28 / 122
第27話 道具雑貨店とグローブ鉄砲
しおりを挟む静の小物作り用の道具を買いに、町にある道具雑貨店にきている。
道具雑貨店とは、大工道具や鍛冶屋道具など、様々な道具を専門
に販売している店の事である。その他にも、大工に必要な資材や
鍛冶に必要な鉄鉱石、家の材料なども売っているのだ。
此処で材料を揃えれば、家が一件建つと言われてるお店である。
家の資材で言えば、風呂場の材料・台所の材料・居間の材料・
寝室の材料・玄関や厠の材料など、様々な物を売っているのだ。
黒猫屋のオレークさんも、お薦めするお店・道具雑貨店の匠に
買出しに来ているのだ。
オレークさんも、此処のお店には良くお世話になっていると、
言っているくらいだから、品揃えもさる事ながら、品質も申し分
なく、質と量の両方を満足させてくれる、大型販売店なのだ。
魔力鉄砲を作り終わったら、帰る前に此処に立ち寄り、鍛冶道具
を買って帰ろうと、俺は心に決めたのだった。オレークさん所で
使っている道具が沢山あり、一種類ではなく何種類もあって、
此処は時間が幾らあっても足りない程に、居るのが楽しくなる店
なのだ。
「好成様、この工作短刀は持つと手に馴染みます!」
どうやら静は、気に入った工作短刀が見付かった様だな!
秋と芳乃の分の工作短刀も、この際だし一緒に買っておこう。
そうすれば、女子衆には魔力鉄砲で使う、砲身の取っ手や握り
部分の木材の加工を作ってもらえる。
建築資材売り場で、手頃な角材を何本かを見繕い、それと大きめ
の角材も買って買える。この大きめの角材は、引き金と魔力筒を
取り付ける為に、少し大きめにしており、一本の木材から削りだ
しして、引き金部分を作る予定なのだ。
静には大変だろうが、頑張って作ってもらいたい。
この部分が魔力鉄砲の一番の要でもあるのだから、もしも失敗す
る様な事になれば、根本的な部分の作りを考え直さないと、悪く
なるのだから、是非とも成功させてもらいたい。
「好成様、そんなに大事な事を私に頼むんですか?」
静は話を訊いていたので、どれだけ大事な事かを理解しているし、
理解できたのだ。なにせ静と秋は根来衆で、鉄砲に付いて仕込ま
れているのだから、解って当然なのだ。
黒猫屋のオレークさんには言わなかったが、実は火薬もこの世界
では、作ろうと思えば作れるのだ。根来衆は自分達で、自給自足
していたのだから、作れないはずがなかった。だが俺はあえて、
オレークさんには、火薬は作れないと言ったのだ。
種子島銃は、威力も命中率も飛距離も全てが、魔力大砲には劣る
のだが、この世界でも戦をしたいとは思わないから、秘密にした
のだった。魔力鉄砲などは、アンジェ達、ケット・シー族に使っ
て欲しくて、考案したに過ぎず。この世界にある技術で作れる物
をアンジェ達に使って貰いたかった。
そうすれば、俺達が作った物でアンジェ達は、魔物から身を守れ
るのだ。ケット・シー族にはグローブ剣やグローブ金槌・グロー
ブ鎌などがあるが、それも全ての部族の者達に、行き渡る数では
無かったのだ。だからアンジェ達は、戦う事が出来ないだの、苦手
だの言っているのだ。装備が揃えばケット・シー族は、戦えるのだ
決して、アンジェ達は弱くは無い!
ベールプコヴァールト村の生き残りを護衛しながら、ハルネフェルド村
まで遣って来れたのは、アンジェ達が頑張ったからだ。彼等が助かった
のは、ケット・シー族が体を張って守ったからだ!
ケット・シー族を見た奴等が、アンジェ達の悪口を言っているのを訊い
た時は、斬り捨てて遣ろうかと、激昂してしまった。通りをダーンと、
一緒に歩いていると、道端で話をしてる奴等は、陰口を言う.....何も知ら
ないくせに、好き勝手言いやがって、ダーンの涙目を俺は忘れない!
俺が、ケット・シー族の為の、武器を作ろうと思った瞬間でもあった。
ダーン達は、もっと褒められるべきなのだ。あれだけの功績があるのに
陰口を言われる何って、俺は認めない!認めてたまるか。人の為に自分
を犠牲にして、褒められない。認められないのは辛いものだ。
グローブ魔力鉄砲を早く完成させて、アンジェ達に使って貰いたい。
そしてアンジェやダーンには、胸を張って町を歩いてもらいたい。
逃げるだけが上手いケット・シー族ではなく、戦うのが上手い
ケット・シー族と言われる様に、なって貰う事が俺の願いなのだ。
いや.....
これは俺達の願いなのだから!
馬鹿にした奴等を見返して遣れ!自分達の行いを誇りに思え!
彼等ケット・シー族には、それだけの事をした功績があるのだから、
正当な評価は当然の事である。
「好成さん、ボク達は幸せです。だって好成さん達が、全てを知って
くれてるし、認めてくれてるのだから、此れ以上の幸せは無いです」
ダーンよ!泣くな.....男が泣いて良いのは、良いのは、今だな。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
その者は悪霊武者なり!
和蔵(わくら)
ファンタジー
その者は悪霊!戦国の世を生き、戦国の世で死んだ!
そんな人物が、幕末まで悪霊のまま過ごしていたのだが、
悪さし過ぎて叙霊されちゃった...叙霊されても天界と現世の
狭間で足掻いている人物の元に、業を煮やした者が現れた!
その後の展開は、読んで下さい。
この物語はフィクションです!史実とは関係ありません。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる