上 下
60 / 215
惑星ファンタジー迷走編

第60話 逆襲の冒険者

しおりを挟む
 これは西暦9980年のはるか未来のお話。
 行方不明になったケイは、なんと千年前にタイムスリップしていた。
 ケイは千年前のこの星で三つのほこらを封印したのだが、その封印を解いてほしいと、千年後のマイ達にメッセージを残す。
 その旅路に、神武七龍神のひとり、グリーンドラゴンも同行する事になった。
 ぶっちゃけ、グリーンドラゴンのキャラづけには悩まされる。
 宇宙開闢以前から存在する設定らしいので、婆さん口調にしたい。
 だが、少女の姿に化身する。
 そっちの少女としての性格に、引っ張られるのだ。
 もう、そんなキャラだと、わりきるしかないのか。
 ついでに言うが、マイ達主要の召喚者五人。
 この五人は髪型と髪の色を意識して、ようやくキャラのイメージが出来た。
 召喚者のパートナーのサポートAIにいたっては、ミサしかキャラづけは出来ていない。
 主人公のマイのパートナーであるアイも、よく分かってないのだ。


 マイとユアとメドーラとローラス。
 そしてグリーンドラゴンのナツキが憑依した、ケイのサポートAIであるミイ。
 五人は森の出口へと向かう。

 途中、ローラスとマイは、ケイの遺した八極陣を、反復する。
 ローラスは武具の形状を意識しながら。
 マイは風のマナを意識して。

 そうこうするうちに、森の出口にたどり着く。
 そこで、執事のセバスが馬車の番をして、待ってるはずだ。

「何やら、物騒な気配がするのう。」
 森の出口を目前にして、ミイに憑依しているナツキは、何かを感じとる。
 その言葉にローラスはセバスの事が心配になり、駆け出した。
 ユアとマイも、あとを追うように駆け出す。

 森の出口で、セバスは戦っていた。
 そして手傷を負っていた。
「セバス!大丈夫ですか!」
 ローラスはセバスのもとに駆け寄る。
「お、お嬢さま、気をつけなされ。」
 セバスが前方に視線を向ける。
 そこには、冒険者のドルクが立っている。
 何か禍々しい剣を担いで、ニヤついている。

「ローラス、どいて。僕が治療するわ。」
 マイは早速、セバスに回復系のマナを注ぐ。
 そして、この傷が普通ではない事に、すぐに気づいた。
 これは、森の大木のそばにいた、緑色のドレスの少女の傷と同類だった。
 つまり毒素系。
 だが、まだ傷は新しかったため、ローラスの助力を借りずに、マイだけ治療出来た。

「ほう、このじじいが邪魔すると思ったら、おまえらだったのか。」
 ドルクはマイ達を見て、自分の代わりにドラゴン退治に行ったのが、こいつらだったのかと気が付いた。
「あのドラゴン、俺が弱らせておいたから、簡単に退治出来ただろう?」
 ドルクはそう言いながら、冒険者の腕輪でマイ達の情報を覗き見る。
「ん?ドラゴンスレイヤーの称号がねーじゃんか。」
 ドラゴンを退治したら、ドラゴンスレイヤーの称号を得る。
 直近に得た称号なら、冒険者同士で確認出来る。

「なら、ドラゴンは毒ですでに死んでたのか?
 いや、それなら俺にドラゴンスレイヤーの称号がつくはず。」
 ドルクは自問自答する。
「おまえら、ドラゴンを退治してねーな。
 ははは、ドラゴンにやられて逃げ帰ってきたのかよ。」
 ドルクはそう結論を出すと、森に向かって歩き出す。

 その進路にメドーラが立ちはだかる。
「なんのつもりだ?」
「あなたは聞かされていないようですね、私がギルドで言った言葉が。」
「なに?」
「ドラゴンと話してみて、あなたがたを退治するかを決めるって言ったのよ。」
「け、レベルが高いからって、図に乗るなよ。」
 ドルクは、禍々しい剣をメドーラに向けて構える。
「レベルの差なんて、優れた装備で超えられるんだよ。」

「その剣には、気をつけて下さい!」
 メドーラ達から遅れて森をぬけたミイが、叫ぶ。
 メドーラ達は走ってきたが、ミイは歩きだったため、その分森を抜けるのに、時間差ができた。

