4 / 11
小さな嵐と救いの露草
しおりを挟む
その日、心地よい午睡のまどろみに身を任せていた白月は、凄まじい轟音により眠りから引き戻された。
「なっ、何!?」
よもや、また虹蛇王国の軍勢がやって来たのかと思った。が、外を見れば、庭の池が竜巻状に吹き上げられており、そのてっぺんでは虹音が笑っていた。
「きゃっはっはは!!」
心から愉しげなその笑い声にぞっとする。
「虹音! 危ない! やめなさい!!」
白月は魔力を使って水流を鎮めようとする。が、虹音は不満げな顔になって、抵抗した。
「好きに過ごしていいって、言ったじゃない!」
その言葉に白月は少しひるんだが、ここは大人の狡さを発揮することとし、
「おとなしくしていれば、という意味だ!」
と怒鳴り返した。白月の方が虹音より魔力が強い。水流が収まり、ようやく一息つける、と思ったのも束の間。虹音は今度は城の中に駆け出していく。ガシャアアン、ドシャアアアン、とひどい音が連続して聞こえてくる。果たして何が起きたのか、確認したくもない。白月は頭を抱えた。
「虹音、やめなさい!」
紫蛇の必死な声も聞こえてくるが、虹音を止めるには至っていない。
ガオオオ、と獣の咆哮が聞こえてくるに至って、白月はようやく、虹音を止めるべく部屋を出た。
虹音がまたがっているのは、玄関広間に鎮座していたはずの狼の石像だ。それが今は、ふさふさした毛皮に、揺れるしっぽを持ち、虹音を乗せて城の中を疾走しているのだった。
「虹音!」
白月が呼ばわると、狼は足を止めた。白月は狼を睨む。
「元の場所に戻りなさい!」
狼は、しぶしぶ、といった体で、玄関広間の方へ走り去っていく。おそらく、台座の上に戻り、元通りの石像となるだろう。
白月は腕組みをし、目を眇めて虹音を見下ろした。あの狼が動くなんて今まで想像もしていなかったが、それを虹音に悟られてはいけない。しごく当然のことが起きた、といわんばかりの顔を作った。
「虹音。これ以上悪戯をして、城のものを壊すなら、ここには置いておけません!」
虹音はぷっくりと頬を膨らませた。
「遊んでただけなのに」
そこでようやく、虹音を追ってきた紫蛇がたどり着いた。ハァハァと息を切らせている。
「……虹音……やめなさい……おとなしくするんだ……」
「にいちゃん」
虹音は紫蛇に飛びついて抱き上げられると、ようやく大人しくなった。
紫蛇によると、虹音は元々利かん気な悪戯っ子で、母を亡くして孤児となってからも、引き取ってくれた村長を困らせ続け、紫蛇はほうぼうに謝り続ける毎日だったそうだ。龍への变化が始まり、身体が動かなくなってからは勿論おとなしかったが、こうして白月の魔力を得て復活した今、目覚めかけた龍の力まで得て、ますますきかん坊になったようだという。
「申し訳ありません。本当に、申し訳ありません」
と紫蛇は何度も頭を下げるが、白月は頭を振る。
「いや。君のせいじゃないし」
そう言いつつも、白月の午後は虹音との追いかけっこに費やされ、ぐったりと椅子にもたれかかった身体からは、もう気力の一つも湧いてこない。
──これが、一ヶ月毎日続くのか。
そう思うと、気が遠くなりそうだった。
四日後。楠率いる隊商の一行は、白月の城にたどり着いた。城壁の周囲には何人もの人がいて、城壁に触れては消えていく。
「あんたら、商人かい。故郷に帰るのに、この城壁は便利だもんな」
そう言って、先にいた者達が場所を開けてくれる。だが、先頭に立った楠が白月の鱗を掲げると、城壁には、まるで空間が歪んだように、ぐるりと穴が空き、それはやがて人一人の幅がある入り口になった。
おお、と周囲から歓声が上がる中、楠達の一行は一列になって、城の中に入っていった。
──そして、その惨状に、さすがの楠も眉を上げた。
ここ数日雨も降っていないのに、びしょびしょに濡れて泥だらけの庭。池の周囲に植わった木は折れて、窓に嵌められた玻璃もいくつか割れている。
そして、キャイキャイと騒ぐ子どもの声がして、その声が近づいてくるとともに、城の扉が開き、すっかり疲れた顔の少女が現れた。
「ああ、おまえか。よく来たな。──私の城も、普段はもう少し格式高いのだが」
その声音。真珠色の肌と翠の瞳。どうやらこの少女が先日の龍らしいと判断し、隊商の一行はそれぞれに顔を見合わせた。
城の中もひどいものだった。広間の中央を走り回る姿で固まった獣の石像。割れた花瓶。罅の入った壁。
