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異次元からの侵略者
第117話 目的を再確認した
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これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
停戦中の北部戦線の戦闘が、再び始まるまで15時間をきった。
衛星基地ソゴムに調査に来たマイとユアとメドーラの三人は、その総攻撃が始まる時間までに、安全宙域に逃れる事は出来なくなった。
そこで、衛星基地ソゴムの中心近くにあった次元の歪みから、侵略者の次元空間へと侵入する。
そこは、別の次元空間なのに、ソゴムと同じ風景だった。
そこで遭遇した人物は、みんなケイの姿をしていた。
マイ達三人は、情報を探るため、第五作戦本部を目指す。
オフロードバイクをとばす、マイ達三人。
都市のビル街の様な景観の中、時速百キロで第五作戦本部を目指す。
衛星基地ソゴムの次元の歪みを目指す時は、時速八百キロだった。
それは、決められた道を、ただ突き進むだけだったから。
しかし今は、周囲に注意を払いながら、進む必要があった。
先頭を走るメドーラは、後続のふたりに合図を送る。
速度をゆるめ、物影にオフロードバイクを停める。
目指す第五作戦本部までは、残り三ブロックだった。
つか、次元空間が違うのに、ソゴム内部が同じ作りな事に、少なからず驚いている。
「たくさんの視線を感じますわ。」
メドーラが、オフロードバイクを停めて物影に隠れた理由を話す。
「ええ、私達の目的も、バレてるみたいね。」
姿は見えなくても、視線は感じる。
ユアはこの先に罠が仕掛けられていると、勘ぐる。
「え、そうなの?」
マイは、そんな視線に気づかなかった。
「あんたねえ。」
ユアは、こちらの次元空間に突入してからのマイの行動が、いちいち癪に触る。
この時代に召喚された者同士なのに、マイからはその才能を感じない。
そう、ユアもマイも、戦争をする為にこの時代に召喚されたのだ。
「今、私達が何やるべきか、分かってるの?」
ユアは冷たく突き刺すような口調で、マイに問いただす。
ユアの納得いかない答えが返ってきたら、ぶん殴るつもりだ。
「んー。」
考えこむマイ。
即答出来ないのか。
ユアは目を閉じて、こみ上げてくる怒りを抑える。
「でも、マイお姉さまが居なかったら、大変な事になってましたわ。」
「え?」
険悪になりそうなふたりの雰囲気を察してか、メドーラがマイの有用性を示し、呼応してユアは目を開ける。
「私とユアお姉さまだけだったら、大変な事になってましたわ。」
メドーラは、あえて同じ事を二度口にする。
だが、ユアの理解が追いつかない。
「私達だけだったら、大量虐殺をしていました。非戦闘員の一般人を相手に。」
ユアが理解してくれない事を、ちょっと残念に思うメドーラ。
「それは、」
メドーラの発言を、否定したいユア。
ここは敵地。
ならば出会った人物は、みんな敵である!
