9 / 65
一章 異世界転生(人生途中から)
9 獣人が街にやってきた
しおりを挟む
今日は休診日。私はいつも通り勉強に勤しんでいたが、昼食を取りもうひと勉強したところで集中力が切れた。
(なにか息抜きがしたい!)
けれどもこの世界は娯楽がなさすぎる。というか日本に娯楽がありすぎたのかもしれないけど。
ここで楽しめるものは本や新聞、それか誰かとご飯に行ったり飲みに行ったりするくらいか。テレビもねぇ、ラジオもねぇ、車はそこそこ走ってる、ってなもんで。家族がいる人は家族と過ごすことを大事にしている。それも私とは無縁なわけで。寂しい独り身バンザイ!(ヤケクソ)である。
だから暇さえあれば勉強している。こんなに勉強したのは学生の時ですらなかった。娯楽という誘惑がなければ私という人間はそこそこやれるのかもしれない。いや、大人になったからこそ学ぶ楽しさも分かるし、今後の生活がかかっているのも大きいか。
しかし休みの日に朝から晩まで勉強漬けというのも頭が疲れてくる。なので私は食料の買い出しがてら外に気分転換しに行くことにした。
食料品の買い物はいつも商店街でしているが、今日は本屋も覗いてみようと思い、バスで2つ行った先の街に繰り出すことにした。
そして目当ての店に着いた時だった。
「アンタに売るモンはない。出てってくれ!」
ちょうど入ろうと店から怒鳴り声が聞こえたかと思ったら、中から叩き出されてきた人物を見て驚き、不躾にも凝視してしまった。
(頭に耳!? もしかして獣人!?)
その人__男性と思われる__は頭に犬か狼に見える耳が生え、おしりには尻尾があった。そして好奇心で顔の横にも耳があるのかと目を向けると、その部分には髪が生えており人間の耳はなさそうだった。
主に新聞で情報を得ていた私は、どうやらこの世界には獣人なる人々が住んでいるのは知っていたが、ジルタニアには帝都以外にはほぼ住んでいないということもあって今まで見かけたことはなかった。
店を出された男性は一瞬傷ついたような顔をして、それから私と目が合った。
私はまたしても癖で会釈をしてしまい、しまったなと思ったが、男性は不思議そうにしながらも私に合わせて顔を傾けて会釈らしいものを返してくれた。
あっ良い人だなと思った瞬間、声をかけていた。
「なにかあったんですか?」
「この本屋は獣人の入店はお断り、ということみたいです」
獣人差別__それがあることも新聞の書き振りからなんとなく察してはいた。ただ実際目にするとただただ気分が悪かった。
「別の店行きましょう! 私もこんな店ではもう二度と買いません!」
「いや、でも、他ってどこに……?」
「……どこにあるだろう。とりあえず隣町に行きましょう!」
勢いだけで当てはない。それでも男性はついてきてくれるようだった。
隣町にはバスに乗るほどの距離でもない。私は向かい方向を指差して歩き出した。
歩いていると人々の視線が刺さるのが分かる。
「すまない。やっぱり注目されてしまってますね」
「私は大丈夫です」
そして落ちる沈黙。私は話題を探した。
「なんの本を探してるんですか?」
「あぁ、なにってことはないんです。買い物ついでに職場の同僚みんなで読める本でも買って帰ろうかと思って」
見れば男性の手提げ袋には荷物がいくつか入っているらしく少し膨らんでいた。
(よかった。職場では仕事場では嫌な扱いは受けてなさそう)
「仕事ってなにを?」
「貴族のお屋敷で運転手をしています。今回もこのハールズデンの街には主人の用事で来ました」
なるほど。だから土地勘がなくてあのような店に入ってしまったのか。
「あー、私は魔法診療所で見習いをしています」
個人情報を引き出してばかりでは悪いなと思い、自分の話もしてみた。
「すごいな! じゃあゆくゆくは魔法治療師になるのか! いいなぁ。俺の故郷にも1人くらいいてくれたらなぁ」
「故郷って?」
「ウィルド・ダムの大森林の奥にある狼族の村です。帝都からもこの街からもすごく遠いところだ」
ウィルド・ダムというのはこの国の隣にある獣人が住む国のことだ。
「そこには魔法治療師がいない?」
「あぁ。そもそも獣人で魔法が使えるやつはとても少ないんですよ」
俺も使えませんし、と言って彼は薄く笑った。失礼ながら耳や尻尾にばかり気がいっていたせいで気づかなかったが、よく見たら男らしい整った容姿をしていた。
「じゃあちょっと大きな怪我をした時とか困りますね」
「治療師がいないのが当たり前だから困るって感覚はないですけどね。残念ながら医療は平等じゃない。そうでしょう? その代わりうちの村には魔法みたいによく効く薬を作る婆さんがいるよ」
医療は平等じゃない。この国でもそうだ。どの町にも医者がいるわけではないし、国民皆保険もないから国民は大抵民間の保険に入る。しかしお金がなく保険に入っていない場合、治療費が全額自己負担になるため病院に行けない、という人もいる。
「どんな人も健康に生きる権利があるはずなのに……」
「やっぱりお医者さんのタマゴはいいこと言うなぁ。……あっ、あそこ、本屋じゃないですか?」
「ほんとだ」
30分ほど歩いて隣町まで来て、そこから15分ほど歩いてついに書店を見つけた。
「……見つけた! 入りましょう。大丈夫、何か言われたら私がなんとかします!」
「ははっ! ありがとうございます」
私は緊張しながら店に入った。
店の奥にいて新聞をよんでいた店主は私たちを一瞥して再び視線を戻した。
(よかった。ここは大丈夫みたい)
そう思うと同時に、この人は店に入るたびにこんな不安を抱えているのかと思うとつらい。
私たちは頷き合って、それぞれ目当ての本を探して購入し、店を出た。
「買えてよかったですね。古本屋さんだったから安くて雑多なジャンルが置いてあって。良い店を見つけられました」
「おかげさまで。ありがとうございます。あなたはどんな本を?」
