弓兵の装備レベル20(トールボウ)
憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)
☆ 主な登場人物
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テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
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