戦国の鍛冶師

和蔵(わくら)

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第41話 来式銃とオレーク式銃

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馬上撃ちならぬリス上撃ちで、獲物に狙いを定めて撃ってみたのだった。
馬上撃ちをするより、揺れが少なく安定した射撃が出来るのが、大きな
利点と言えよう。ニーロが走りながらでも射撃の命中精度は落ちずにいた。

船上で射撃するのに比べれば、揺れなど対した事はなく、気にならずに
射撃が出来ていた。それと鞍がある事が大きく貢献しているのだ。

足を安定させる事で、射撃精度をあげるのだ。
此処で銃に付いて語って行こう!

俺が考えた魔力球を横から入れる、魔力鉄砲銃を来式と、今後は呼ぶ事に
した。オレークさんが考えた銃は、オレーク式と呼称する。それと、今後
は魔力鉄砲銃と呼ばずに、正式名称をシーランド銃とする。

シーランド銃・来式・シーランド銃・オレーク式
この2つの呼び名が、正式名称になるのだ。

ニーロに乗りながら俺は、野鳥に向けてシーランド銃を構えて撃っていた。
魔力球は、5型を小型化してるので、10秒間隔で1発撃てている!それでも
数が多いと、10秒と言う時間は長く、野鳥が2羽も居た場合とかは、1羽を
取り逃がしてしまっていた。1羽を狙うのは簡単だが、2羽目に照準を定め
めるまでに、2羽めは既に射程外ギリギリまで、飛んで逃げている事が多い
のだ。

早めに魔力球6型の完成を待ち、そうして販売まで待たないと行けなかった。
そするれば、今以上に連続で射撃が出来るし、照準を付ける時間も生まれる
今のシーランド銃の射程は、種子島銃より射程は短かったからだ。

魔力球6型に求めているのは、威力と時間短縮だったのだ。
威力が増せば、射程も自然と延びるからだ!

それでも、シーランド銃の長所は幾多もある。その1つは種子島銃で大変な
弾込めが不要な事と、天候に左右されない事だった。更には火薬も要らない
ので、火薬代・弾代も掛からない!それと、オレーク式だけだが、銃剣なる
物を、銃身に取り付けられるのだ。鉄の串を付けてるだけなのだが、これが
観てると便利に思えてくるのだ。魔獣など、動きが早い獲物が迫ってきたら、
銃剣で突き、敵が怯んだ隙に、距離を取り、射撃をしていたのだ。

種子島銃の長所は、射程がシーランド銃より長く、且つ威力が高かった事だろう。
弱点は、言わずと知れた天候に左右され、火薬・弾が必要で、シーランド銃よりは
重たかったのだ。オレーク式みたいに、銃剣も取り付けられない!

来式の長所は、シーランド銃が魔力切れになった時に、素早く横から見えている
魔力球から魔力を供給できることだ。短所は、魔力球を交換する時に時間が掛かる
事だった。

オレーク式の長所は、魔力球の交換が素早く出来る事だったのと、銃剣が取り付け
られる様になっており、接近戦になっても、剣に持ち替えしなくて済むと言う点だ。
欠点はと言うと、魔力球に魔力の供給が出来ないので、魔力球から球を取り出して
から、魔力を球に込めなければならなかった。

2つのシーランド銃は、製作した人物の個性がでており、どちらを好んで使うかは
使い手の好みと言えるだろう。

オレークさんが、シーランド・ウルフと言う名の魔獣と戦っていた。大型犬の様に
大きな狼で、動きも機敏で早かったのだ。オレークさんは狼の速さに翻弄されてい
て、全然シーランド銃の弾が、狼に当たらないでいたのだ。そしてオレークさんの
目の前まで迫った狼は、オレークさんの首筋を目掛けて飛び掛ったのだが、狼は飛
んだままの状態で、空中に少しの間だけ留まっていた。その理由が、銃剣に突かれ
た状態だったからだ。

やはり動きの早い敵には、銃剣があるのと無いのでは、戦い方が違うな!誰もが
素早く銃から剣に持ち替える事はできないだろう。それを見越しての銃剣なのだ
ろうな!銃剣で止めを刺す事も可能な事に、俺は驚きを隠せないでいた。

敵が迫ってきた時に、牽制だけを目的として、取り付けられている物と思い込ん
でいたからだ。現に今までは、シーランド・ラビットなる敵には、そうして倒し
ていたから、俺は思い込んでしまっていたのだ。

俺は来式にも、何か出来ないかと皆に訊くと、静が「オレーク式の銃剣は、取り外
しが出来ず、固定式銃剣なので、銃自体の重さが来式より重くなっていますよね?
そこで、私は考えたんですけど、苦無位の大きさで、取り外しが出来る物があった
ら、便利だとは思いませんか?」と静が言い出したのだ。

なるほど!静の意見は参考になる!
町に帰ったら、早速試作品に取り掛かろうか。

同業の物より、更に良い物を考えるのは、商売の鉄則だった。
このままでは、来式は全然売れずに、銃と言えばオレーク式と
言う風になってしまうだろう!

俺も鍛冶屋の端くれだ!もっと良い物を作って見せようぞ!

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