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荒野を行く
第212話 勇者妖精さんと再会
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長かった俺の戦いも、ついに終わりを迎える。
緊張の糸が切れた俺は、その場に倒れこむ。
これでサーイターマルドは救われたのだろうか。
ローザは無事なのか。
ルギアのお守りで確認しようとする俺の目の前に、なんと竜王が甦る!
竜王はニヤりとほくそ笑むと、口を大きく開けて、俺めがけて倒れこむ!
ヤツも体力が尽き、そんな攻撃手段しか残されていない。
俺も咄嗟に反応出来ない!
「ひい!」
俺は右手に掴んだ幻の金水晶、左手に握ったルギアのお守り、このふたつを目の前に持ってきて、頭部をガードするのが精一杯だ!
ぴかりん!
幻の金水晶がなんと、一筋の光りを放つ!
その光りが、竜王を貫く!
「ぐぎゃああ!」
竜王は後方に押された感じに後ずさり、たたらを踏む。
金水晶の輝きは、一瞬だけ更に増して、その後輝きを失った。
「ぐぎゃああ!」
竜王の身体から、黒い影の塊りが立ち昇ると、そのまま四散して消滅した。
竜王は直立のドラゴンの姿から、最初に会ったオタク面のおっさんの姿に戻った。
そしてうつ伏せに倒れる。
最初はフードを被ってて分からなかったが、このおっさんの頭はふさふさだった。ハゲではなかった。
フードが無いって事は、当然ローブもない。
目の前に倒れているのは、素っ裸なおっさんだ。
うつ伏せに倒れているので、粗末なモノは見なくてすんだ。
そんなおっさんの身体が、徐々に消滅していく。
このおっさんも、魔物である事には、変わりなかった。
「もう、ダメじゃない。最後の最後まで、油断は禁物でしょ。」
聞き覚えのある声。
その出どころは、左手に持つルギアのお守りの向こう。
俺が視線向けると、ルギアのお守りの向こうから、小さな顔がひょこっと姿を見せる。
それは、魔王の城の地下三階だか四階だかで出会った、あの妖精さんだった。
「え?あんたは?」
「ふふ、これで聖力を回復させてもらったわ。」
俺の曖昧な問いに、かみ合わない妖精さんの答え。
これとは、ルギアのお守りだろう。
残り時間がデジタル表示された、ルギアのお守り。
俺は思い出したかのように、デジタル表示を確認する。
そこには、何も表示されていない。
「何?」
俺は思わず上体を起こす。
この表情が消えてるって事は、間に合わなかったって事か?
「ちょっと。急に動かないでよ。」
今の俺の動きで振り下ろされた妖精さんが、文句を言う。
そしてまた、ルギアのお守りに飛び乗る。
「なあ、表示が消えてるんだけど、これって間に合わなかったのか。」
俺は妖精さんに聞いてみる。
「ああ、これ。私が聖力の回復に利用させてもらったから、機能は低下してるのよ。」
な、何ぃ!
て事は、俺が間に合ったかどうか、分からないじゃんか!
緊張の糸が切れた俺は、その場に倒れこむ。
これでサーイターマルドは救われたのだろうか。
ローザは無事なのか。
ルギアのお守りで確認しようとする俺の目の前に、なんと竜王が甦る!
竜王はニヤりとほくそ笑むと、口を大きく開けて、俺めがけて倒れこむ!
ヤツも体力が尽き、そんな攻撃手段しか残されていない。
俺も咄嗟に反応出来ない!
「ひい!」
俺は右手に掴んだ幻の金水晶、左手に握ったルギアのお守り、このふたつを目の前に持ってきて、頭部をガードするのが精一杯だ!
ぴかりん!
幻の金水晶がなんと、一筋の光りを放つ!
その光りが、竜王を貫く!
「ぐぎゃああ!」
竜王は後方に押された感じに後ずさり、たたらを踏む。
金水晶の輝きは、一瞬だけ更に増して、その後輝きを失った。
「ぐぎゃああ!」
竜王の身体から、黒い影の塊りが立ち昇ると、そのまま四散して消滅した。
竜王は直立のドラゴンの姿から、最初に会ったオタク面のおっさんの姿に戻った。
そしてうつ伏せに倒れる。
最初はフードを被ってて分からなかったが、このおっさんの頭はふさふさだった。ハゲではなかった。
フードが無いって事は、当然ローブもない。
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うつ伏せに倒れているので、粗末なモノは見なくてすんだ。
そんなおっさんの身体が、徐々に消滅していく。
このおっさんも、魔物である事には、変わりなかった。
「もう、ダメじゃない。最後の最後まで、油断は禁物でしょ。」
聞き覚えのある声。
その出どころは、左手に持つルギアのお守りの向こう。
俺が視線向けると、ルギアのお守りの向こうから、小さな顔がひょこっと姿を見せる。
それは、魔王の城の地下三階だか四階だかで出会った、あの妖精さんだった。
「え?あんたは?」
「ふふ、これで聖力を回復させてもらったわ。」
俺の曖昧な問いに、かみ合わない妖精さんの答え。
これとは、ルギアのお守りだろう。
残り時間がデジタル表示された、ルギアのお守り。
俺は思い出したかのように、デジタル表示を確認する。
そこには、何も表示されていない。
「何?」
俺は思わず上体を起こす。
この表情が消えてるって事は、間に合わなかったって事か?
「ちょっと。急に動かないでよ。」
今の俺の動きで振り下ろされた妖精さんが、文句を言う。
そしてまた、ルギアのお守りに飛び乗る。
「なあ、表示が消えてるんだけど、これって間に合わなかったのか。」
俺は妖精さんに聞いてみる。
「ああ、これ。私が聖力の回復に利用させてもらったから、機能は低下してるのよ。」
な、何ぃ!
て事は、俺が間に合ったかどうか、分からないじゃんか!
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