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64『ノルデン鉄橋』
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RE・かの世界この世界
64『ノルデン鉄橋』テル
ノルデン鉄橋は全長八百メートルのトラス式大鉄橋だ。
四車線もある幅広の鉄橋で、西側から単線の鉄道、二車線の車道、一車線分の歩道になっている。
そのノルデン大鉄橋が目前に迫っている。四車線を覆い、かつ支えている鉄の構造物は、いかにも軍都の入り口に相応しい。
右手の南側には、その軍都ムヘンブルグ城塞都市。
一週間前にムヘンブルグの北門を出て、そのまま、この大鉄橋を渡るところをシュタインブルグに行っていた。
あの時以上に人や車両の動きが盛んだ。軍用車両に民間のトラックなども見えるし、自転車や徒歩で歩道を行く人たちも居る。
ムヘンは流刑地ではあるが未開の荒れ地ではないようだ。
「北部に限られているようだが、ちょっとした開拓ブームなんだ」
全開したハッチに寄り掛かりながらタングリスが呟く。短めのボブを川風になびかせて腕組みした姿は宝塚の男役のように景色がいい。けしてマッチョでも大柄でもないのだが、この佇まいの良さは、持って生まれたものと今までの軍歴が尋常なものではないことを物語っている。チャンスがあればケイトも交えて話がしたいが、ま、今少し親しくなってからでないと実のある話はしてくれないだろう。
ビビ~~~~~
いかれた玄関ブザーのような音がした。
橋のたもとの合流点に停車した四号戦車の警笛であると気が付いたのはタングリスの反応だ。
「やあ、また会ったな軍曹」
それは、一週間前に出会った二号戦車のクルーたちだった。
「あんたらも四号か」
「ああ、あんた曹長に昇進したのか」
階級章が変わっていた。
「一個だけな。除隊して鍛冶屋でもやるつもりだったんだが、鍛冶屋よりも辺境警備をやれってさ、人使いが荒いぜ」
「こんなところに停車して、なにかの監視任務か?」
「いや、操縦手の交代要員を待ってるんだ」
開け放った操縦手ハッチに済まなさそうな顔が見えた。
「卑下すんなハンス、お前が移動になれただけでラッキーなんだからな」
そうだそうだの声があちこちのハッチからする。
「交代要員はまだなんだな」
「ああ、名前も分からん。こんなことまで軍機扱いしなくてもいいのにな」
ピピピピ……こちらの通信手席に着信音が、受けたブリュンヒルデが何やら受け答えしている。
「その交代要員は、わたしのようです」
なんとタングニョーストが出てきた。
「軍のやることに無駄は無いようだな。よろしくな、タングニョースト軍曹」
「曹長、あんたの名前は?」
「ルドルフだ、砲手がクリストフ、装填手がデニス、通信手がアデーレ、まあ、おいおい慣れてくれ」
「それはいいが、うちの操縦手は?」
「指示がない、問い合わせてみる」
ブリュンヒルデがレシーバーを操作する。
「すまんが、先に行く。交代次第出発の命令なんでな」
「ああ、タングニョースト、またな」
互いに手を振っただけで曹長は四号を発車させた。鉄橋を渡らずに川沿いを東に向かっている、東の道は軍都を迂回して南部の荒れ地に続いている。困難な南部の警備に行くようだ。
「信じらんない!」
ブリュンヒルデがレシーバーを投げつけた。
「どうしました?」
「交代要員は無し、そっちで都合を付けろって! それもトール直々の、このブリュンヒルデに命令なんてあり得ない!」
「そうきましたか……」
ポーカーフェイスで一同を見渡すと、頭を掻きながらタングリスは提案した。
「わたしが操縦します。姫が車長をやってください」
「えー! じゃあ、通信手は?」
「ロキ、お前だ。ポチを助手にしてがんばれ」
「オ、オレ?」
「そうだ、お前もなにかの役にたたなきゃな」
そう言うと、ジャングルジムの中を移動するように操縦席に移った。ヒルデとロキも移動、わたしとケイトはそのままで、四号はイグニッションのスイッチが入った。
ブリュン! ブリブリブリ!
