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47『優奈と幸子の二転三転』
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妹が憎たらしいのには訳がある
47『優奈と幸子の二転三転』
そこにはねねちゃんが立っていた……。
「これ、警察病院からもらってきたの。亡くなる前にママが、一時的に元気になった時の薬剤」
「これは……」
そうだ、里中ミッション・4でねねちゃんの義体にインストールされた俺が里中リサを看取った時のものだ。まだ残っていたんだ。
「優奈ちゃんにも効くわ、元々は、戦闘中に負傷した者を一時的に健常にもどし、あとで治療するためのものだから」
「じゃ、優奈ちゃん出場できるのね!」
みんなが喜んだ。幸子も喜んだが、仕様書を読んで顔が曇った。
「心臓に負担が……15%の確率で効かないこともあるのね」
「……ええ、それに状態によっては、完全に戻らないこともあるわ。使うかどうかは、あなた達次第。じゃ、明日は会場で見てるわ。チサちゃんも来るんでしょ?」
「うん、えと……D列の35番。みんなそのへんよ」
「わたしも、そのあたり確保しとくわ」
「でも、予約いっぱいよ」
――甲殻機動隊に不可能はないの(^▽^)――
高機動車のハナちゃんが、車体をガシャガシャ揺すって笑った。
「優奈ちゃんも飲む?」
開演前、みんなで特製のジンジャエールをまわした。よく冷えていて、喉がスッキリする。
みんなのスッキリ顔を見て、自分も飲みたくなったのであろう、優奈は進んで手を出した。
「ぼんど、ズッギリじまず……」
「酷い声だなあ」
「あい、おどなじぐ、ごごで見でまず( ;∀;)」
「じゃ、わたしリハーサル室行ってるね。またあとで見に来るからね」
幸子と俺はリハーサル室へ向かった。
そして蟹江先生と加藤先輩には、ジンジャエールに薬を混ぜて優奈に飲ませたことを伝えた。二人とも驚いていたが、喜んでくれた。
「いっしょに苦労したんや、優奈が歌うのがベストやで!」
珍しく加藤先輩が目を潤ませた。
午前中の会場は、まだいくらか空席があったが、午後には強豪校の出場が目白押しなるので、満席になった。
「……声が出る!」
午前中最後の茶屋町高校の曲は、優奈の好きな曲だったので、口パクでナゾって、気づいたら自然に歌えたのである。
「優奈ちゃん、リハーサル室へ行って!」
チサちゃんが促す。ちょうど様子を見に来た俺といっしょになったので、足を弾ませてリハーサル室に向かった。
「なんで、そんなに楽しそうなの?」
出られることを知らない優奈には、俺は本番を前にハイテンションになったバカにしか見えなかっただろう。え、いつもバカみたいだから目立たなかっただろうって……はい、そのとおり(o^―^o)!
いよいよ、俺たち真田山高校の出番が回ってきた。
――さて、急遽予定を変更。ボーカルは、山下優奈さん回復して、もとの編成に戻り、真田山高校は審査対象になります――
幸子の出演を楽しみにしていたファンの中からはブーイングも起こったが、概ね会場の反応は暖かかった。
――なお、終演後ファンのみなさんのため、佐伯幸子の30分ミニライブをおこないま~す!!――
会場は、どよめきにつつまれ、あとのアナウンスは、ろくに聞こえなかった。
そして、これが大きな悲劇を生むことになるとは、誰も気づかなかった……。
47『優奈と幸子の二転三転』
そこにはねねちゃんが立っていた……。
「これ、警察病院からもらってきたの。亡くなる前にママが、一時的に元気になった時の薬剤」
「これは……」
そうだ、里中ミッション・4でねねちゃんの義体にインストールされた俺が里中リサを看取った時のものだ。まだ残っていたんだ。
「優奈ちゃんにも効くわ、元々は、戦闘中に負傷した者を一時的に健常にもどし、あとで治療するためのものだから」
「じゃ、優奈ちゃん出場できるのね!」
みんなが喜んだ。幸子も喜んだが、仕様書を読んで顔が曇った。
「心臓に負担が……15%の確率で効かないこともあるのね」
「……ええ、それに状態によっては、完全に戻らないこともあるわ。使うかどうかは、あなた達次第。じゃ、明日は会場で見てるわ。チサちゃんも来るんでしょ?」
「うん、えと……D列の35番。みんなそのへんよ」
「わたしも、そのあたり確保しとくわ」
「でも、予約いっぱいよ」
――甲殻機動隊に不可能はないの(^▽^)――
高機動車のハナちゃんが、車体をガシャガシャ揺すって笑った。
「優奈ちゃんも飲む?」
開演前、みんなで特製のジンジャエールをまわした。よく冷えていて、喉がスッキリする。
みんなのスッキリ顔を見て、自分も飲みたくなったのであろう、優奈は進んで手を出した。
「ぼんど、ズッギリじまず……」
「酷い声だなあ」
「あい、おどなじぐ、ごごで見でまず( ;∀;)」
「じゃ、わたしリハーサル室行ってるね。またあとで見に来るからね」
幸子と俺はリハーサル室へ向かった。
そして蟹江先生と加藤先輩には、ジンジャエールに薬を混ぜて優奈に飲ませたことを伝えた。二人とも驚いていたが、喜んでくれた。
「いっしょに苦労したんや、優奈が歌うのがベストやで!」
珍しく加藤先輩が目を潤ませた。
午前中の会場は、まだいくらか空席があったが、午後には強豪校の出場が目白押しなるので、満席になった。
「……声が出る!」
午前中最後の茶屋町高校の曲は、優奈の好きな曲だったので、口パクでナゾって、気づいたら自然に歌えたのである。
「優奈ちゃん、リハーサル室へ行って!」
チサちゃんが促す。ちょうど様子を見に来た俺といっしょになったので、足を弾ませてリハーサル室に向かった。
「なんで、そんなに楽しそうなの?」
出られることを知らない優奈には、俺は本番を前にハイテンションになったバカにしか見えなかっただろう。え、いつもバカみたいだから目立たなかっただろうって……はい、そのとおり(o^―^o)!
いよいよ、俺たち真田山高校の出番が回ってきた。
――さて、急遽予定を変更。ボーカルは、山下優奈さん回復して、もとの編成に戻り、真田山高校は審査対象になります――
幸子の出演を楽しみにしていたファンの中からはブーイングも起こったが、概ね会場の反応は暖かかった。
――なお、終演後ファンのみなさんのため、佐伯幸子の30分ミニライブをおこないま~す!!――
会場は、どよめきにつつまれ、あとのアナウンスは、ろくに聞こえなかった。
そして、これが大きな悲劇を生むことになるとは、誰も気づかなかった……。
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