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37『まとまらない考え』
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妹が憎たらしいのには訳がある
37『まとまらない考え』
幸子は俺のメンテナンスしか受け付けなくなっている……。
そんな考えが頭をよぎった。
なにか大変なものが動き出している。そんな気がして、高機動車ハナちゃんに乗って大阪に帰る間、これまでのことを振り返る俺だ。
メンテナンスして、幸子はもとに戻っていた。帰りは、その幸子を中心に、チサちゃん、佳子ちゃん、優子ちゃんも盛り上がっていたので、一人で集中することができた。
この世はパラレルワールドと言って、ほとんど同じ世界が同時に存在し、そのことは両方の世界のごく一部の人間しか知らない。
二つの世界の有りようについては、両方の世界に跨るグノーシスという組織がコントロールしているのだが、絶対ではない。
グノーシス自体揺れている。
味方であったハンスが敵になったり、敵であった美シリ三姉妹が、味方になって、向こうの世界の幸子を千草子として預けにきたり。
そもそも向こうでは、こちらが十年以上前に終えた極東戦争を今頃やり始めている。こちらの世界も、向こうの世界の失敗を学習し、修正を加えている。向こうの世界では、広島、長崎以外に新潟にも原爆が落とされているがこちらの世界では、修正されている。
この二つの世界の関わり方に、両方の世界が、グノーシスを中心に揺れているのだ。
そして、この二つの世界にとって、小学五年生から義体化している幸子は重要な存在で、幸子の周辺では、いろいろ事件が起こっているが、こっちの世界では甲殻機動隊が守ってくれている。
幸子の頭脳の95%はCPで、普段はプログラムされた人格で暮らしている。
残った5%あまりの本来の頭脳で取り戻そうと幸子は懸命だけど。それは、今のところCPのインストール能力を高めることにしか役に立っていないようで、それはAKRの小野寺潤を極限までコピーし、自他の区別がつかなくなるところまで適応過剰するようになってしまい、バグってしまった。
そして、幸子は俺のメンテナンスしか受け付けなくなってきている……。
俺も、重要な存在になりつつあ……っと思ったら、優子ちゃんが振り回したスィーツが、まともに俺の顔に当たって思考は中断されてしまった。
「かんにん、太一にいちゃん」
一瞬怒ったような顔になったのだろう、優子ちゃんが怯えたような顔で謝った。
「兄ちゃん、容量オーバーな考えしてると、不細工になって、いっそうモテなくなるよ!」
幸子が、ニクソ可愛く言う。むろんプログラムされた人格で。
「ううん、考え事してるター君もなかなかやわよ」
佳子ちゃんが、妹の不始末をティッシュで拭き取ってくれている。そのとき、ちょっとした衝撃が走り、ハナちゃんが少し揺れた。
「……ちょっと、二人、キスしちゃったでしょ!」
チサちゃんが鋭く指摘した。
「そんなこと……」
「あった……!」
優子ちゃんが、その瞬間をスマホで撮っていた。
「ちょ、ちょっと!」
姉の、あらがいも虚しく、その映像は、車内のモニターに大きく映し出された。
「お、おい、ハナちゃん!」
『間違えた、こっちの映像』
次ぎに出された映像は、強烈なパルス弾が、ハナちゃんの鼻先をかすめる瞬間になっていた。
「これって、攻撃を受けたの……?」
お母さんが、顔を引きつらせた。
『……いいえ、流れ弾のようです』
ハナちゃんは、佳子ちゃんたちの手前詳しく言わなかったが、ボクたちには向こうの世界からのものであると付け加えていた。
『でも、この瞬間の二人の心拍数、血圧、瞳孔の広がり、発汗などから、ラブラブになる可能性……』
「ウワー、そんなこと言わなくっていい!」
佳子ちゃんの叫び声で、ハナちゃんの声は聞こえなかった……(^_^;)。
37『まとまらない考え』
幸子は俺のメンテナンスしか受け付けなくなっている……。
そんな考えが頭をよぎった。
なにか大変なものが動き出している。そんな気がして、高機動車ハナちゃんに乗って大阪に帰る間、これまでのことを振り返る俺だ。
メンテナンスして、幸子はもとに戻っていた。帰りは、その幸子を中心に、チサちゃん、佳子ちゃん、優子ちゃんも盛り上がっていたので、一人で集中することができた。
この世はパラレルワールドと言って、ほとんど同じ世界が同時に存在し、そのことは両方の世界のごく一部の人間しか知らない。
二つの世界の有りようについては、両方の世界に跨るグノーシスという組織がコントロールしているのだが、絶対ではない。
グノーシス自体揺れている。
味方であったハンスが敵になったり、敵であった美シリ三姉妹が、味方になって、向こうの世界の幸子を千草子として預けにきたり。
そもそも向こうでは、こちらが十年以上前に終えた極東戦争を今頃やり始めている。こちらの世界も、向こうの世界の失敗を学習し、修正を加えている。向こうの世界では、広島、長崎以外に新潟にも原爆が落とされているがこちらの世界では、修正されている。
この二つの世界の関わり方に、両方の世界が、グノーシスを中心に揺れているのだ。
そして、この二つの世界にとって、小学五年生から義体化している幸子は重要な存在で、幸子の周辺では、いろいろ事件が起こっているが、こっちの世界では甲殻機動隊が守ってくれている。
幸子の頭脳の95%はCPで、普段はプログラムされた人格で暮らしている。
残った5%あまりの本来の頭脳で取り戻そうと幸子は懸命だけど。それは、今のところCPのインストール能力を高めることにしか役に立っていないようで、それはAKRの小野寺潤を極限までコピーし、自他の区別がつかなくなるところまで適応過剰するようになってしまい、バグってしまった。
そして、幸子は俺のメンテナンスしか受け付けなくなってきている……。
俺も、重要な存在になりつつあ……っと思ったら、優子ちゃんが振り回したスィーツが、まともに俺の顔に当たって思考は中断されてしまった。
「かんにん、太一にいちゃん」
一瞬怒ったような顔になったのだろう、優子ちゃんが怯えたような顔で謝った。
「兄ちゃん、容量オーバーな考えしてると、不細工になって、いっそうモテなくなるよ!」
幸子が、ニクソ可愛く言う。むろんプログラムされた人格で。
「ううん、考え事してるター君もなかなかやわよ」
佳子ちゃんが、妹の不始末をティッシュで拭き取ってくれている。そのとき、ちょっとした衝撃が走り、ハナちゃんが少し揺れた。
「……ちょっと、二人、キスしちゃったでしょ!」
チサちゃんが鋭く指摘した。
「そんなこと……」
「あった……!」
優子ちゃんが、その瞬間をスマホで撮っていた。
「ちょ、ちょっと!」
姉の、あらがいも虚しく、その映像は、車内のモニターに大きく映し出された。
「お、おい、ハナちゃん!」
『間違えた、こっちの映像』
次ぎに出された映像は、強烈なパルス弾が、ハナちゃんの鼻先をかすめる瞬間になっていた。
「これって、攻撃を受けたの……?」
お母さんが、顔を引きつらせた。
『……いいえ、流れ弾のようです』
ハナちゃんは、佳子ちゃんたちの手前詳しく言わなかったが、ボクたちには向こうの世界からのものであると付け加えていた。
『でも、この瞬間の二人の心拍数、血圧、瞳孔の広がり、発汗などから、ラブラブになる可能性……』
「ウワー、そんなこと言わなくっていい!」
佳子ちゃんの叫び声で、ハナちゃんの声は聞こえなかった……(^_^;)。
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