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08.異臭騒ぎ
ダークロックマンの辺り
しおりを挟むするとぼくたちに続いてやってきた、ダイヤさんがささぎさんにファイルを手渡す。
「こっちも、そのようです」
それを見て、ささぎさんも頷いていた。
な、何をやったんだ?
どうして一連の流れで、ナナオさん(誰?)が出て来て、
鷹の会が絡んでるって結論づけられていて、ささぎさんが此処に居るのだろう。
?でいっぱいになっているぼくを眺めながらまつりが無表情で言う。
「あのドラマってね、鷹の会と今も深い付き合いのあるテレビ局が流しているんだ」
「そうなの?」
そう、とまつりは頷く。ささぎさんも同意した。
「――――かつて、あらゆる会社、機関、企業、それに、テレビ局が彼らに乗っ取られていた。知ってるよね。現代社会で習った筈だよ。勿論まだ余波っていうか、そういう感覚が局に残っている。某局は社長が急に変わったしね」
ささぎさんが、クスクスと笑う。
「こっちでも少し面白いことがあったから、『件の原作』の方に、ちょっとしたお話をしてみたの。そうしたら、まぁ、芋づる式に会の関係者が浮かんでくるじゃない。みんな身内で固まっているしね」
まつりが頷く。
「やっぱりそうか。当時の熱心な信者として挙がっていた名前にも、足立や松本があったという覚えがあるんだ」
沈黙。
噴水の水が上がる。
暑い夏を部分的に冷やしているようで、見ているだけで少しだけ涼しくなる。
水瓶を抱えた白い女神が、憂いを帯びた表情で池を眺めている。
ちゃぽちゃぽ、とコミカルな水の音がして、静寂をかろうじて掻き消していた。
花壇から、お花畑のにおいがする。
ささぎさんもまつりも、何やら考え込んでいる様子だ。
ぼくは、独り残されたような気分で聞いた。
「足立と松本が、鷹の会の信者の名前にあった、って今なんで関係あるんだよ」
「信者、ううん。詳しくは、幹部の名前だ。――――幹部ってのは、テロ事件のときも教祖の代わりに毒を撒いたり、脱会者の殺人を犯す為の駒になっていた」
まつりが言う。
「実行部ってところだね」
「いや、だから、どうして今それが……」
まつりは、むっと拗ねたようになって言った。
「他人の頭の悪さには興味無いけど、ちょっとは考えてみて欲しい」
「ご、ごめんなさい」
しょんぼりしながら考えてみる。
えーっと、と言っても何を考えるんだっけ。
何処から考えるんだっけ。
もちろん謎迷宮なんか出てこない。
「考えるのは良い事だけど、オチもついたし、これから、細かい情報収集に出掛けなきゃならないんだから。5分以内ね」
「うぐぐぐ」
ふと、資材小屋?の方を見ると、すっかり鎮火しており、あの炭も存在していなかった。誰かが片付けたのだろうか。
あれもあれでいろいろと気になることがあるんだけどな。
頭を抱えていると、『はぁ』、と諦めたようなため息と共に、まつりは言う。
「ダークロックマンの話してた辺りから考えてみたら?」
ダークロックマンの辺りから?
えーっと……えーっと、人工衛星『風』の話をして、
スカートが都合よくめくれるシチュエーションなんかそこまで起こらないよとか言って……
「そ、そうだ。不十分な装備でボス戦って感じだったんだ」
女装もままならないままに、学園に一度訪れているんだ。
なぜそんなことをした?
――――なんとなく?
まつりはぼくよりも頭が良いけど、ちょっと天然なところもあるからな……
(そこが可愛くて、ぼくが居なくちゃという感じで放っておけないんだけど)
でも、本人がダークロックマンの辺りからって言ったからにはちゃんと構想が練られていたわけで……
一度、学園に姿を見せて……そこから、戻って。
学園をみないと理解してくれないでしょ、なんていうのは適当に言っただけで……
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