厳重に施錠してあるという客間だけは、重厚な家具が無事な姿で残り──ただし、ずいぶん埃が積もっていた。白月は魔法で風を起こし、椅子の上の埃を吹き飛ばすと、商人達に椅子を勧め、自分もぐったりと長椅子にもたれかかった。腕の中で暴れる少女の身体は離さない。まるで、離すと何をするかわからないと恐れているようだった。
「紫蛇、紫蛇! 片付けは後にして、来てくれ!」
白月がそう呼ばわると、紫の瞳をした美しい少年が現れ、少女の身体を受け取った。少女は少年の腕に抱かれると、比較的大人しくなった。
「──故あって一ヶ月だけ預かっているのだが、とにかくこの虹音の悪戯には困っているのだ。紫蛇の言うことしか聞かんし、遊びに夢中になると紫蛇の言うことも大体は聞かん。果たして私が一ヶ月保つかどうか、もう自信がない……」
四日前に会ったばかりの商人に愚痴を言ってしまうのは、ひたすら暴れる虹音と、ひたすら謝る紫蛇にだけ囲まれ、愚痴を言える相手が今までいなかったからだろう。
「なぁ、この娘を、一ヶ月眠らせておく薬とか持ち合わせがないか?」
と聞いたのは、何も期待したからではなかった。平たく言ってやけっぱちだったのだ。
が、楠は冷静に答えた。
「そのような薬はありませぬ。──が、もっと良いものがございます」
その言葉に、白月はわずかに気力を取り戻し、前のめりになった。
「なんだ。言ってみよ」
楠は頷くと、隊商の一人に合図した。
「露草を、ここに」
「はっ」
髭を生やした隊商の男が、一人の女の手を引いて、白月の前に連れてくる。女は頭から深く布をかずいていて、その顔は見えないが、垣間見える白い肌とふっくりとした桃色の唇は、女が美しいことを予感させた。
「この露草は、人攫いに捕まっていたところを、縁あって私達の隊商が助けた女です。精霊の加護を持ち、不思議な力を持っております。さぞ、良い子守になるでしょう」
白月はがっかりした。
「なんだ、人か。使用人はいらぬ。待遇に不満を言っては仕事をせず、面倒ばかり起こす」
白月が独りになった後の龍宮家の使用人たちがそうだった。まだ子どもの白月は彼らに侮られ、屋敷にあった財産もいくつも持ち逃げされたものだ。
「露草の人格は、この私が保証いたしましょう。あなたが鱗を預けてくださった私の言ではご不満か」
そこまで言われれば無碍にもできず、白月は眉根を寄せる。
「とはいえ、子守が必要なのは一ヶ月だけだ。その後の彼女の身の振り方をどうする」
問えば、楠は頷く。
「この露草は、行方の知れぬ夫を探しているのです。ですが、夫が目指す先は分かっております。一ヶ月後の龍の宴です。おそらく、白月様も一ヶ月後には龍の宴に出席されるはず」
──忘れていた、とは言い難く、白月は神妙な顔で頷いてみせる。
龍の宴。それは、月に一度、満月の夜に、龍たちが集まり宴を開き、龍達の社会にまつわる様々な問題について話し合う夜だ。龍宮家にも言い伝えられている。──が、昔話の一つとして頭の片隅に片付けられて忘れ去っていた。先月までは参加もしてない。どうしよう、今更出席したら、今までの欠席について何か言われるだろうか。
そんな白月の心中に構わず、楠は言葉を続けた。
「龍の宴の場所まで、どうか露草をお連れください。その後は、露草が自分でどうとでもします」
淡々とした樟の言葉に、白月はしばし沈思する。
楠が露草を拾ったのは、昨日今日というわけではあるまい。四日前、白月が楠と初めて会った時には、楠の頭にはすでにその算段があり、ただ、持ちかけるのは早計にすぎると判断して、今日の来訪となったのだろう。
その時ちょうど、虹音がむずがり始めた。眠くなったのだろう。紫蛇の腕の中で暴れ、
「抱っこはいや、まだ遊ぶ!」
と喚き始めた。普段なら、これから一暴れが始まるところだ。ちょうどいい、と白月は思う。
「露草とやら。子守としてのおまえの腕を見せてくれ」
そう伝えれば、露草は深く頭を下げ、
「はい」
と鈴の鳴るような声で答えた。露草は紫蛇の腕から虹音を受け取ると、暴れるその身体を優しく揺すり、歌を歌い始めた。白月までまどろんでしまいそうな、優しく染み入る歌だった。虹音は見る見る間におとなしくなり、露草の腕の中で眠ってしまった。
白月は目を丸くして、その様子を見つめた。すでに心は決まっていた。
「採用だ。露草を雇おう。露草の賃金と、おまえへの代金はいくらになる」
楠は頷いて、代金の交渉に入った。白月はもちろん言い値を払った。
