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閑話2
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……
「先生!読者の反応最高に良いですよぉ~!特にこの新キャラ!おっぱい大きくて太ももえちちな可愛いちょっとわがままなお嬢様キャラ!少年たちの性癖を壊しにいくなんて先生やりますねぇ~」
「……アハハ、ありがとうございます。やっぱり子供とはいえ男子ですからお色気成分も入れなくちゃ、と思いまして」
「しかもバエルの事が超超大好きってこれ……最&高じゃないですかぁ。派手な見た目同士お似合いカップリングですねぇ!」
「……アハハ。読者からも好評みたいで」
「大きなお友達ことお兄さんたちにも、上層部にもブッ刺さっていますよぉ!このままアニメ化いきましょ!アニメ化!」
「……この前まで恋愛いらねぇとかほざいてたくせに……」
「ん?何か言いました?」
「いいえ、何でもないですよ」
「そうですか。ははは!やっぱ画面には花がないと!映えですよ!映え!」
「……アハハ」
……
――そんな乾いた笑い声が聞こえた気がした。
目を開けると見知っている『はず』の天井が映った。起き上がると馴染みのある『はず』のベッドが軋む。見回すと自分の『はず』の部屋。階下から聞こえくる両親の『はず』の声。昔から身に染みている『はず』の料理の匂い……ここ最近ずっと『こんな感じ』である。自分の周りの環境に妙な『違和感』を感じるようになってしまった。まるで他人と入れ替わったような『違和感』。本来の自分ではない『違和感』
「何考えてるんだ、俺は」
そんな独り言を呟いて鏡を見る。俺は『映得バエル』一九歳。メチャウマ大学に通いつつ、実家のトラットリアを手伝っている。得意のスイーツ作りや食べ歩き、出場する料理大会の様子などをSNSに投稿し、毎度大きくバズらせ今や有名インフルエンサー。卒業したら実家を継ぐ――『はず』だ。
「また『はず』だ、か……俺疲れてるのか……?なぁ?どうよ?」
俺はため息交じりに鏡の横に置いてあるこけし人形に手を伸ばす。こけしに話しかけている時点で疲れているのかもしれないが、何故か触れていると安心するのだ。そして眺めていると妙に愛おしく感じてくる。どこにでもある、何の変哲もないこけしなのに
「お前は世界一可愛いなぁ……」
「バエル――――――!」
唐突に自室のドアが開けられ、顔馴染みの『はず』の女が飛び込んできた。
「いつまで寝ているの?!今日は大事なコンテストでしょ!我がクリフ財閥主催の美食コンテスト!優勝したら私との結婚をパパに認めてもらえるんだから!」
「はいはい」
「も~!どうせ昨夜も遅くまでSNS見ていたのでしょ?ベッドで自撮りとかアップして、思わずスクショしちゃ……こほん!早く準備して会場行くわよ!」
そう言って腕に絡み付きつつ胸を押し付けてくるのは『ハニー・クリフ』。高飛車を擬人化したような見た目で、確か俺と同じ歳の一九歳。世界有数の美食財閥のお嬢様。一応幼馴染……の『はず』だ。子供の頃暮らしていた外国で知り合い、日本まで俺を追いかけて来た。俺の事が大好きな俺の……俺の?
「どうしたの?バエル?いつもの『愛されてるなぁ、俺は』って言葉ないけれど……」
「……え?あ、ああ……うん」
「……もぉ、緊張してるのね!大丈夫、バエルは私の選んだ世界一映える料理人なんだから。絶対優勝できるわ」
ハニーが笑う。俺もいつものように笑い返したがそんな自分に『違和感しかなかった』
「先生!読者の反応最高に良いですよぉ~!特にこの新キャラ!おっぱい大きくて太ももえちちな可愛いちょっとわがままなお嬢様キャラ!少年たちの性癖を壊しにいくなんて先生やりますねぇ~」
「……アハハ、ありがとうございます。やっぱり子供とはいえ男子ですからお色気成分も入れなくちゃ、と思いまして」
「しかもバエルの事が超超大好きってこれ……最&高じゃないですかぁ。派手な見た目同士お似合いカップリングですねぇ!」
「……アハハ。読者からも好評みたいで」
「大きなお友達ことお兄さんたちにも、上層部にもブッ刺さっていますよぉ!このままアニメ化いきましょ!アニメ化!」
「……この前まで恋愛いらねぇとかほざいてたくせに……」
「ん?何か言いました?」
「いいえ、何でもないですよ」
「そうですか。ははは!やっぱ画面には花がないと!映えですよ!映え!」
「……アハハ」
……
――そんな乾いた笑い声が聞こえた気がした。
目を開けると見知っている『はず』の天井が映った。起き上がると馴染みのある『はず』のベッドが軋む。見回すと自分の『はず』の部屋。階下から聞こえくる両親の『はず』の声。昔から身に染みている『はず』の料理の匂い……ここ最近ずっと『こんな感じ』である。自分の周りの環境に妙な『違和感』を感じるようになってしまった。まるで他人と入れ替わったような『違和感』。本来の自分ではない『違和感』
「何考えてるんだ、俺は」
そんな独り言を呟いて鏡を見る。俺は『映得バエル』一九歳。メチャウマ大学に通いつつ、実家のトラットリアを手伝っている。得意のスイーツ作りや食べ歩き、出場する料理大会の様子などをSNSに投稿し、毎度大きくバズらせ今や有名インフルエンサー。卒業したら実家を継ぐ――『はず』だ。
「また『はず』だ、か……俺疲れてるのか……?なぁ?どうよ?」
俺はため息交じりに鏡の横に置いてあるこけし人形に手を伸ばす。こけしに話しかけている時点で疲れているのかもしれないが、何故か触れていると安心するのだ。そして眺めていると妙に愛おしく感じてくる。どこにでもある、何の変哲もないこけしなのに
「お前は世界一可愛いなぁ……」
「バエル――――――!」
唐突に自室のドアが開けられ、顔馴染みの『はず』の女が飛び込んできた。
「いつまで寝ているの?!今日は大事なコンテストでしょ!我がクリフ財閥主催の美食コンテスト!優勝したら私との結婚をパパに認めてもらえるんだから!」
「はいはい」
「も~!どうせ昨夜も遅くまでSNS見ていたのでしょ?ベッドで自撮りとかアップして、思わずスクショしちゃ……こほん!早く準備して会場行くわよ!」
そう言って腕に絡み付きつつ胸を押し付けてくるのは『ハニー・クリフ』。高飛車を擬人化したような見た目で、確か俺と同じ歳の一九歳。世界有数の美食財閥のお嬢様。一応幼馴染……の『はず』だ。子供の頃暮らしていた外国で知り合い、日本まで俺を追いかけて来た。俺の事が大好きな俺の……俺の?
「どうしたの?バエル?いつもの『愛されてるなぁ、俺は』って言葉ないけれど……」
「……え?あ、ああ……うん」
「……もぉ、緊張してるのね!大丈夫、バエルは私の選んだ世界一映える料理人なんだから。絶対優勝できるわ」
ハニーが笑う。俺もいつものように笑い返したがそんな自分に『違和感しかなかった』
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