 その剣の詳細は、憑依したナツキの記憶が、サポートAIのミイに伝わる。
 その情報は、サポートAI同士で共有され、メドーラ達にも伝わる。

 グリーンドラゴンは、森の奥で冒険者達をけちらしていた。
 うんざりするほどの冒険者達をけちらした後、疲れて眠ってしまう。
 そこへドルクがやってきて、あの禍々しい剣でグリーンドラゴンの右脚を斬りつけた。
 頭を狙わなかったのは、眼を覚ます事を恐れたからだ。
 異変に気づいてグリーンドラゴンは眼を覚ますのだが、すでに右脚は呪いの毒素に侵されていた。
 グリーンドラゴンの怒りの一撃により、ドルクは森の外までぶっ飛ばされる。
 グリーンドラゴンは少女の姿に化身して、森の大木からマナを得て治療しようとした。
 そこへ、マイ達がやって来たのであった。

「んほー、いい女じゃねーか!」
 ドルクは、ミイをひと目見て気に入った。
「おまえを、俺の女にしてやるぜ。」
「ひい。」
 ミイは怯える。
 グリーンドラゴンのナツキが憑依してるとはいえ、ミイはただのサポートAI。
 ドルクを退ける戦闘力など、持ち合わせてはいない。
「こいつらをけちらしたら、おまえは俺の女だ。」
 ドルクはミイに向かってニヤけてみせる。
「ゲスめが。」
 ミイとドルクとの直線上の間に、ユアがソウルブレイドの剣を展開して、割ってはいる。

「そういやあ、おまえらには恥をかかせてもらったな。」
 ユアも視界に入った事で、ドルクはギルドでの件を思い出す。
「たっぷりとお礼してやるぜ、まずはおまえからだ!」
 ドルクはセバスを治療中のマイに襲いかかる!
「その服、今度こそひんむいてやらあ!」

 以前にも、同じシチュエーションはあった。
 セバスを治療中のマイが、背後から襲われる。
 だが、あの時とは違い、マイは治療に集中している!
 もうそろそろ終わりそうだが、ドルクの急襲に、気づいていない!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

TS調教施設 ~敵国に捕らえられ女体化ナノマシンで快楽調教されました~

エルトリア
SF
世界有数の大国ロタール連邦の軍人アルフ・エーベルバッハ。彼は敵国アウライ帝国との戦争で数え切れぬ武勲をあげ、僅か四年で少佐にまで昇進し、救国の英雄となる道を歩んでいた。 しかし、所属している基地が突如大規模な攻撃を受け、捕虜になったことにより、アルフの人生は一変する。 「さっさと殺すことだな」 そう鋭く静かに言い放った彼に待ち受けていたものは死よりも残酷で屈辱的な扱いだった。 「こ、これは。私の身体なのか…!?」 ナノマシンによる肉体改造によりアルフの身体は年端もいかない少女へと変容してしまう。 怒りに震えるアルフ。調教師と呼ばれる男はそれを見ながら言い放つ。 「お前は食事ではなく精液でしか栄養を摂取出来ない身体になったんだよ」 こうしてアルフは089という囚人番号を与えられ、雌奴隷として調教される第二の人生を歩み始めた。 ※個人制作でコミカライズ版を配信しました。作品下部バナーでご検索ください!

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

戦艦大和、時空往復激闘戦記!(おーぷん2ちゃんねるSS出展)

俊也
SF
1945年4月、敗色濃厚の日本海軍戦艦、大和は残りわずかな艦隊と共に二度と還れぬ最後の決戦に赴く。 だが、その途上、謎の天変地異に巻き込まれ、大和一隻のみが遥かな未来、令和の日本へと転送されてしまい…。 また、おーぷん2ちゃんねるにいわゆるSS形式で投稿したものですので読みづらい面もあるかもですが、お付き合いいただけますと幸いです。 姉妹作「新訳零戦戦記」「信長2030」 共々宜しくお願い致しますm(_ _)m

GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。 今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。 「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」 その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。 当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!? 姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。 共に 第8回歴史時代小説参加しました!

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

全ての悩みを解決した先に

夢破れる
SF
「もし59歳の自分が、30年前の自分に人生の答えを教えられるとしたら――」 成功者となった未来の自分が、悩める過去の自分を救うために時を超えて出会う、 新しい形の自分探しストーリー。

処理中です...