「なっ、何!?」
よもや、また虹蛇王国の軍勢がやって来たのかと思った。が、外を見れば、庭の池が竜巻状に吹き上げられており、そのてっぺんでは虹音が笑っていた。
「きゃっはっはは!!」
心から愉しげなその笑い声にぞっとする。
「虹音! 危ない! やめなさい!!」
白月は魔力を使って水流を鎮めようとする。が、虹音は不満げな顔になって、抵抗した。
「好きに過ごしていいって、言ったじゃない!」
その言葉に白月は少しひるんだが、ここは大人の狡さを発揮することとし、
「おとなしくしていれば、という意味だ!」
と怒鳴り返した。白月の方が虹音より魔力が強い。水流が収まり、ようやく一息つける、と思ったのも束の間。虹音は今度は城の中に駆け出していく。ガシャアアン、ドシャアアアン、とひどい音が連続して聞こえてくる。果たして何が起きたのか、確認したくもない。白月は頭を抱えた。
「虹音、やめなさい!」
紫蛇の必死な声も聞こえてくるが、虹音を止めるには至っていない。
ガオオオ、と獣の咆哮が聞こえてくるに至って、白月はようやく、虹音を止めるべく部屋を出た。
虹音がまたがっているのは、玄関広間に鎮座していたはずの狼の石像だ。それが今は、ふさふさした毛皮に、揺れるしっぽを持ち、虹音を乗せて城の中を疾走しているのだった。
「虹音!」
白月が呼ばわると、狼は足を止めた。白月は狼を睨む。
「元の場所に戻りなさい!」
狼は、しぶしぶ、といった体で、玄関広間の方へ走り去っていく。おそらく、台座の上に戻り、元通りの石像となるだろう。
白月は腕組みをし、目を眇めて虹音を見下ろした。あの狼が動くなんて今まで想像もしていなかったが、それを虹音に悟られてはいけない。しごく当然のことが起きた、といわんばかりの顔を作った。
「虹音。これ以上悪戯をして、城のものを壊すなら、ここには置いておけません!」
虹音はぷっくりと頬を膨らませた。
「遊んでただけなのに」
そこでようやく、虹音を追ってきた紫蛇がたどり着いた。ハァハァと息を切らせている。
「……虹音……やめなさい……おとなしくするんだ……」
「にいちゃん」
虹音は紫蛇に飛びついて抱き上げられると、ようやく大人しくなった。
紫蛇によると、虹音は元々利かん気な悪戯っ子で、母を亡くして孤児となってからも、引き取ってくれた村長を困らせ続け、紫蛇はほうぼうに謝り続ける毎日だったそうだ。龍への变化が始まり、身体が動かなくなってからは勿論おとなしかったが、こうして白月の魔力を得て復活した今、目覚めかけた龍の力まで得て、ますますきかん坊になったようだという。
「申し訳ありません。本当に、申し訳ありません」
と紫蛇は何度も頭を下げるが、白月は頭を振る。
「いや。君のせいじゃないし」
そう言いつつも、白月の午後は虹音との追いかけっこに費やされ、ぐったりと椅子にもたれかかった身体からは、もう気力の一つも湧いてこない。
──これが、一ヶ月毎日続くのか。
そう思うと、気が遠くなりそうだった。
四日後。楠率いる隊商の一行は、白月の城にたどり着いた。城壁の周囲には何人もの人がいて、城壁に触れては消えていく。
「あんたら、商人かい。故郷に帰るのに、この城壁は便利だもんな」
そう言って、先にいた者達が場所を開けてくれる。だが、先頭に立った楠が白月の鱗を掲げると、城壁には、まるで空間が歪んだように、ぐるりと穴が空き、それはやがて人一人の幅がある入り口になった。
おお、と周囲から歓声が上がる中、楠達の一行は一列になって、城の中に入っていった。
──そして、その惨状に、さすがの楠も眉を上げた。
ここ数日雨も降っていないのに、びしょびしょに濡れて泥だらけの庭。池の周囲に植わった木は折れて、窓に嵌められた玻璃もいくつか割れている。
そして、キャイキャイと騒ぐ子どもの声がして、その声が近づいてくるとともに、城の扉が開き、すっかり疲れた顔の少女が現れた。
「ああ、おまえか。よく来たな。──私の城も、普段はもう少し格式高いのだが」
その声音。真珠色の肌と翠の瞳。どうやらこの少女が先日の龍らしいと判断し、隊商の一行はそれぞれに顔を見合わせた。
城の中もひどいものだった。広間の中央を走り回る姿で固まった獣の石像。割れた花瓶。罅の入った壁。
