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宴の土産
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虹音の鱗は、現れたり引いたりするようになってきた。良い兆候なのか分からず書物を調べたが、变化が安定するまではそういうものらしい。
背の羽根の方はだいぶしっかりしてきて、部屋の天井くらいまでなら飛べるようになった。羽根の根元がむず痒いらしく、露草に撫でられるのを好んだ。飛べるようになった虹音が今度は天井の燭台まで壊すのではないかと白月は戦々恐々とし、しつこいくらいに露草に頼んでは、とうとう露草に嫌な顔を──布をかずいていて表情は見えないまでも、その歪んだ唇から分かる──された。
そうした中、『龍の宴』に行く日も近くなる。白月は書物で『龍の宴』について調べ、集まる龍たちが種々の手土産を持ち寄るのだとの記載に青くなった。何も用意していない。
どうしたものかと、露草に相談したら、いつも有能な露草は、
「宴と言うからには酒が必要でしょうし、龍には人間の砂糖菓子など珍しいのではないでしょうか」
と助言をくれた。
そこで白月は、人間の街に買い出しに行くことにした。楠達が見つかれば一番良かったのだが、先日ここに立ち寄ったばかりで、今は遠くの国に行っているはずだと、露草は言う。
「隊商が懇意にしていた商店は存じております、そこなら阿漕な商売はしないはずかと」
そこで露草に道案内をしてもらうこととし、そうしたら虹音と紫蛇だけ屋敷に残せない。結局、街には皆で行くこととした。
街の近くまでは、皆を白月の背に乗せて飛び、そこから少し歩いて、貸馬車屋で御者付きの馬車を借り上げて乗る。やがて、街の賑わいが近づいてきた。
白月はお尋ね者、虹音は時折現れる鱗を隠す必要があり、頭から布を巻いて顔を隠した。露草は元々、布で顔を隠している。だが、日差しの強い砂漠では、顔を隠すことを慣習としている一族も多く、一行はさほど目立たなかった。
紫蛇は物珍しげに、大通りに並ぶ屋台の数々と、そこで賑やかな掛け声とともに立ち働く人々の姿を見回していた。
「俺のいた村にも、時々市が立ちましたが、ずっと賑やかです」
「虹蛇王国でも、一、二を争うくらい大きな市場だかね」
白月が答えれば、近くの屋台の男がそれを聞きとがめたらしく、
「嫌だねぇ、お嬢ちゃん。虹蛇の国で一番、いや、世界一と言ってくれなきゃ。ほら、食いな」
と焼いた烏賊の足の切れ端を楊枝に刺して寄越してくれた。虹音がそれを食べて、きゃっきゃと喜ぶ。
結局屋台で烏賊の串焼きを人数分買って、食べながら歩けば、露草の案内で件の商店にたどり着いた。
店員達は露草の姿を見覚えており、白月が楠の知人で露草の現在の雇い主と聞くと、丁寧に頭を下げ、珍しい酒や砂糖菓子をいくつも並べてくれ、試させてくれた。虹音は砂糖菓子にご満悦で、もっと食べたいと言うので、小さい玻璃の瓶に入ったものを一つ買ってやる。露草は優しくも厳しく、
「少しずつ食べるのですよ」
と虹音に言い聞かせ、虹音は素直に頷いて、白月は求められるがまま買い与えた考えなしの自分に少しばかり恥じ入った。
紫蛇と虹音は子どもで、露草は酒に弱いというので、酒の試飲は白月だけがした。正直、成人にはまだ遠く、酒を飲むのは初めてだが、今は龍の身だ。固いことはいいだろう。
小さな盃に一口分ずつ入れられた酒を、次々飲み干していく。ほとんどは違いがよく分からなかったが、一つの酒を口に含んだ時、その馥郁とした香りと、深みのある甘みに目を見開いた。そんな白月に、店員が笑みを浮かべる。
「お目が高い。その酒は、随分珍しいもので、とある奥地にある虹色の水から作られているのです」
「虹、虹、虹音の虹!」
