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伝説の次元空間編

第169話 勇者悪魔ヘッドに昇格させられる

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 過去のサーイターマルドを模した次元世界に来た俺は、ユミコに殺されかける。
 なぜか俺に、魔王軍のスパイ容疑がかけられる。
 否定する俺だが、何かしくじったらしい。


「分かったよ。おまえは魔王軍のスパイじゃない。
 悪魔軍の手先だな!」
 え、何言ってんだ、ユミコさん。

「照光子の杖は本来、次界への道を照らす物。
 それを奪おうとするのは、天使軍に敵対する、悪魔軍だろ!」
「ち、違う!」

 なんかよく分からん容疑が、俺にかけられる。
 なんだよ悪魔軍って。
 なんか別の物語が交差してないか?

「俺の時代、照光子の杖は次界への道を照らしてます!
 だから、この時代に借りに来たんです!
 信じてください!」

 俺はユミコをにらむ。

「ち、おまえタカスナみたいな目ぇしやがって。
 そんな目ぇ出来るって事は、相当な使い手の悪魔ヘッドだな。」
「なんで信じてくれないんですか!」
 ユミコは俺を、どうしても敵と認識したいみたいだ。

「おまえもしつこいヤツだな。
 まあいい。おまえの持ち物見れば、分かるだろ。」
 ユミコは俺の道具袋をあさる。

 今俺の持ってる道具はふたつ。

「ん?なんだこれ?」
 それは、ローザの盗聴器!

「返せよ!」
 俺は押さえつけられた右腕に力を込め、ユミコの拘束から脱れる!
 ローザの盗聴器を取り戻すべく、その右腕を伸ばす!

「きゃ。」
 ユミコはバランスを崩して、俺の上から転げ落ちる。
 同時に、ローザの盗聴器とルギアにお守りも、地面に転がる。
 俺は素早くローザの盗聴器を取り戻す。

「な、なんだこれは。」
 ユミコはルギアのお守りを拾い上げる。
「勇者の証、だと?」
 確かに俺のルギアのお守りは、タカスナの勇者の証そっくりだ。
 だけどふたつは、全くの別物。

「それは勇者の証ではありません。返してください。」
 俺は上半身を起こした体勢のまま、右腕を伸ばす。
 ユミコに押さえつけられてた両腕は、血流も抑えられて、すげー痺れてる。

「いや、これはどう見ても、勇者の証。精霊ルギアが自ら認めた者にしか、これを持つことは許されない。それを悪魔軍の手先が、なぜ持っている?」
「あ、別に奪ったとかじゃないですよ。チチブでシスターさんに押し付けられただけです。有り金全部取られたけど。」
「チチブだと?まさか。それじゃあ?いや、まだ分からん。」

 なんかユミコはルギアのお守りが、いたく気になる様子。
 これは俺の疑いも晴れるかと思いきや、ユミコはルギアのお守りを俺に投げつける。

「わ、何するんですか。」
 俺は痺れが治まりつつある両手で、なんとかキャッチ。

 それを見て、ユミコはなぜか驚いている。
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