戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

文字の大きさ
上 下
119 / 122

第117話 助け舟と入れ違い

しおりを挟む
「そんな大金は、今の家には無い!分割で払って返すしか
私には返す手段が無いんだが、それでも良いですかな?」

医者のアウリスは、借金取りの男達に返済の仕方に付いて
話し合っていたのだ。だが、男達は一括返済でないと駄目
だと主張して、話し合いは平行線を辿っていた。

「旦那さん、悪いが俺達も半年間も待ってたんだ。それな
のに、奥さんが支払いを無視してしまい、今の状況になっ
てしまっている。それを考えたら俺達としても、無理を言
ってる訳ではないだろう?此の状況になった奥さんが悪い
んだからな!」

借金取りの男は、支払いを半年間も無視されたと主張して
いる。それを考えたら、一括返済を迫っている向こうの方
の言い分も、決して間違ってはいない.......

「イルマが支払いを無視した事は、悪いと思うが、だが家
には、そんな大金は無いんだ!だから。分割でしか支払い
が出来ない!無い物は無い。有るのならば今直ぐにでも払
いたいが、本当に10.000ベルクと言う大金は、家には無い
んだよ!」

「困ったな.....仕方ない明日また来るから、それまでに親戚
からでも良いから金を借りて来て、全額返済をしてくれよな
それでないと、俺達も最後の手段を取るしか方法がなくなる
解ったな?」

「そんな......待ってくれ!まだ話し合えるはずだ!もう1度
だけ話し合いをしよう!待ってくれないか!」

男達は、言う事を言うと診療所を出て行き、後に残されたの
は、診療所の夫婦だけだった。

「アウリス、どうしよう?10.000ベルク何って、家には無い
わよ!身内に借りるって言ったて、貸してくれる様な金持ち
の身内なんって居ないし。」

「イルマ、そんな事は解って居るよ!でも、遣れる事をしな
ければ、キミが借金の方に売り飛ばされてしまう!そうなれ
ば、私はキミと二度と会えないかもしれない!」

「そんなの嫌よ!アウリスと離れる位ならば死んだ方がマシ
だわ!」

傍から観ていた俺は、ある事を思い出していたのだ。それは
奪還作戦に、医者と回復治療士が必要だと言う事を俺は、思
い出していた!それに、薬剤師も必要なのだが、もしも2人
が仲間に加われば、2人の知り合いに薬剤師が居るはずなの
で、その人物を誘う事にしよう!

途方に暮れている2人に、俺は意を決して話し掛けたのだった。

その10.000ベルク、俺が肩代わりしても良いですよ!

2人は、予想もしてなかった事で、呆気に取られた顔を俺に向け
たのだった。状況が飲み込めたのは、俺が話を切り出してから、
暫くしてからだった。

「ですが、簡単に言いますが、10.000ベルク何って大金をお持ち
なのですか?簡単に出せる金額では無いですよ!もしも、嘘なら
ば、からかうのは止めて頂きたい!」

アウリスは、俺が2人をからかって居ると思ってしまい。俺の申
し出を本気にしては居なかったのだ。だが俺は、明日の同じ時間
に、診療所にまた来ると伝えると、その場を後にしたのだった。

次の日の午後!

俺は、水揚げ場で昨日の荷揚げ分の売り上げを貰うと、お金の勘定
を始めたのだった。

鉄鉱石代が35.000ベルクで、診療所の夫婦の借金が10.000ベルクで
ある!合わせて45.000ベルクになるのだが、荷揚げした荷を売った
代金はと言うと全部で、40.000ベルクしかなかったのだ。5.000ベル
クも足りなかった!

その足りない分は、俺の貯めている金から出して、45.000ベルクと
言う大金を捻出させたのだ!俺は直ぐに診療所に向かったのだが、
運が悪かったのか、既に借金取り達がイルマを連れ去ってしまって
いたのだった。

「好成さん、さっき男達がイルマを連れ去って行きました!止めた
のですが、私では何も出来ずに、この様な姿に為されしまいました。
お願いです!イルマをイルマを助けて下さい!」

俺は、アウリスに解ったと告げると、アウリスを助けお越し、診療所
のベッドに横に寝かせてから、アウリスに訊いた場所に赴いたのだっ
た。

その場所は、見るからに柄の悪そうな者達が、屯してそうな場所で、
今にでも柄の悪そうな連中が、飛び出して来て襲ってくるかも知れ
ない様な、そんな雰囲気を醸し出していたのだ。

入り口には見張りが2人いるな!此処は堂々と正面から入って行き
イルマを救出するのが1番良いだろう!

俺は、そう思うと直ぐに入り口から中に入ろうと、玄関に向かった
のだが、案の定、玄関に居た見張りに呼び止められると、事情を話
しても問答無用とばかりに襲ってきたのだった。

そこいらに居るゴロツキなど、好成の相手では無く、すれ違い様に
みぞおちを殴り、2人を一瞬の内に気絶させたのだった。

表の騒ぎに感づいた中の者達が、直ぐに玄関に集まると、好成の周り
を取り囲んでいたのだ。その中には、昨日の借金取りの姿も居たのだ
った。

俺は直ぐに、借金取りの男に話し掛けると、男は前に出てきて俺に話
し掛けたのだった。

「確か、昨日の診療所に居た奴だよな?内の手の者に何してくれてる
んだ?話の内容に寄っては、只で帰れると思うなよ!」

借金取りの男は、好成の返答次第では、生きて返さない積りだった!

しおりを挟む

処理中です...