ブリュンヒルデの気持ちを代弁するような起動音をさせて四号は八百メートルのノルデン鉄橋を渡り始めた。
☆ ステータス
HP:2500 MP:1200 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・35 マップ:4 金の針:20 所持金:500ギル(リポ払い残高80000ギル)
装備:剣士の装備レベル10(トールソード) 弓兵の装備レベル10(トールボウ)
憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
64『ノルデン鉄橋』テル
ノルデン鉄橋は全長八百メートルのトラス式大鉄橋だ。
四車線もある幅広の鉄橋で、西側から単線の鉄道、二車線の車道、一車線分の歩道になっている。
そのノルデン大鉄橋が目前に迫っている。四車線を覆い、かつ支えている鉄の構造物は、いかにも軍都の入り口に相応しい。
右手の南側には、その軍都ムヘンブルグ城塞都市。
一週間前にムヘンブルグの北門を出て、そのまま、この大鉄橋を渡るところをシュタインブルグに行っていた。
あの時以上に人や車両の動きが盛んだ。軍用車両に民間のトラックなども見えるし、自転車や徒歩で歩道を行く人たちも居る。
ムヘンは流刑地ではあるが未開の荒れ地ではないようだ。
「北部に限られているようだが、ちょっとした開拓ブームなんだ」
全開したハッチに寄り掛かりながらタングリスが呟く。短めのボブを川風になびかせて腕組みした姿は宝塚の男役のように景色がいい。けしてマッチョでも大柄でもないのだが、この佇まいの良さは、持って生まれたものと今までの軍歴が尋常なものではないことを物語っている。チャンスがあればケイトも交えて話がしたいが、ま、今少し親しくなってからでないと実のある話はしてくれないだろう。
ビビ~~~~~
いかれた玄関ブザーのような音がした。
橋のたもとの合流点に停車した四号戦車の警笛であると気が付いたのはタングリスの反応だ。
「やあ、また会ったな軍曹」
それは、一週間前に出会った二号戦車のクルーたちだった。
「あんたらも四号か」
「ああ、あんた曹長に昇進したのか」
階級章が変わっていた。
「一個だけな。除隊して鍛冶屋でもやるつもりだったんだが、鍛冶屋よりも辺境警備をやれってさ、人使いが荒いぜ」
「こんなところに停車して、なにかの監視任務か?」
「いや、操縦手の交代要員を待ってるんだ」
開け放った操縦手ハッチに済まなさそうな顔が見えた。
「卑下すんなハンス、お前が移動になれただけでラッキーなんだからな」
そうだそうだの声があちこちのハッチからする。
「交代要員はまだなんだな」
「ああ、名前も分からん。こんなことまで軍機扱いしなくてもいいのにな」
ピピピピ……こちらの通信手席に着信音が、受けたブリュンヒルデが何やら受け答えしている。
「その交代要員は、わたしのようです」
なんとタングニョーストが出てきた。
「軍のやることに無駄は無いようだな。よろしくな、タングニョースト軍曹」
「曹長、あんたの名前は?」
「ルドルフだ、砲手がクリストフ、装填手がデニス、通信手がアデーレ、まあ、おいおい慣れてくれ」
「それはいいが、うちの操縦手は?」
「指示がない、問い合わせてみる」
ブリュンヒルデがレシーバーを操作する。
「すまんが、先に行く。交代次第出発の命令なんでな」
「ああ、タングニョースト、またな」
互いに手を振っただけで曹長は四号を発車させた。鉄橋を渡らずに川沿いを東に向かっている、東の道は軍都を迂回して南部の荒れ地に続いている。困難な南部の警備に行くようだ。
「信じらんない!」
ブリュンヒルデがレシーバーを投げつけた。
「どうしました?」
「交代要員は無し、そっちで都合を付けろって! それもトール直々の、このブリュンヒルデに命令なんてあり得ない!」
「そうきましたか……」
ポーカーフェイスで一同を見渡すと、頭を掻きながらタングリスは提案した。
「わたしが操縦します。姫が車長をやってください」
「えー! じゃあ、通信手は?」
「ロキ、お前だ。ポチを助手にしてがんばれ」
「オ、オレ?」
「そうだ、お前もなにかの役にたたなきゃな」
そう言うと、ジャングルジムの中を移動するように操縦席に移った。ヒルデとロキも移動、わたしとケイトはそのままで、四号はイグニッションのスイッチが入った。
ブリュン! ブリブリブリ!
ブリュンヒルデの気持ちを代弁するような起動音をさせて四号は八百メートルのノルデン鉄橋を渡り始めた。
☆ ステータス
HP:2500 MP:1200 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・35 マップ:4 金の針:20 所持金:500ギル(リポ払い残高80000ギル)
装備:剣士の装備レベル10(トールソード) 弓兵の装備レベル10(トールボウ)
憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)
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タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
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