と虹音が喜ぶ。その酒に決め、砂糖菓子も、虹音が一番美味しいというものに決めると、虹音は喜んではしゃいだ。
「妹さんを可愛がっておられるのですな」
と言われ、白月は苦笑するしかなかった。酒樽と砂糖菓子の山は、屈強な店員達が、街の外れに止めた貸し馬車まで運んでくれた。馬車が荷物でいっぱいになり、いざ出発しようとした時、白月はくらりと頭がくらむのを感じた。足元がふらつく。顔がぽーっと赤くなった。
「白月様……酔われたのですね」
そうか、これが酒に酔うという感覚なのか、と自覚はするが、自覚したところでどうしようもない。馬車の傍らに、ぺたりと座り込んでしまう。
「酔われた状態で馬車に乗るのはよくありません。虹音様を連れて飲み物を買ってまいりますので、紫蛇様はここで白月様についていてくださいまし」
紫蛇が頷いて、露草と虹音は街の方へ戻っていく。
大丈夫かと声をかけてくれる紫蛇には悪いが、気遣う声も今は煩わしく、軽く手を振って、黙ってくれと伝え、膝を抱えて座り込み、うなだれる。紫蛇は黙ってくれたが、そこにさらに煩い声がかけられた。
「おい、そこの女! 大丈夫か! 具合でもわるいのか!」
その声量だけでも頭がガンガンするというのに、さらに悪いことには、聞き覚えのある声だった。白月が上目でその男を睨めば、彼も白月に気づいたようだ。
焔だった。
焔は白月を認め、明らかに動揺して立ち尽くす。
「おまえ……具合が、その……」
「酔っているだけだ。今は斬りかかってくるなよ」
「今なら、俺に倒されるほど弱っているのか」
「いや、手加減が効かず、殺してしまうだろう」
淡々と言った白月に、焔はしばし沈黙したが、やがてため息をつき、白月の隣に腰を下ろした。紫蛇が白月を守るように、白月と焔の間に陣取り、焔を睨む。
「少年、そう睨むな。──そうだな。確かに、お前が本気なら、とうに俺は殺されていただろう。それで気づいてもよかったんだ。おまえは誰も殺していないということに」
あんな馬鹿馬鹿しい詮議だったのだ。もっと早く気づいても良かったと思うが、今はそう言ってやる余裕がない。
「ほら、水だ。飲めば少しは楽になろう」
と差し出された水袋をひったくり、遠慮なく、少しぬるい水をぐびぐびと喉に流し込む。毒を盛られる心配はしなかった。この男がそんな手段を使うとは思えなかった。
「悪かった。白月。あれから、母を問い詰めたんだ。元々おまえの美貌を妬んでいたところに利益をちらつかされ、言われるがまま偽証をしたそうだ。──当家の不名誉だ。俺は今、おまえの無実を証明するために動いている。おまえが王国に戻れるように」
白月は思わず、一瞬自分の不調を忘れた。
「──はぁ!? 何を勝手なことを」
誰がそんなことを望んだ。白月は今の暮らしが──招かれざる客人達、特に虹音を除けばだが──気に入っていた。王国に戻ろうなどと考えたこともない。
声を荒げた白月に、焔もまた、白月を睨む。
「仮にも貴族の姫が、あんな場所でひとり寂しく暮らしているのを放っておけるか」
「私は龍だ。人間と一緒にするな!」
「強がらなくても良い」
「強がっていない!」
言い争いは平行線で、決着は着かないかに思われた。が、ずっと白月と焔の間に挟まり、存在を忘れられていた紫蛇が、声を上げる。
「あの!」
その声に二人が沈黙したのを確認して、紫蛇は焔を見た。
「あの──あなたの気持ちは分かります。痛いほど。でも、あなたは、白月さんの気持ちを置き去りにしている。それじゃあ、彼女を殺人犯と思っていた今までと、何も変わらないのだと、俺は思います」
訥々と話すその声には、だが、人の心を動かす真摯さがあった。焔は黙り、そして、立ち上がった。
「──とにかく、俺はおまえの無実を晴らす。それは当家、引いては我が王国の恥だからだ。それだけは、決して譲れん。俺はもう行く。ここに来たのは、騎士団の任務のためで、もう休憩時間も終わりだ──元気でな」
