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07.レタスと1月11日

殺し屋と屋台荒らし

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「殺し屋を?なんで?」
首を傾げると、まつりは当然じゃないかというように答えた。

「此処最近だと、学園祭が行われるからだよ」
  うーん。簡潔過ぎる。
まつりが言葉を続けるより先にダイヤさんが即座に口を挟んだ。
「そう。安全確保のため。殆どの生徒には警備員って事にしてるけど」
「警備員?」
 警備員なんてノリで済まされるのだろうか。
いざとなったら殺すって、そんな、そうまでするほどの相手が学園祭に乗じてやって来るって、一体此処はどんなところで――――
って言うか、既に犠牲者が出てる?

「えぇ……そうね、学園祭があるからかも。隣接校、ライバル校の人達がよくなだれ込んで来るから、その抑止力みたいなもの」
ダイヤさんもダイヤさんで何やら納得しているようだけどぼくにはわからない。
「え、えっと、ダイヤさんは、あの、っていうかこの学校って……」
ぼくが戸惑っていると、彼女は呆れたようにまつりを見て言い放った。

「ねぇ。貴方、この子に何にも教えてないの?」
「教える必要が?」
まつりがにこにこ笑う。
はぁ、とダイヤさんがため息を吐いた。

「いいわ。まぁ……要点だけに絞ると、今度秋に学園祭があるの。ここ数か月はその為の準備期間が入る。
この学園は設立当初から『土地の権利等の問題を抱えていて』、そのことで、反理事長派とかがよくなだれ込んで来る。
爆破をもくろんだり、火炎瓶を投げようとするような野蛮な連中」

そこまで一息に言い切ると、彼女は深呼吸して続けた。

「学園祭は、外部の客の出入りが自由だからね、毎年『祭りを荒らして回る』集団が来るの」
「悪意も、悪気も、わざとでもなく」
まつりが言葉を付けたした。
とんでもない集団がいたものだ。しかも、先に自己弁護で武装している卑怯さがうかがえる。

 とにかく、この学園は何か知らないが相当な敵に囲まれているということだけは把握。あの手紙が来たというのも、脅迫関係の依頼で、理事長では動きようが無いという意味だったのだろうか。
それにしても彼女はなぜまつりとこんな話をしているんだろう。
彼女の素性をぼくは何も知らないままに話が進んでいた。

「殺し屋は報酬さえあれば、自分たちで手を汚すことなく邪魔者を消せる存在だけどね」
 考えて居るうちに、彼女は途中で言葉を切って、遠くを見上げる。
「彼らは人と人が分かり合えないことを知ってる。手綱を握ってないとあっという間に暴れてしまう」
と、なんだか寂しそうに。実感があるかのように。




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