「植物図鑑を。挿絵が綺麗だったので眺めてるだけでも気分転換になるかなって。そちらは?」
「『華麗なるハワード氏』というのを。昔に中央大陸で流行った小説を翻訳してアレンジしたものらしいです」
説明書きがある背表紙を見せながら彼は笑う。守りたいこの笑顔。
だが、ここでお別れだ。
もう会うことはないだろう。だけどとても気持ちの良い人で、私はウィルド・ダムも獣人も一気に好きになった。
そして私たちは別れの挨拶をして、私は家路についた。
(なにか息抜きがしたい!)
けれどもこの世界は娯楽がなさすぎる。というか日本に娯楽がありすぎたのかもしれないけど。
ここで楽しめるものは本や新聞、それか誰かとご飯に行ったり飲みに行ったりするくらいか。テレビもねぇ、ラジオもねぇ、車はそこそこ走ってる、ってなもんで。家族がいる人は家族と過ごすことを大事にしている。それも私とは無縁なわけで。寂しい独り身バンザイ!(ヤケクソ)である。
だから暇さえあれば勉強している。こんなに勉強したのは学生の時ですらなかった。娯楽という誘惑がなければ私という人間はそこそこやれるのかもしれない。いや、大人になったからこそ学ぶ楽しさも分かるし、今後の生活がかかっているのも大きいか。
しかし休みの日に朝から晩まで勉強漬けというのも頭が疲れてくる。なので私は食料の買い出しがてら外に気分転換しに行くことにした。
食料品の買い物はいつも商店街でしているが、今日は本屋も覗いてみようと思い、バスで2つ行った先の街に繰り出すことにした。
そして目当ての店に着いた時だった。
「アンタに売るモンはない。出てってくれ!」
ちょうど入ろうと店から怒鳴り声が聞こえたかと思ったら、中から叩き出されてきた人物を見て驚き、不躾にも凝視してしまった。
(頭に耳!? もしかして獣人!?)
その人__男性と思われる__は頭に犬か狼に見える耳が生え、おしりには尻尾があった。そして好奇心で顔の横にも耳があるのかと目を向けると、その部分には髪が生えており人間の耳はなさそうだった。
主に新聞で情報を得ていた私は、どうやらこの世界には獣人なる人々が住んでいるのは知っていたが、ジルタニアには帝都以外にはほぼ住んでいないということもあって今まで見かけたことはなかった。
店を出された男性は一瞬傷ついたような顔をして、それから私と目が合った。
私はまたしても癖で会釈をしてしまい、しまったなと思ったが、男性は不思議そうにしながらも私に合わせて顔を傾けて会釈らしいものを返してくれた。
あっ良い人だなと思った瞬間、声をかけていた。
「なにかあったんですか?」
「この本屋は獣人の入店はお断り、ということみたいです」
獣人差別__それがあることも新聞の書き振りからなんとなく察してはいた。ただ実際目にするとただただ気分が悪かった。
「別の店行きましょう! 私もこんな店ではもう二度と買いません!」
「いや、でも、他ってどこに……?」
「……どこにあるだろう。とりあえず隣町に行きましょう!」
勢いだけで当てはない。それでも男性はついてきてくれるようだった。
隣町にはバスに乗るほどの距離でもない。私は向かい方向を指差して歩き出した。
歩いていると人々の視線が刺さるのが分かる。
「すまない。やっぱり注目されてしまってますね」
「私は大丈夫です」
そして落ちる沈黙。私は話題を探した。
「なんの本を探してるんですか?」
「あぁ、なにってことはないんです。買い物ついでに職場の同僚みんなで読める本でも買って帰ろうかと思って」
見れば男性の手提げ袋には荷物がいくつか入っているらしく少し膨らんでいた。
(よかった。職場では仕事場では嫌な扱いは受けてなさそう)
「仕事ってなにを?」
「貴族のお屋敷で運転手をしています。今回もこのハールズデンの街には主人の用事で来ました」
なるほど。だから土地勘がなくてあのような店に入ってしまったのか。
「あー、私は魔法診療所で見習いをしています」
個人情報を引き出してばかりでは悪いなと思い、自分の話もしてみた。
「すごいな! じゃあゆくゆくは魔法治療師になるのか! いいなぁ。俺の故郷にも1人くらいいてくれたらなぁ」
「故郷って?」
「ウィルド・ダムの大森林の奥にある狼族の村です。帝都からもこの街からもすごく遠いところだ」
ウィルド・ダムというのはこの国の隣にある獣人が住む国のことだ。
「そこには魔法治療師がいない?」
「あぁ。そもそも獣人で魔法が使えるやつはとても少ないんですよ」
俺も使えませんし、と言って彼は薄く笑った。失礼ながら耳や尻尾にばかり気がいっていたせいで気づかなかったが、よく見たら男らしい整った容姿をしていた。
「じゃあちょっと大きな怪我をした時とか困りますね」
「治療師がいないのが当たり前だから困るって感覚はないですけどね。残念ながら医療は平等じゃない。そうでしょう? その代わりうちの村には魔法みたいによく効く薬を作る婆さんがいるよ」
医療は平等じゃない。この国でもそうだ。どの町にも医者がいるわけではないし、国民皆保険もないから国民は大抵民間の保険に入る。しかしお金がなく保険に入っていない場合、治療費が全額自己負担になるため病院に行けない、という人もいる。
「どんな人も健康に生きる権利があるはずなのに……」
「やっぱりお医者さんのタマゴはいいこと言うなぁ。……あっ、あそこ、本屋じゃないですか?」
「ほんとだ」
30分ほど歩いて隣町まで来て、そこから15分ほど歩いてついに書店を見つけた。
「……見つけた! 入りましょう。大丈夫、何か言われたら私がなんとかします!」
「ははっ! ありがとうございます」
私は緊張しながら店に入った。
店の奥にいて新聞をよんでいた店主は私たちを一瞥して再び視線を戻した。
(よかった。ここは大丈夫みたい)
そう思うと同時に、この人は店に入るたびにこんな不安を抱えているのかと思うとつらい。