歩き去っていく焔の背中を、白月はぼんやりと見送っていた。
しばらくすると露草と虹音が果汁の入った瓶を片手に帰ってきた。酸味のあるそれを飲むと、気分が少し楽になり、四人は家路についたのだった。
背の羽根の方はだいぶしっかりしてきて、部屋の天井くらいまでなら飛べるようになった。羽根の根元がむず痒いらしく、露草に撫でられるのを好んだ。飛べるようになった虹音が今度は天井の燭台まで壊すのではないかと白月は戦々恐々とし、しつこいくらいに露草に頼んでは、とうとう露草に嫌な顔を──布をかずいていて表情は見えないまでも、その歪んだ唇から分かる──された。
そうした中、『龍の宴』に行く日も近くなる。白月は書物で『龍の宴』について調べ、集まる龍たちが種々の手土産を持ち寄るのだとの記載に青くなった。何も用意していない。
どうしたものかと、露草に相談したら、いつも有能な露草は、
「宴と言うからには酒が必要でしょうし、龍には人間の砂糖菓子など珍しいのではないでしょうか」
と助言をくれた。
そこで白月は、人間の街に買い出しに行くことにした。楠達が見つかれば一番良かったのだが、先日ここに立ち寄ったばかりで、今は遠くの国に行っているはずだと、露草は言う。
「隊商が懇意にしていた商店は存じております、そこなら阿漕な商売はしないはずかと」
そこで露草に道案内をしてもらうこととし、そうしたら虹音と紫蛇だけ屋敷に残せない。結局、街には皆で行くこととした。
街の近くまでは、皆を白月の背に乗せて飛び、そこから少し歩いて、貸馬車屋で御者付きの馬車を借り上げて乗る。やがて、街の賑わいが近づいてきた。
白月はお尋ね者、虹音は時折現れる鱗を隠す必要があり、頭から布を巻いて顔を隠した。露草は元々、布で顔を隠している。だが、日差しの強い砂漠では、顔を隠すことを慣習としている一族も多く、一行はさほど目立たなかった。
紫蛇は物珍しげに、大通りに並ぶ屋台の数々と、そこで賑やかな掛け声とともに立ち働く人々の姿を見回していた。
「俺のいた村にも、時々市が立ちましたが、ずっと賑やかです」
「虹蛇王国でも、一、二を争うくらい大きな市場だかね」
白月が答えれば、近くの屋台の男がそれを聞きとがめたらしく、
「嫌だねぇ、お嬢ちゃん。虹蛇の国で一番、いや、世界一と言ってくれなきゃ。ほら、食いな」
と焼いた烏賊の足の切れ端を楊枝に刺して寄越してくれた。虹音がそれを食べて、きゃっきゃと喜ぶ。
結局屋台で烏賊の串焼きを人数分買って、食べながら歩けば、露草の案内で件の商店にたどり着いた。
店員達は露草の姿を見覚えており、白月が楠の知人で露草の現在の雇い主と聞くと、丁寧に頭を下げ、珍しい酒や砂糖菓子をいくつも並べてくれ、試させてくれた。虹音は砂糖菓子にご満悦で、もっと食べたいと言うので、小さい玻璃の瓶に入ったものを一つ買ってやる。露草は優しくも厳しく、
「少しずつ食べるのですよ」
と虹音に言い聞かせ、虹音は素直に頷いて、白月は求められるがまま買い与えた考えなしの自分に少しばかり恥じ入った。
紫蛇と虹音は子どもで、露草は酒に弱いというので、酒の試飲は白月だけがした。正直、成人にはまだ遠く、酒を飲むのは初めてだが、今は龍の身だ。固いことはいいだろう。
小さな盃に一口分ずつ入れられた酒を、次々飲み干していく。ほとんどは違いがよく分からなかったが、一つの酒を口に含んだ時、その馥郁とした香りと、深みのある甘みに目を見開いた。そんな白月に、店員が笑みを浮かべる。
「お目が高い。その酒は、随分珍しいもので、とある奥地にある虹色の水から作られているのです」
「虹、虹、虹音の虹!」
と虹音が喜ぶ。その酒に決め、砂糖菓子も、虹音が一番美味しいというものに決めると、虹音は喜んではしゃいだ。
「妹さんを可愛がっておられるのですな」