とも、言いがたかった。
「マイお姉さまの事、お認めになられますよね?」
ユアの心情の変化を察して、メドーラはにっこりとほほえみかける。
「それは、」
またもやユアは、言い淀む。
ユアのマイに対する怒り。
それを口にしてしまったのだから、それを改めるのは難しい。
人間とは、そういうものだ。
自分の意志を改める事が出来る人間は、以外と少ない。
そんなユアを見て、メドーラは不自然にほほえんだまま、表情を変えない。
「そうだね、マイも役に立ってるって事だな。」
ユアもマイを認める発言をするのだが、メドーラはまだ、表情を変えない。不自然にほほえんだままだ。
メドーラの聞きたい言葉ではなかったからだ。
「分かった、認めるよ。マイの事、認めるよ。」
ユアはメドーラをなだめるように、その言葉を口にする。
メドーラの聞きたい言葉を。
「マイが居なかったら、もっと殺伐としてたかもしれない。」
ユアの言葉を聞いて、メドーラの表情は元に戻る。
そして、ユアの言葉にうなずく。
「ええ、確かにマイお姉さまは、戦士としての心構えがなってないかもしれません。」
「でも、人として、忘れてはいけないものを持っている。だろ?」
メドーラの言葉に、ユアが続く。
そしてふたりはほほえみあう。
そんなふたりを尻目に、マイはまだ考えこんでいた。
「ごめん、よく分からなくなっちゃった。」
マイの発言に、ユアはふりむくのだが、ユアも一瞬、何の事だか分からなかった。
メドーラとの会話に夢中になって、自分がマイに言った言葉を忘れていた。
それは、ほんの一瞬だったが。
「あ、分からないってのは、あれよ、あれ。」
ユアの表情に、マイもあわてて言葉をつむぐ。
鈍感そうなマイだが、ユアが怒ってそうなのは、察していた。
メドーラのおかげで、そんなユアの怒りもおさまってる事に、マイはまだ気づいていないが。
「ほら、僕達って、生き延びる為にこっちの次元空間に来たんじゃない?
でも、具体的に、何すればいいんだろ?」
「くすくす。」
マイの発言に、メドーラは思わず笑ってしまう。
「あはは。」
ユアもつられて大笑い。
「や、やっぱり、情報収集だよね。さ、さっきのケイ、気絶させたのって、まずかったかな。」
笑われて恥ずかしくなるマイは、少し小声になる。
「そうだよね、情報収集だよね。」
笑いを抑えてユアは、真剣な眼差しをマイに向ける。
ここは敵地。
ユアは、ひとりでも多く、敵を殺す事を考えていた。
総攻撃の始まる時間まで、出来るだけ多く。
それから脱出用システムで、戻ればいい。
つまり、今やるべき事は、ひとりでも多く、敵を殺す事。
それがユアの考えだった。
そして、ユアは知らない。
マイの魂が、脱出用システムに耐えられない事を。
もし知っていたのなら、この行動は取らなかった。
マイを出来るだけ遠くに逃す事を考えたであろう。
自分がマイの盾になって。
実際、こちらの次元空間に来て、非戦闘員の一般人の存在を知る。
北部戦線の激戦地の裏の次元空間に、何があるのか。
今はこれを確かめるべきだろう。
その事を、マイのおかげで気づく事が出来た。
確かにマイは、戦士としては至らない所がある。
でも、マイにはマイとしての、良い所もいっぱいある。
これにはユアも、認めざるを得ない。マイの事を。
「その情報が、あそこにあるわけですね。」
メドーラは三ブロック先に視線を向ける。
「第五作戦本部。」
そこにあるものを、ユアが告げる。
それにマイがうなずく。
「問題は、どう向かうかなのですが。」
そう言ってメドーラは、辺りを見渡す。
そう、辺り一帯から感じる沢山の視線。
これを避けるために、メドーラ達は物影に隠れた。
「確かに。何もしてこないのも、不気味よね。」
ユアがメドーラの発言に続く。
この物影に隠れた事は、その視線の持ち主達は知っている。
その物影で、マイ達がごたごたやってる間、何の行動も起こさない。
これは、何を意味するのだろう?
