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03.イン・ポスター
ちくわ大明神
しおりを挟む意見のっていうか、スタンスのっていうか、そもそもこんな意見をすり合わせるのはどうなのだろう。
彼女は仲良くしたいわけではなく、『嘘を吐いていて口裏を合わせるべく共謀してください』と、無料で頼んでいるわけで――――
「お願いします―!お恵みをどうか」
盛大に土下座し始める小池さん。もはやなりふり構ってられないらしい。
「助けてくれ、ちくわ大明神ーっ」
「小池まーたやってるよ」と誰かが呆れている。
よくある光景のようだ。
悲痛ではあるが、同情したところで大きな嘘を吐いたもの勝ちというのも、正直者が損である。
「……あの、とりあえずお汁粉吸ってもよろしいですか?」
うんざりしたようにお汁粉の缶を取り出す三日月さん。
「いいですよ」
と、誰かが勝手に許可を出す間もなく、缶を開け始めた。
常備しているかのような手慣れた手つきだ。
「そういえば、それよく飲まれてますけど、月に何本くらいお吸いに?」
窓際で駄弁っている女子生徒Aが興味深そうに訊ねる。
「ふた箱くらいですねー」
三日月さんは嬉しそうだ。箱買いしてるらしい。
「もう、10年くらい。魅力に憑りつかれてしまって」
えへへ、と幸せそうな三日月さん。
「なるほど、ところで」
女子生徒Aが、窓際から見える駐車場に目をやる。
「あそこにベンツが停まってますわね」
「えぇ、停まってますね」
頷く三日月さん。女子生徒Aは続ける。
「もしあなたがお汁粉を吸わなければ」
「アシカガ」
「ちくわ大明神」
「あれくらい買えたんですよ」
得意げな女子生徒A。
「あれは私のベンツですね~」
微笑む三日月さん。
「「誰だ今の」」
唐突に間に挟まる小池さん。
「小池」
挙手。
「「小池!!」」
唐突な「アシカガ」と
「ちくわ大明神」にドッと生徒会が沸く。
ボード上でちくわとアシカガの二次創作が始まり――――
このままぐだぐだと時間が浪費されるかに思われたが、そうはならなかった。
「ちゃんとやりなさい!」
という『パソコン』からの号令によって真面目に生徒会業務が再開されたのだ。
はい……
やります……
現在、三日月さんが慣れた手つきでマジックを手に取り、ボードに書記をしている。
「はい、じゃあそういう訳で。いろいろ忙しいけれど、色々と合わせて頑張りましょう!」
はーい、とだらけた返事が各方面から上がる。
三日月さんはにっこり微笑むと、先程書いた文字を読みだした。
「ではまず、近頃はなにかと事件があり混乱ぎみなので、メンバーや関係者にも現状把握していただけるよう、整理しつつ……」
「待ってください」
小室さんが挙手する。
「はい?」
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