戦国の鍛冶師

和蔵（わくら）

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第114話　不利な状況と逆転劇

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一際大きなシーランド・シェーヴルは、好成が間違えた火薬の匂いに
鼻が遣られてしまったのか、罠の場所までに逃げる間に投げた匂い袋
の匂いには全然、気にも留めなかったのだ。

当初の会的場所から、相当な距離が離れており、罠の場所まで行くの
に時間が掛かってしまっていた。だが、そんな事はシー・シェーヴル
には関係なく、隙さえあらば、俺に角を叩き付けようと突進していた
のだった。

それを俺は、紙一重で躱しながら懸命に逃げていた！

太い木の幹などの後ろに隠れながら、銃を撃ったりして足止めを心見
るも、シー・シェーヴルもまた銃を警戒しているのか、俺が銃を構え
えると、直ぐに木の裏に隠れたのだ。

鼬ごっこの様に埒があかず、俺は次第に憤慨して行ったのだった。

こんな事ならば、最初から岩場に罠を仕掛けず、森の中に仕掛ければ
良かったと後悔したのだが、そんな事を考えても後の祭りであったの
だ。

俺達の鼬ごっこは、岩場に着くまで続いたのだ！その結果は俺が、もう
限界に近い状態になり、流石にもう走れないと思い始めていたのだ！

そんな時だった！

後ろから急に衝撃が、俺の体を貫いていた。シー・シェーヴルに追い着
れて、角を背中に叩き付けて来た衝撃だったのだ！

俺は、突発的な事で、受身などを取れずに前のめりになりながら、前に
吹っ飛ばされたのだった。俺は、一瞬だけだが意識を失くしまい。その
間に、シー・シェーヴルは俺に止めを刺そうと、俺の上で馬乗りになり
ながら前足を俺に振り下ろそうとしていたのだ。

それを俺は、ギリギリで躱すと、直ぐに手に持っている銃で、体を抑え
付けていた奴の足を殴ったのだ。銃も硬かったが、シー・シェーヴルの
足も硬かった！

俺の手は、殴った後に痺れてしまったのだ。

体が硬いと言っても痛くない訳ではなく、シー・シェーヴルは泣き声を
上げて暴れだしていた。俺は、その暴れ出したシー・シェーヴルに潰さ
れない様に、素早くシー・シェーヴルの体の下から抜け出すと、目の前
に見えていた松明へと駆け寄ったのだった。

この松明は、静達が作ってくれた爆弾を爆発させる為に、必要な松明で
これがなければ導火線に火を付ける事が出来ないのだ。あからさまでは
あったが、そこは堂々と置いてた方が、逆に怪しまれないと思い、その
まま松明を見える場所に置いていたのだ！

俺はシー・シェーヴルの足で押さえられた場所を庇いながら、罠までの
距離を走り抜けたのだった。いや.....転ろびながら進んだと言った方が、
語弊がないだろう！

足も限界に近く、足を上げるだけでも、きつかったのだ！

そんな中でも、俺は懸命に罠までを進み、ようやく罠が見えたと思ったら
またもや、後ろからの衝撃で前に、吹っ飛ばされたのだった。

だが、俺は既に吹っ飛ばされた瞬間に、決着が付いた事を悟ったのだった。
奴が今しがた立っている場所は、俺が見つけた亀裂の上であり、既に導火線
には点火していたのだ。

そして、奴は俺を吹っ飛ばした事により、また俺の上に乗ろうとしている様
で、俺にゆっくりと近づくのだが、俺が少しでも体を動かすと、びっくりと
して動きを止めたのだった。

俺は、手に持っている銃は、吹っ飛ばされても手からは放さなかった！
そのおかげで、奴は俺に注意を払わないと行けなかったのだ。そんな
事をしていると、時間になりシー・シェーヴルの足元からは、凄い音と
衝撃が発生したのだった。

ドッカーン!!!!!

耳を塞いで居ても、凄い爆発音で耳鳴りが暫く続いたのだった。

爆発音を訊き付け、アントンとニーロが罠の場所まで遣って来たのだ！
そして、瓦礫に埋もれて動けなくなっているシー・シェーヴルを見つけ
ると、俺に止めはどうするのかと訊いてきたのだった。

ニーロに任せる事にしたのだ。ニーロに任せておけば、止めを刺した後
に、ちゃんと血抜きをしてくれるだろうし、血抜きをする人物が止めを
刺した方が、作業も楽になるそうなのだ。

下手な場所などを斬ると、肉の鮮度も落ちるし、血抜きも中途半端に終
わってしまい味にも影響が出ると、ニーロは俺に力説していたのだ！

流石は野生児のニーロだ！仕事が細かいし、徹底した拘りが見え隠れも
していたのだ。

まさに職人と言っても過言ではなく、ニーロは自分の爪を使い、素早く
血抜きの為の傷を付けると、木に吊るす為の縄をシー・シェーヴルの体
に素早く巻き付け、そして吊るす高さまで、拘りを見せていたのだ。

これには、俺もアントンもあきれてしまい、ニーロの作業をみながら、
そんな事が味に関係あるのかと、頭を過ぎっていたのだった。

確かに、血抜きをしてない肉は、臭くて食べれた物ではないのは知って
いるが、吊るす高さや、切り口などが関係あるのかと２人で、考えてい
ると、ニーロは俺達に真剣な顔を見せながら、力説を始めたのだった！

ニーロの力説が終わる頃には、一際大きなシー・シェーヴルの血抜きも
終わり、運べる状態になっていたのだ。シー・シェーヴルを木から下ろ
す際に、下に荷台を待機させており、を木から降ろすと、
そのまま野営地へと運んだのだった。

俺は、野営地に辿り着くと鎧を脱ぎ、体当たりされた場所と踏まれた
場所を見ていたのだ。案の定、青痣になっており、治るまでには当分
掛かりそうであった。

町に帰れば、教会や診療所に常駐している回復治療師に、頼めば直ぐに
でも青痣などの軽症は治ると言う事なのだが、俺は未だに回復治療師に
治療された事がなく、少し不安でもあった！

本当に治るのだろうか？

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