と言われ、白月は苦笑するしかなかった。酒樽と砂糖菓子の山は、屈強な店員達が、街の外れに止めた貸し馬車まで運んでくれた。馬車が荷物でいっぱいになり、いざ出発しようとした時、白月はくらりと頭がくらむのを感じた。足元がふらつく。顔がぽーっと赤くなった。
「白月様……酔われたのですね」
そうか、これが酒に酔うという感覚なのか、と自覚はするが、自覚したところでどうしようもない。馬車の傍らに、ぺたりと座り込んでしまう。
「酔われた状態で馬車に乗るのはよくありません。虹音様を連れて飲み物を買ってまいりますので、紫蛇様はここで白月様についていてくださいまし」
紫蛇が頷いて、露草と虹音は街の方へ戻っていく。
大丈夫かと声をかけてくれる紫蛇には悪いが、気遣う声も今は煩わしく、軽く手を振って、黙ってくれと伝え、膝を抱えて座り込み、うなだれる。紫蛇は黙ってくれたが、そこにさらに煩い声がかけられた。
「おい、そこの女! 大丈夫か! 具合でもわるいのか!」
その声量だけでも頭がガンガンするというのに、さらに悪いことには、聞き覚えのある声だった。白月が上目でその男を睨めば、彼も白月に気づいたようだ。
焔だった。
焔は白月を認め、明らかに動揺して立ち尽くす。
「おまえ……具合が、その……」
「酔っているだけだ。今は斬りかかってくるなよ」
「今なら、俺に倒されるほど弱っているのか」
「いや、手加減が効かず、殺してしまうだろう」
淡々と言った白月に、焔はしばし沈黙したが、やがてため息をつき、白月の隣に腰を下ろした。紫蛇が白月を守るように、白月と焔の間に陣取り、焔を睨む。
「少年、そう睨むな。──そうだな。確かに、お前が本気なら、とうに俺は殺されていただろう。それで気づいてもよかったんだ。おまえは誰も殺していないということに」
あんな馬鹿馬鹿しい詮議だったのだ。もっと早く気づいても良かったと思うが、今はそう言ってやる余裕がない。
「ほら、水だ。飲めば少しは楽になろう」
と差し出された水袋をひったくり、遠慮なく、少しぬるい水をぐびぐびと喉に流し込む。毒を盛られる心配はしなかった。この男がそんな手段を使うとは思えなかった。
「悪かった。白月。あれから、母を問い詰めたんだ。元々おまえの美貌を妬んでいたところに利益をちらつかされ、言われるがまま偽証をしたそうだ。──当家の不名誉だ。俺は今、おまえの無実を証明するために動いている。おまえが王国に戻れるように」
白月は思わず、一瞬自分の不調を忘れた。
「──はぁ!? 何を勝手なことを」
誰がそんなことを望んだ。白月は今の暮らしが──招かれざる客人達、特に虹音を除けばだが──気に入っていた。王国に戻ろうなどと考えたこともない。
声を荒げた白月に、焔もまた、白月を睨む。
「仮にも貴族の姫が、あんな場所でひとり寂しく暮らしているのを放っておけるか」
「私は龍だ。人間と一緒にするな!」
「強がらなくても良い」
「強がっていない!」
言い争いは平行線で、決着は着かないかに思われた。が、ずっと白月と焔の間に挟まり、存在を忘れられていた紫蛇が、声を上げる。
「あの!」
その声に二人が沈黙したのを確認して、紫蛇は焔を見た。
「あの──あなたの気持ちは分かります。痛いほど。でも、あなたは、白月さんの気持ちを置き去りにしている。それじゃあ、彼女を殺人犯と思っていた今までと、何も変わらないのだと、俺は思います」
訥々と話すその声には、だが、人の心を動かす真摯さがあった。焔は黙り、そして、立ち上がった。
「──とにかく、俺はおまえの無実を晴らす。それは当家、引いては我が王国の恥だからだ。それだけは、決して譲れん。俺はもう行く。ここに来たのは、騎士団の任務のためで、もう休憩時間も終わりだ──元気でな」
歩き去っていく焔の背中を、白月はぼんやりと見送っていた。
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