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12『イザナギの三神・スサノオ・1』
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12『イザナギの三神・スサノオ・1』
イザナギが、命からがら黄泉の国から戻って産んだのが三人の神さまです。
産んだと言っても、男神なので、目を洗ったり鼻を洗ったりして現れた神さまたちです。
困難と穢れに打ち勝って、その末に聖なる神さまが生じるという、まあ、身も蓋も無く言ってしまえば演出ですね。
三人の神さまの中で、重要なのはアマテラスです。ツクヨミもスサノオもアマテラスを引き立てるための脇役です。
脇役ではありますが、準主役と言っていいドラマが末っ子のスサノオにはあります。
本当なら、スサノオは日本のポセイドン(ギリシア神話の海の神さま)になるはずでした。父のイザナギは、そう命じたからです。
しかし、スサノオは見かけは立派なアンチャンであるのですが、とてもマザコンでありました。
「なああ、父ちゃん、なんで俺には母ちゃんがいねーんだよ!?」
大きなドンガラをして、イザナギを責めては身も世もなく泣いていました。
スサノオの泣きっぷりは凄まじく、というか、スサノオと言う名前も「凄まじい」という意味が被っているのかもしれません。
スサノオが泣き叫ぶと、大地震が起こり、海が溢れたり山が崩れたりします。
「もー、かなーねえなー! デカいなりして泣くんじゃねーよ! みんな迷惑するじゃないか!」
「だって、母ちゃんに会いてーもんよ! オーイオイオイ……!!」
息子ながら持て余したイザナギは、こんなことを言います。
「そーだ、スサノオ、おまえにはアマテラスって母ちゃん似の姉ちゃんがいるからよ。会ってくるといいよ!」
「ほ、ほんとか、父ちゃん!?」
「ああ、父親の俺が見ても惚れ直すぐらいのベッピンだ。若いころのイザナミにソックリだ!」
「オー! あの二本の柱周って、いいことしまくってた頃の話だな!?」
「あ、あれは、神聖な国生みの仕事だったんだよ(;^_^!」
「でも、ヤリまくったっだろ!? 父ちゃんの凸と母ちゃんの凹を合わせまくってよ! このエロ親父!!」
「エ、エロじゃねーよ! 国生みだ!!」
そう言いながらも、イザナギは鼻血を垂らしてしまいました。
「父ちゃん、やらしいぜ。ほら鼻血拭きなよ」
スサノオはティッシュを箱ごとイザナギの膝に投げてやりました。
「す、すまん……」
「やっぱさ、母ちゃんに会っておかなきゃおさまんねえ……母ちゃんいねーから、姉ちゃんに会ってくるわ。俺のレーゾンデートルの問題なんだよなあ……じゃ、ちょっち行ってくるわ!」
そうして、スサノオは高天原を目指して行くのでありました……。
高天原に駆け上っていく息子を仰ぎ見ながらイザナギは思いました。
――あいつ、根本的なとこで誤魔化してるよな。腐っても母だ。イザナミは千曳の大岩で閉じたとは言え、まだ黄泉の国にいるんだぞ。黄泉の国に行くのが本来のあるべき姿だろうが。勇ましいように見えても、どこか日和ってるよな……『ノラガミ ARAGOTO』じゃ、ちゃんと腐り果てたイザナギに会いに行ってるぞ――
え、そうだったんだ!?
――お、おい、作者! 勝手に心理描写すんじゃねえ(#゜Д゜#)!――
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