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惑星ファンタジー迷走編

第64話 エキシビションライブ

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 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 惑星ドルフレアで行方不明になったケイは、千年前にタイムスリップしていた!
 ケイは、千年前の世界から、千年後のマイ達にメッセージを遺していた。
 そんな任務遂行中に、ユアのライブコンサートの開始時刻が迫る。
 元々ユアは、このライブコンサートまでの時間しか、この任務に参加出来なかった。
 そのタイムリミットが来てしまった。
 このタイムリミットまで、ここまで話数を使うとは思わなかった。
 ドルフレア到着。
 勇者の子孫との出会い。
 千年前からのメッセージ。
 この三つのエピソードだから、最大六話だと思ってたが、そんな事はなかった。


「みんなー、私のライブに来てくれて、ありがとうー!」
 無人の荒野で、ユアが叫ぶ。
 この模様は、全宇宙のパブリックビューイング会場にて放映されている。
 その様子はパートナーのサポートAIを通じて、脳内に浮かぶ。
「今回のエキシビションライブの相手はね、なんと、私のチームメイトのマイでーす!」
 ユアは自分の左側に立つマイを紹介する。
 マイも挨拶して。とユアはマイにうながす。
「ま、マイです。よろしくお願いします!」
 マイは頭を深々と下げた後、両手を振るう。
 観客は盛り上がる。
「マイの事は、知ってる人もいるんじゃない?」
 ユアは、宇宙中の観客に問いかける。
「そう、彼女こそが期待の超新星マイ、その人です!」
 観客は盛り上がる。その名を知ってる人は知ってるのだ。
 その数も、少なくはない。
「そしてマイは、私に勝った事があります!」
 ユアのその発言に、会場内がどよめく。
「でも、今度は私が勝つからね、マイ!」
 ユアは右手に持ったソウルブレイドのクダをマイに向ける。
 ソウルブレイドの剣は、まだ展開されていない。
「僕も負けるつもりはないよ、ユア!」
 マイもソウルブレイドのクダをユアに向けて、応える。
 観客も最高潮に盛り上がる。
 そして、曲のイントロが流れ出す。


 ちゃららら、ららら、
 ちゃららら、ららら、
 そのイントロに合わせ、ユアは二本のソウルブレイドの剣を展開する。
 ちゃらっちゃん、ちゃらっちゃん!
 ユアはその音程に合わせてポーズをとる。
 マイもポーズをとりながら、二本のソウルブレイドの剣を展開する。
 ちゃらららちゃらららーーん。
 15秒のイントロが終わり、ユアが歌いだす。
「今ー、私の剣はー、荒野を」
 ユアはマイに歩み寄りながら、右手の剣をゆっくりふりあげる。
「駈けぬける」
 マイ目がけて振り下ろされた剣は、地面に食いこむ。

「何を斬る」
 後方に飛んだマイを追いかけて、ユアは右手の剣を突き出す。
「誰を斬る」
 マイはユアの剣を左手の剣で、下から上に弾くように受け止め、右手の剣を突き出す。
「赤く染まるこの剣でー」
 ユアはマイの突きをジャンプでかわし、マイが弾きあげようとする力を利用し、右手の剣を起点に宙返りして、マイの背後に飛ぶ。

「悲しみさえ」
 マイは左脚を軸に左反転、その勢いで右手の剣を斜めに振り下ろす。
「嘆きさえ」
 両膝を曲げて着地したユアは、軽く両脚を浮かす。左手の剣を背中にまわし、マイの剣を受け止める。
「全て斬り裂くこの剣でー」
 マイの剣に前方に押されるユアは、まず左脚で着地。右脚を一歩前方で着地させると、反動で地面を蹴り、左脚を軸に左反転、右手の剣を下方から上方へと振り上げる。

「誰にも解らない」
 ユアは左脚を踏み込むと同時に左手の剣を振り下ろし、右脚を踏み込むと同時に右手の剣を振り下ろす。
「答えのないパズル」
 先程のユアの右手の剣にカウンターの右手の剣の突きを合わせるマイ。
 ユアは右側に身体を傾けてかわし、バランスを崩すが、左脚で地面を蹴ってリカバリー。
 着地と同時にバックステップ。
「ピースが欠けてても気づかないー」
 マイはユアを追って、左の剣、右の剣を振り下ろす。
 ユアがそれぞれの剣を受け止めると、マイはユアを蹴り飛ばす。

「そう、あの日の夕日に誓ったのさ」
 膝を曲げて着地したユアは、着地と同時に前方へジャンプする勢いで、マイに右の剣で斬りかかる。
 ユアを追いかけてたマイは、二本の剣をクロスさせて受け止める。
 ユアは右の膝蹴りをマイに叩き込み、身体が曲がったマイの背中を、剣の柄の尻で叩く。
「答えがなくても、斬り続けるだけさ」
 マイは地面寸前で咄嗟に身体を丸め、でんぐり返りで前方に逃げる。
 それを追うユアの足元に、マイの水面蹴り。
 ユアはしゃがんだマイを飛び越えるようにかわす。

「そうさ、斬り続けていれば」
 マイはしゃがんだまま、自分を飛び越えるユアを大振りに剣をふるう。
 ユアはその剣を、思いっきり打ちつける。剣は、マイの手から落ちる。
「いつかはたどり着けるさ」
 マイは落とされた剣は無視して、残った剣を両手で握り、振り下ろす。
 ユアはその剣をかわすと、マイの剣の背面を滑らせるように、右手の剣を薙ぎ払う。
 マイはバックステップを二度ほどしてかわして、距離をとる。
「その答えに」
 ユアは下に下げた左腕を、上方に素早く上げる。同時に持っていた剣を上方に放り投げる。

「その時まで私の剣は」
 放り投げた剣を思わず目で追うマイ。
 マイがハッとしてユアに目を向けると、ユアは振りかぶった剣を振り下ろしていた。
 マイは咄嗟に剣で受けるが、剣が受け止められると同時にユアはジャンプ。
 跳び箱を跳ぶように、ユアはマイを飛び越えて背後に廻る。
「荒野を駆け抜ける!」
 マイの背後から、ユアが斬りつける!
 マイは地面に倒れる。
 ユアが放り投げた剣が上空から落ちてきて、マイの持つ剣をはじく。


 ユアの勝利を讃える歓声があがる。
「ありがとうー、みんなー。」
 歓声に応えたユアは、倒れたマイに、手を差し伸べる。
 ユアの手をとって立ち上がるマイ。
 また歓声があがる。
「みんなー、善戦したマイにも、盛大な拍手をー!」
 ユアの声に応え、盛大な拍手が鳴り響く。
 マイは両手を振って応える。
「やるじゃない、マイ。でも、今回は私の勝ちよ!」
「今度は、僕が勝たせてもらうよ!」
 ふたりはがっちりお互いの両手を握る。
 盛大な歓声があがる。

「マイ、ケイの事お願いね。」
 ユアは観客には聞こえないよう、小声で話しかける。
「任せて。ユアもコンサート頑張ってね。」
 ユアはにっこりうなずくと、この場から消えた。

 ライブ本会場では、ステージ衣装に身を包んだユウが、腕組みして目を閉じて立っていた。
 その背後に、背中合わせで、腕組みして目を閉じたユアが、ステージ衣装に身を包んで現れる。
 ふたりは目を開けると、ステージ正面に視線を向ける。
 腕組みをといて、ステージ正面側にあたる腕を伸ばし、ステージ正面を指差す。

「それじゃあ、二曲目いっくよー!」
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