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伝説の次元空間編

第159話 勇者過去のユミコに惚れてまう

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 過去のサーイターマルドを模した次元世界に来た俺は、魔物の群れに殺されそうなる。
 俺の危機を救ったのは、ユミコとともにタカスナと旅をした、あのアケミだった。


 俺の目の前には、ノブヒコさんが居る。
 俺の知るノブヒコさんは、オレンジ色の全身タイツに、十字架の描かれた前掛けをした、水色のロングストレートヘアの綺麗なお姉さん。
 だけど今俺の目の前に居るのは、服装は同じだが、ヒゲを生やしたモジャモジャ頭のおじさまだ。

「ノブヒコ、こいつに回復呪文、頼むわ。」
 アケミはノブヒコを手招きして、もう片方の手で、しゃがみ込む俺を指差す。
「アケミさん、ひと使い荒いですよ。」
 ノブヒコは俺の前までくると、息をきらしてる。

「ヒーリング。」
 ノブヒコさん以外の誰かが、俺に回復呪文をかけてくれた。
 俺は声のした方に、視線を向ける。
 そこに居たのは、間違いない。ユミコだ。
 しかも、若い!

 俺の知るクールビューティーなユミコも素敵なレディだが、今目の前に居るユミコは、若い!
 お肌のハリ、髪の艶やかさ。
 若さゆえに、落ち着いた感じは失われているが、今のユミコはイケイケな感じのセクシーギャル!
 付き合いの長さゆえ、俺は元の時代のユミコの方がいいが、それを抜きにしたら、今のユミコの方がいいに決まってる!
 そう、若さこそ正義!
 今のユミコは、その真理を体現している!
 くそータカスナのヤツー。こんなユミコに好かれてたんかよ。

「あんた、お礼も言えないの?」
 ユミコはゴミを見るような目で、俺を見る。
 あ、やべー。若いユミコに見とれてた。

「あ、ありがと。」
 あれ?俺、テレてる?ユミコにまともに顔を合わせられない!

「ふん、まともなお礼も言えないのね。」
「ひどいですぅ、ユミコさーん。」
 俺に叱言言ってくるユミコに、ノブヒコがセリフをかぶせる。

「そうだぜユミコ。回復呪文くらい、ノブヒコに唱えさせてやれよ。」
 アケミがノブヒコの味方する。
「はあ、ノブヒコがすっとろいからでしょ!」
「あん?なんだとユミコ?」
 ユミコのひと言に、アケミがカチンとくる。

「おまえなあ、タカスナが許してくれたからって、ズに乗るんじゃねーぞ。」
 アケミがユミコに凄む。
「あーら、なんの事かしらぁ?」
 ユミコも高飛車な態度で、アケミを挑発する。

「てめぇ、賢者に転職出来たからって、調子こいてんじゃねーよ!」
「自分がなれなかったからって、ヒガンでんじゃねーよ!」

 なんか知らんが、アケミとユミコが一触即発。

「や、やめて下さいよー、ふたりともー。」
 ふたりの間で、ノブヒコがおどおどしてる。

 このふたりの喧嘩の原因は、俺に回復呪文を唱えたのが、ユミコだった事。
 なら、これで解決だ。

「あ、回復呪文なら、俺も使えますんで。ヒーリングっと。」
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