私たちは頷き合って、それぞれ目当ての本を探して購入し、店を出た。
「買えてよかったですね。古本屋さんだったから安くて雑多なジャンルが置いてあって。良い店を見つけられました」
「おかげさまで。ありがとうございます。あなたはどんな本を?」
「植物図鑑を。挿絵が綺麗だったので眺めてるだけでも気分転換になるかなって。そちらは?」
「『華麗なるハワード氏』というのを。昔に中央大陸で流行った小説を翻訳してアレンジしたものらしいです」
説明書きがある背表紙を見せながら彼は笑う。守りたいこの笑顔。
だが、ここでお別れだ。
もう会うことはないだろう。だけどとても気持ちの良い人で、私はウィルド・ダムも獣人も一気に好きになった。
そして私たちは別れの挨拶をして、私は家路についた。
10
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました
葉月キツネ
ファンタジー
目が覚めると昔やり込んだ乙女ゲーム「白銀の騎士物語」の悪役令嬢フランソワになっていた!
本来ならメインヒロインの引き立て役になるはずの私…だけどせっかくこんな乙女ゲームのキャラになれたのなら思うがままにしないと勿体ないわ!
推しを含めたイケメン近衛騎士で私を囲ってもらって第二の人生楽しみます
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
隠された第四皇女
山田ランチ
ファンタジー
ギルベアト帝国。
帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。
皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。
ヒュー娼館の人々
ウィノラ(娼館で育った第四皇女)
アデリータ(女将、ウィノラの育ての親)
マイノ(アデリータの弟で護衛長)
ディアンヌ、ロラ(娼婦)
デルマ、イリーゼ(高級娼婦)
皇宮の人々
ライナー・フックス(公爵家嫡男)
バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人)
ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝)
ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長)
リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属)
オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟)
エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟)
セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃)
ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡)
幻の皇女(第四皇女、死産?)
アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補)
ロタリオ(ライナーの従者)
ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長)
レナード・ハーン(子爵令息)
リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女)
ローザ(リナの侍女、魔女)
※フェッチ
力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。
ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。
君を愛することは無いと言うのならさっさと離婚して頂けますか
砂礫レキ
恋愛
十九歳のマリアンは、かなり年上だが美男子のフェリクスに一目惚れをした。
そして公爵である父に頼み伯爵の彼と去年結婚したのだ。
しかし彼は妻を愛することは無いと毎日宣言し、マリアンは泣きながら暮らしていた。
ある日転んだことが切っ掛けでマリアンは自分が二十五歳の日本人女性だった記憶を取り戻す。
そして三十歳になるフェリクスが今まで独身だったことも含め、彼を地雷男だと認識した。
「君を愛することはない」「いちいち言わなくて結構ですよ、それより離婚して頂けます?」
別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。
そして離婚について動くマリアンに何故かフェリクスの弟のラウルが接近してきた。
婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います
ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」
公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。
本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか?
義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。
不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます!
この作品は小説家になろうでも掲載しています
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる