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54『兄弟の序列』
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誤訳怪訳日本の神話
54『兄弟の序列』
ニニギとサクヤの間に生まれたのは三柱の神です。
神と書きましたが、さっそく迷います(^_^;)
ニニギはイワナガヒメを追い返して寿命が人間と同じになりました。つまりヒト化したのですから人間と扱ってもいいのですが、記紀神話や歴史の事をハンパにしか知らないわたしは迷ってしまいます。
まあ、その時の気分次第ということで(#^_^#)。
産屋が燃え出した時に生まれたのがホデリノミコト、後のウミサチ(海幸彦)。
ガンガン燃えている時に生まれたのがホスセリノミコト。
火が収まるころに生まれたのがホヲリノミコト、後のヤマサチ(山幸彦)。
つまり、ウミサチ=長男 ホスセリ=次男 ヤマサチ=三男 と言うことになります。
ちょっと脱線します。
今の日本で、双子以上の多産児の序列は、最初に生まれてきた子が長子、二番目が次子、三番目が第三子ということになります。
つまり、兄妹の順番は生まれた順番です。
ところが、明治時代に民法ができるまでは逆でした。
最初に生まれた子が一番下、最後に生まれてきた子が長子ということになっていました。
これは、落語と同じで、後から出てくる者の方が偉いという考え方によるものです。
どうやら、これは世界共通のようで、後から出てくる者が優れているという序列が一般的です。
ショーやコンサートやお芝居などでも、偉い人や優れた者は後で出てきます。
紅白歌合戦でトリに出てくるのは業界の大御所。
ビートルズが来日して武道館でライブをやった時、前座はタイガース(沢田研二がいたGS)でした。
あとから出てくるものを優れていると感じるのは人類の遺伝子に組み込まれた感覚なのかもしれません。
明治になって逆になったのは、外国の民法を真似たからです(フランス、ドイツ、イギリスなど)。
外国が、なぜ生まれた順なのかは、ここでは触れません。
物事の順番というのは民族性に根ざしているので、案外変えるのが難しいようです。
これを簡単に、法律一つで変えられたのは、日本人の、それこそ民族性なのでしょう。
「欧米デハ、コウイウフウニヤッテオリマス」
ボアソナードとかのお雇い外国人が、大久保利通だとか伊藤博文だとかに進言します。
「あ、そうですか。では、そのように」
実に簡単に変わります。
お雇い外国人が言ったのは「世間のみなさんは、そうなさってます」ということです。
日本人は「みなさん、そうなさってます」に弱いんですねえ。
明治初年にやってきた鉄道技師(たぶん、イギリス人)の体験談に、こういうのがあります。
トランジット(測量器具)などを使って、レールを敷いたりトンネルを掘ったりするために測量していると、測量の基本になる方位磁石が狂うのです。
「あ、こいつら……」
技師はすぐに原因に気付きます。
助手兼技能修習のために士族の若者が何人も付いています。
士族の若者は腰に小刀(脇差)を差しています。
小刀は重量1キロ前後の鉄の塊ですから、磁石を狂わせてしまいます。
この技師は、日本に来る前にトルコやイランで鉄道の敷設工事に携わっていて、現地の若者を雇っていました。
トルコなどのイスラムも、腰に小刀(ナイフの大きい奴)を差していて、測量の邪魔になって、技師は「すまんが、測量中は刀を外してくれないか」と頼みます。
「無礼者!」
イスラムの男たちは目を三角にして刀を抜いて技師を追いかけまわしました。
その時のトラウマがあるので、技師は士族の若者に「刀を外してくれ」とは言えません。
「えと、あの……ちょっと話があるんだけど(^_^;)」
「はい、なんでしょうか?」
「実は……」
「おーい、先生がお話があるそうだ、みんな集まれ!」
「「「「「おお」」」」」
工事現場にいた若者たちが腰の脇差を揺らしながら集まります。
むろん、技師は丸腰です。怖かったでしょうねえ(;'∀')。
「なんでしょう、先生?」
「あ……えと……測量で、トランジットとか、方位磁石とか使っているよね?」
「「「「「はい」」」」」
「いずれも、方位を知るために、磁石がついていてね」
「「「「「はい」」」」」
「磁石が、正確に北を差すのは、地球自体が巨大な磁石になっていてね……別の言い方をすると、地球の組成、多くは鉄でできているんだよね」
「「「「「はい」」」」」
「えと……だから、測量器具というのは、オホン……」
「「「「「はい」」」」」
「大きな鉄が近くにあると、影響されるというか……あ、いや、わたしは、文化と言うものは尊重するよ。うん、互いに文化は尊重しなくっちゃね」
「つまり……?」
「あ、いや、ちょっと問題提起したかっただけで、ま、日本の文化は、全力で尊重する! そのことにはやぶさかではない(;゜Д゜)、やぶさかではない……」
技師は、どうしても結論が言えません。
「あ、分かった!」
勘のいい若者が声をあげます。
「みんな、腰の刀が磁石を狂わせてるんだ!」
「そうか、だから、先生は腰の刀を外せと……」
「あ、ああ……いや、だからあ(;゜Д゜#)」
「みんな、腰の刀を外せ!」
「「「「「おお」」」」」
簡単に問題は解決しました。
脱線しっぱなしですが、日本人は、大事、大切だと理解すると、実に簡単に理解します。
多産児の扱いも、欧米諸国との付き合いが始まるのだから、それに倣っておこうと、ほとんど問題なく変更がなされました。
この歳まで生きていると、そうではないことにも気づいているのですが、脱線しすぎの感じですので、日本人の合理性ということで置いておきます。
今日は、ニニギとサクヤに三人の子どもが生まれたところでおしまいです。
次回は、三人兄弟の長男と三男について話を進めます。
54『兄弟の序列』
ニニギとサクヤの間に生まれたのは三柱の神です。
神と書きましたが、さっそく迷います(^_^;)
ニニギはイワナガヒメを追い返して寿命が人間と同じになりました。つまりヒト化したのですから人間と扱ってもいいのですが、記紀神話や歴史の事をハンパにしか知らないわたしは迷ってしまいます。
まあ、その時の気分次第ということで(#^_^#)。
産屋が燃え出した時に生まれたのがホデリノミコト、後のウミサチ(海幸彦)。
ガンガン燃えている時に生まれたのがホスセリノミコト。
火が収まるころに生まれたのがホヲリノミコト、後のヤマサチ(山幸彦)。
つまり、ウミサチ=長男 ホスセリ=次男 ヤマサチ=三男 と言うことになります。
ちょっと脱線します。
今の日本で、双子以上の多産児の序列は、最初に生まれてきた子が長子、二番目が次子、三番目が第三子ということになります。
つまり、兄妹の順番は生まれた順番です。
ところが、明治時代に民法ができるまでは逆でした。
最初に生まれた子が一番下、最後に生まれてきた子が長子ということになっていました。
これは、落語と同じで、後から出てくる者の方が偉いという考え方によるものです。
どうやら、これは世界共通のようで、後から出てくる者が優れているという序列が一般的です。
ショーやコンサートやお芝居などでも、偉い人や優れた者は後で出てきます。
紅白歌合戦でトリに出てくるのは業界の大御所。
ビートルズが来日して武道館でライブをやった時、前座はタイガース(沢田研二がいたGS)でした。
あとから出てくるものを優れていると感じるのは人類の遺伝子に組み込まれた感覚なのかもしれません。
明治になって逆になったのは、外国の民法を真似たからです(フランス、ドイツ、イギリスなど)。
外国が、なぜ生まれた順なのかは、ここでは触れません。
物事の順番というのは民族性に根ざしているので、案外変えるのが難しいようです。
これを簡単に、法律一つで変えられたのは、日本人の、それこそ民族性なのでしょう。
「欧米デハ、コウイウフウニヤッテオリマス」
ボアソナードとかのお雇い外国人が、大久保利通だとか伊藤博文だとかに進言します。
「あ、そうですか。では、そのように」
実に簡単に変わります。
お雇い外国人が言ったのは「世間のみなさんは、そうなさってます」ということです。
日本人は「みなさん、そうなさってます」に弱いんですねえ。
明治初年にやってきた鉄道技師(たぶん、イギリス人)の体験談に、こういうのがあります。
トランジット(測量器具)などを使って、レールを敷いたりトンネルを掘ったりするために測量していると、測量の基本になる方位磁石が狂うのです。
「あ、こいつら……」
技師はすぐに原因に気付きます。
助手兼技能修習のために士族の若者が何人も付いています。
士族の若者は腰に小刀(脇差)を差しています。
小刀は重量1キロ前後の鉄の塊ですから、磁石を狂わせてしまいます。
この技師は、日本に来る前にトルコやイランで鉄道の敷設工事に携わっていて、現地の若者を雇っていました。
トルコなどのイスラムも、腰に小刀(ナイフの大きい奴)を差していて、測量の邪魔になって、技師は「すまんが、測量中は刀を外してくれないか」と頼みます。
「無礼者!」
イスラムの男たちは目を三角にして刀を抜いて技師を追いかけまわしました。
その時のトラウマがあるので、技師は士族の若者に「刀を外してくれ」とは言えません。
「えと、あの……ちょっと話があるんだけど(^_^;)」
「はい、なんでしょうか?」
「実は……」
「おーい、先生がお話があるそうだ、みんな集まれ!」
「「「「「おお」」」」」
工事現場にいた若者たちが腰の脇差を揺らしながら集まります。
むろん、技師は丸腰です。怖かったでしょうねえ(;'∀')。
「なんでしょう、先生?」
「あ……えと……測量で、トランジットとか、方位磁石とか使っているよね?」
「「「「「はい」」」」」
「いずれも、方位を知るために、磁石がついていてね」
「「「「「はい」」」」」
「磁石が、正確に北を差すのは、地球自体が巨大な磁石になっていてね……別の言い方をすると、地球の組成、多くは鉄でできているんだよね」
「「「「「はい」」」」」
「えと……だから、測量器具というのは、オホン……」
「「「「「はい」」」」」
「大きな鉄が近くにあると、影響されるというか……あ、いや、わたしは、文化と言うものは尊重するよ。うん、互いに文化は尊重しなくっちゃね」
「つまり……?」
「あ、いや、ちょっと問題提起したかっただけで、ま、日本の文化は、全力で尊重する! そのことにはやぶさかではない(;゜Д゜)、やぶさかではない……」
技師は、どうしても結論が言えません。
「あ、分かった!」
勘のいい若者が声をあげます。
「みんな、腰の刀が磁石を狂わせてるんだ!」
「そうか、だから、先生は腰の刀を外せと……」
「あ、ああ……いや、だからあ(;゜Д゜#)」
「みんな、腰の刀を外せ!」
「「「「「おお」」」」」
簡単に問題は解決しました。
脱線しっぱなしですが、日本人は、大事、大切だと理解すると、実に簡単に理解します。
多産児の扱いも、欧米諸国との付き合いが始まるのだから、それに倣っておこうと、ほとんど問題なく変更がなされました。
この歳まで生きていると、そうではないことにも気づいているのですが、脱線しすぎの感じですので、日本人の合理性ということで置いておきます。
今日は、ニニギとサクヤに三人の子どもが生まれたところでおしまいです。
次回は、三人兄弟の長男と三男について話を進めます。
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