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ローザ姫との密会編

第143話 勇者姫の固有スキルに気づく

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 ここに来てローザの固有スキルが発覚。
 ローザは人の心が読めるらしい。


「バカ!ユウタのバカ!」
 前回俺を殴った勢いで、ローザは俺に罵声をあびせる。

「ユウタなんかに惚れられても、嬉しくないわよ!
 何よ、魅了呪文って!そんな呪文、存在しないわよ!
 私に惚れてんなら、素直にそう言いなさいよ!
 私は、ユウタなんか大っ嫌いなんだから!うわーん!」

 ローザは言うだけ言って、泣きだした。

「よーしよしよしよし!」
 俺は慌ててローザの頭をなでる。

 ここはオオミヤ城の裏手。
 この場を誰かに見られたら、まずい!
 ローザ姫を泣かせた罪で、死刑になるかもしれない!

「いい子ねー、ローザ。泣きやもうねー。」
 俺はローザの頭を、しゃかしゃかなでる。

「嫌い。ユウタなんか、大っ嫌いよ。ぐすん。」
 ローザはまだ泣いてる。

「えー、ユウタお兄さん、傷つくなー。」しゃかしゃか。
「ぷ、お兄さんって何よ。」
 ローザはまだ涙声だが、聞く耳持ってくれた。

「お兄さんはローザより年上だからねー。」しゃかしゃか。
「じゃあ、年下の女の子に惚れるのって、いけない事なの?」
「え?」ぴた。

 ローザの何気ないひと言に、俺の手の動きがとまる。

「私に惚れたら、ロリコン?なんでしょ?」
 ローザは幼い瞳で、俺を見つめてくる。

 ドキ。

 くそ、そんな目で俺を見るな。
 俺はロリコンじゃない。断じてロリコンじゃない!
 だけどやばい。今俺の心をローザに読まれたら、ロリコンって罵られる!

「ユウタ?どうしたの?」
 ローザはまっすぐな瞳で、俺を見つめてくる。

 ん?なんだ?
 なぜ俺を罵らない?
 そうか、これはローザの優しさだ!
 ここで俺が変質者呼ばわりされて、逆上しないように。
 俺を犯罪者にさせないための、ローザの優しさ!

 ドラゴンさん、今なら分かるぜ、あんたの気持ちが。
 こんな純真なローザを、守りたかったんだな。魔物のくせに無茶しやがって。

「ローザ、色々ありがとうな。」
「な、何よ急に。」

 心が読めるローザには、もう俺の考えた事は伝わっている。
 だけど言葉にする必要も、あるかもしれない。

「この聖なる霧吹きをくれて、ありがとう。
 それに、勇者ウラワの事、タカスナの事を教えてくれて、ありがとう。」
 他にも、ロリコンって罵らないでくれて、ありがとうって言いたいが、これは心が読めるローザには、あえて言わないでおこう。

「な、だからなんなのよ、急に!」
 ローザの戸惑いに、俺はにこやかな笑顔で答える。
 心の読めるローザには、これで充分伝わっている。はず。
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