「とりあえず、気づかれないように、向かうべきですわね。」
メドーラはこう言うのだが、その視線というものが分からないマイには、意味が通じなかった。
「あのう、普通にバイクを走らせちゃ、駄目なの?」
「そこはマイお姉さま。誰にも気づかれないように、向かいたいのです。」
メドーラは先ほどの台詞を、かみくだいてもう一度言ってみる。
「そう、なんだ。」
マイは、一応納得する。
こちらの次元空間に来てからの、三人の行動。
マイは、メドーラとユアが、自分に無いものを持ってる事を感じていた。
それが、ふたりに対する劣等感みたいな感情を、芽生えさせていた。
「ならば、方法はひとつね。」
ここでユアが、左の人差し指を立てる。
「強化アシストパーツを使うわよ。」
停戦中の北部戦線の戦闘が、再び始まるまで15時間をきった。
衛星基地ソゴムに調査に来たマイとユアとメドーラの三人は、その総攻撃が始まる時間までに、安全宙域に逃れる事は出来なくなった。
そこで、衛星基地ソゴムの中心近くにあった次元の歪みから、侵略者の次元空間へと侵入する。
そこは、別の次元空間なのに、ソゴムと同じ風景だった。
そこで遭遇した人物は、みんなケイの姿をしていた。
マイ達三人は、情報を探るため、第五作戦本部を目指す。
オフロードバイクをとばす、マイ達三人。
都市のビル街の様な景観の中、時速百キロで第五作戦本部を目指す。
衛星基地ソゴムの次元の歪みを目指す時は、時速八百キロだった。
それは、決められた道を、ただ突き進むだけだったから。
しかし今は、周囲に注意を払いながら、進む必要があった。
先頭を走るメドーラは、後続のふたりに合図を送る。
速度をゆるめ、物影にオフロードバイクを停める。
目指す第五作戦本部までは、残り三ブロックだった。
つか、次元空間が違うのに、ソゴム内部が同じ作りな事に、少なからず驚いている。
「たくさんの視線を感じますわ。」
メドーラが、オフロードバイクを停めて物影に隠れた理由を話す。
「ええ、私達の目的も、バレてるみたいね。」
姿は見えなくても、視線は感じる。
ユアはこの先に罠が仕掛けられていると、勘ぐる。
「え、そうなの?」
マイは、そんな視線に気づかなかった。
「あんたねえ。」
ユアは、こちらの次元空間に突入してからのマイの行動が、いちいち癪に触る。
この時代に召喚された者同士なのに、マイからはその才能を感じない。
そう、ユアもマイも、戦争をする為にこの時代に召喚されたのだ。
「今、私達が何やるべきか、分かってるの?」
ユアは冷たく突き刺すような口調で、マイに問いただす。
ユアの納得いかない答えが返ってきたら、ぶん殴るつもりだ。
「んー。」
考えこむマイ。
即答出来ないのか。
ユアは目を閉じて、こみ上げてくる怒りを抑える。
「でも、マイお姉さまが居なかったら、大変な事になってましたわ。」
「え?」
険悪になりそうなふたりの雰囲気を察してか、メドーラがマイの有用性を示し、呼応してユアは目を開ける。
「私とユアお姉さまだけだったら、大変な事になってましたわ。」
メドーラは、あえて同じ事を二度口にする。
だが、ユアの理解が追いつかない。
「私達だけだったら、大量虐殺をしていました。非戦闘員の一般人を相手に。」
ユアが理解してくれない事を、ちょっと残念に思うメドーラ。
「それは、」
メドーラの発言を、否定したいユア。
ここは敵地。
ならば出会った人物は、みんな敵である!