厳重に施錠してあるという客間だけは、重厚な家具が無事な姿で残り──ただし、ずいぶん埃が積もっていた。白月は魔法で風を起こし、椅子の上の埃を吹き飛ばすと、商人達に椅子を勧め、自分もぐったりと長椅子にもたれかかった。腕の中で暴れる少女の身体は離さない。まるで、離すと何をするかわからないと恐れているようだった。
「紫蛇、紫蛇! 片付けは後にして、来てくれ!」
白月がそう呼ばわると、紫の瞳をした美しい少年が現れ、少女の身体を受け取った。少女は少年の腕に抱かれると、比較的大人しくなった。
「──故あって一ヶ月だけ預かっているのだが、とにかくこの虹音の悪戯には困っているのだ。紫蛇の言うことしか聞かんし、遊びに夢中になると紫蛇の言うことも大体は聞かん。果たして私が一ヶ月保つかどうか、もう自信がない……」
四日前に会ったばかりの商人に愚痴を言ってしまうのは、ひたすら暴れる虹音と、ひたすら謝る紫蛇にだけ囲まれ、愚痴を言える相手が今までいなかったからだろう。
「なぁ、この娘を、一ヶ月眠らせておく薬とか持ち合わせがないか?」
と聞いたのは、何も期待したからではなかった。平たく言ってやけっぱちだったのだ。
が、楠は冷静に答えた。
「そのような薬はありませぬ。──が、もっと良いものがございます」
その言葉に、白月はわずかに気力を取り戻し、前のめりになった。
「なんだ。言ってみよ」
楠は頷くと、隊商の一人に合図した。
「露草を、ここに」
「はっ」
髭を生やした隊商の男が、一人の女の手を引いて、白月の前に連れてくる。女は頭から深く布をかずいていて、その顔は見えないが、垣間見える白い肌とふっくりとした桃色の唇は、女が美しいことを予感させた。
「この露草は、人攫いに捕まっていたところを、縁あって私達の隊商が助けた女です。精霊の加護を持ち、不思議な力を持っております。さぞ、良い子守になるでしょう」
白月はがっかりした。
「なんだ、人か。使用人はいらぬ。待遇に不満を言っては仕事をせず、面倒ばかり起こす」
白月が独りになった後の龍宮家の使用人たちがそうだった。まだ子どもの白月は彼らに侮られ、屋敷にあった財産もいくつも持ち逃げされたものだ。
「露草の人格は、この私が保証いたしましょう。あなたが鱗を預けてくださった私の言ではご不満か」
そこまで言われれば無碍にもできず、白月は眉根を寄せる。
「とはいえ、子守が必要なのは一ヶ月だけだ。その後の彼女の身の振り方をどうする」
問えば、楠は頷く。
「この露草は、行方の知れぬ夫を探しているのです。ですが、夫が目指す先は分かっております。一ヶ月後の龍の宴です。おそらく、白月様も一ヶ月後には龍の宴に出席されるはず」
──忘れていた、とは言い難く、白月は神妙な顔で頷いてみせる。
龍の宴。それは、月に一度、満月の夜に、龍たちが集まり宴を開き、龍達の社会にまつわる様々な問題について話し合う夜だ。龍宮家にも言い伝えられている。──が、昔話の一つとして頭の片隅に片付けられて忘れ去っていた。先月までは参加もしてない。どうしよう、今更出席したら、今までの欠席について何か言われるだろうか。
そんな白月の心中に構わず、楠は言葉を続けた。
「龍の宴の場所まで、どうか露草をお連れください。その後は、露草が自分でどうとでもします」
淡々とした樟の言葉に、白月はしばし沈思する。
楠が露草を拾ったのは、昨日今日というわけではあるまい。四日前、白月が楠と初めて会った時には、楠の頭にはすでにその算段があり、ただ、持ちかけるのは早計にすぎると判断して、今日の来訪となったのだろう。
その時ちょうど、虹音がむずがり始めた。眠くなったのだろう。紫蛇の腕の中で暴れ、
「抱っこはいや、まだ遊ぶ!」
と喚き始めた。普段なら、これから一暴れが始まるところだ。ちょうどいい、と白月は思う。
「露草とやら。子守としてのおまえの腕を見せてくれ」
そう伝えれば、露草は深く頭を下げ、
「はい」
と鈴の鳴るような声で答えた。露草は紫蛇の腕から虹音を受け取ると、暴れるその身体を優しく揺すり、歌を歌い始めた。白月までまどろんでしまいそうな、優しく染み入る歌だった。虹音は見る見る間におとなしくなり、露草の腕の中で眠ってしまった。
白月は目を丸くして、その様子を見つめた。すでに心は決まっていた。
「採用だ。露草を雇おう。露草の賃金と、おまえへの代金はいくらになる」
楠は頷いて、代金の交渉に入った。白月はもちろん言い値を払った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる