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110『サムの自宅は千代田区』

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魔法少女マヂカ

110『サムの自宅は千代田区』語り手:マヂカ 

 

 
 え……国会議事堂?

 
 変だなとは思った。

「わたしの家、千代田区だから」

 東京の地理を全部知っているわけではないから、千代田区にだって一般人が住めるところぐらいあるだろうと思った。

「階段上がってすぐだから」

 言われて、お上りさんよろしくメトロ有楽町線の四番出口に立った。そして、ヌケヌケとサムは指さしたのだ、国会議事堂を。

「「「「え、ええ!?」」」」

「ほんとは、武蔵野の自然が残る皇居の西の丸がよかったんだけど、さすがに許可が下りなくてね。ま、こっちも広いし(^▽^)/」

「広いだろうけど……議事堂のどこに」

「真っ直ぐ!」

 まったくリラックスして、はとバスのガイドのように歩き出した……ほんとにガイドっぽい旗持ってるし。

 ここを渡ったら正門という横断歩道まで来ると、サムは旗を高く放り上げた。

 人は動くものを目で追ってしまう。あ、魔法少女だって、つい見てしまうわよ。

 十メートルほどの高さでクルクル回るのを見ているものだから、空と旗しか見えなくなる。

 数秒回ってサムの手に収まると、周囲の風景が変わっていた!

 

 国会議事堂は、おおよそのフォルムを残したままお屋敷に変わり、右手の皇居は鬱蒼とした森の中に聳える西洋式の大城塞に変わっていた。

 

「魔法はナシだって言ったでしょ」

「魔法じゃないわよ、時空の狭間に作ったものだから、ノープロブレムよ」

 そういうのを魔法と言うんだけど。

 調理研の三人も驚いているが、竜神戦からこっち目覚めているので呑み込みが早い。

「大塚台公園の秘密基地よりもすごいねえ」

 ノンコが言って、友里と清美は「ヘー」「ホー」と感心はするが、すでに変異を呑み込んでいる。この三人は純正魔法少女であるわたしよりも順応性が高いのかもしれない。

 
「お帰りなさいませ、お嬢様」

 
 門を入ったところで、総理大臣ソックリな執事が迎えてくれる。

「ただいま。安倍、ゲストのみなさんを案内してあげて。わたし、勉強会のプラン練るから」

「承知いたしました、では、みなさんこちらに。お荷物はメイドたちに持たせてください」

 安倍さんの指示で四人のメイドがやってくる……どうして、野党の女性議員の顔してんの?

「あ、申し訳ありません。リアルに引っ張られてしまいました」

 安倍さんが指を振ると、メイドさんたちは『この素晴らしい世界に祝福を!』系のアニメ顔になった。

「ああ、この方がポリゴン少なくてすむもんね」

 ノンコは、自分の知識の中で理解している。

 ま、いい、勉強ができればね。

 二泊三日の勉強会が始まった……。
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