とも、言いがたかった。
「マイお姉さまの事、お認めになられますよね?」
ユアの心情の変化を察して、メドーラはにっこりとほほえみかける。
「それは、」
またもやユアは、言い淀む。
ユアのマイに対する怒り。
それを口にしてしまったのだから、それを改めるのは難しい。
人間とは、そういうものだ。
自分の意志を改める事が出来る人間は、以外と少ない。
そんなユアを見て、メドーラは不自然にほほえんだまま、表情を変えない。
「そうだね、マイも役に立ってるって事だな。」
ユアもマイを認める発言をするのだが、メドーラはまだ、表情を変えない。不自然にほほえんだままだ。
メドーラの聞きたい言葉ではなかったからだ。
「分かった、認めるよ。マイの事、認めるよ。」
ユアはメドーラをなだめるように、その言葉を口にする。
メドーラの聞きたい言葉を。
「マイが居なかったら、もっと殺伐としてたかもしれない。」
ユアの言葉を聞いて、メドーラの表情は元に戻る。
そして、ユアの言葉にうなずく。
「ええ、確かにマイお姉さまは、戦士としての心構えがなってないかもしれません。」
「でも、人として、忘れてはいけないものを持っている。だろ?」
メドーラの言葉に、ユアが続く。
そしてふたりはほほえみあう。
そんなふたりを尻目に、マイはまだ考えこんでいた。
「ごめん、よく分からなくなっちゃった。」
マイの発言に、ユアはふりむくのだが、ユアも一瞬、何の事だか分からなかった。
メドーラとの会話に夢中になって、自分がマイに言った言葉を忘れていた。
それは、ほんの一瞬だったが。
「あ、分からないってのは、あれよ、あれ。」
ユアの表情に、マイもあわてて言葉をつむぐ。
鈍感そうなマイだが、ユアが怒ってそうなのは、察していた。
メドーラのおかげで、そんなユアの怒りもおさまってる事に、マイはまだ気づいていないが。
「ほら、僕達って、生き延びる為にこっちの次元空間に来たんじゃない?
でも、具体的に、何すればいいんだろ?」
「くすくす。」
マイの発言に、メドーラは思わず笑ってしまう。
「あはは。」
ユアもつられて大笑い。
「や、やっぱり、情報収集だよね。さ、さっきのケイ、気絶させたのって、まずかったかな。」
笑われて恥ずかしくなるマイは、少し小声になる。
「そうだよね、情報収集だよね。」
笑いを抑えてユアは、真剣な眼差しをマイに向ける。
ここは敵地。
ユアは、ひとりでも多く、敵を殺す事を考えていた。
総攻撃の始まる時間まで、出来るだけ多く。
それから脱出用システムで、戻ればいい。
つまり、今やるべき事は、ひとりでも多く、敵を殺す事。
それがユアの考えだった。
そして、ユアは知らない。
マイの魂が、脱出用システムに耐えられない事を。
もし知っていたのなら、この行動は取らなかった。
マイを出来るだけ遠くに逃す事を考えたであろう。
自分がマイの盾になって。
実際、こちらの次元空間に来て、非戦闘員の一般人の存在を知る。
北部戦線の激戦地の裏の次元空間に、何があるのか。
今はこれを確かめるべきだろう。
その事を、マイのおかげで気づく事が出来た。
確かにマイは、戦士としては至らない所がある。
でも、マイにはマイとしての、良い所もいっぱいある。
これにはユアも、認めざるを得ない。マイの事を。
「その情報が、あそこにあるわけですね。」
メドーラは三ブロック先に視線を向ける。
「第五作戦本部。」
そこにあるものを、ユアが告げる。
それにマイがうなずく。
「問題は、どう向かうかなのですが。」
そう言ってメドーラは、辺りを見渡す。
そう、辺り一帯から感じる沢山の視線。
これを避けるために、メドーラ達は物影に隠れた。
「確かに。何もしてこないのも、不気味よね。」
ユアがメドーラの発言に続く。
この物影に隠れた事は、その視線の持ち主達は知っている。
その物影で、マイ達がごたごたやってる間、何の行動も起こさない。
これは、何を意味するのだろう?
「とりあえず、気づかれないように、向かうべきですわね。」
メドーラはこう言うのだが、その視線というものが分からないマイには、意味が通じなかった。
「あのう、普通にバイクを走らせちゃ、駄目なの?」
「そこはマイお姉さま。誰にも気づかれないように、向かいたいのです。」
メドーラは先ほどの台詞を、かみくだいてもう一度言ってみる。
「そう、なんだ。」
マイは、一応納得する。
こちらの次元空間に来てからの、三人の行動。
マイは、メドーラとユアが、自分に無いものを持ってる事を感じていた。
それが、ふたりに対する劣等感みたいな感情を、芽生えさせていた。
「ならば、方法はひとつね。」
ここでユアが、左の人差し指を立てる。
「強化アシストパーツを使うわよ。」
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