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ローザ姫との密会編

第136話 勇者姫と密会する約束をする

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 虹の橋をゲットするには勇者の証の他に、聖なる霧吹きと照光子ショウコウシの杖が必要との事。
 ふたつのアイテムのありかを探るユミコだが、なんか様子が変だ。


「ど、どうだったの。」
 俺はユミコの胸の前に伸ばしてた腕をひっこめ、聞いてみる。
「ユウタ、大変。」
 ユミコの顔色が、青ざめている。

 やばい、俺が胸触ろうとしてたから、ドン引かれたか?

「照光子の杖が、どこにもないわ。」
「え?」
 そっちか。
 俺は俺のセクハラ行為がスルーされて、ちとホッとする。

「おかしいわ。聖なる霧吹きはあるのに、なんで照光子の杖はないのかしら。」
「でも、聖なる霧吹きはあるんだ。」
「ええ、オオミヤ城にあるわね。」
「オオミヤ城か。」

 オオミヤ城と言われて、ちと悩む。
 宝物殿の宝箱もあさったし、どこにあるんだ?
 隠し部屋でもあるのかな。

「オオミヤ城に有るのが分かってるんだから、いずれ見つかる。
 だけど照光子の杖は、サーイターマルドのどこにも無いわ。」

 ユミコはどうやら、照光子の杖の方が気になるらしい。
 ほんとに無いなら、この物語も詰んでしまうしな。

「ユミコ、まずは聖なる霧吹きからゲットしてこうよ。」
 俺はあせるユミコを、落ち着かせる様に声をかけた。
「そうね、照光子の杖の行方は、私のほこらでじっくり調べた方がいいわね。」

 ん?
 あのほこら、そんな事が出来るのか。
 そいやあ中はメカメカしいし、どこかオーバーテクノロジーなんだよな。

「ユウタ、聞いてる?」
 そこへ唐突に、ローザの声がする。
 俺の持つローザの盗聴器は、通信機にもなる。

「なんだよ、ローザ。今日の分の謝罪なら、もう済ませただろ。」
「ち、違うわよ!」
 じゃあ、なぜ話しかける?

「聖なる霧吹きなんだけど、それなら私が持ってるわ。」
「ほんとか?なら、今から取りに行くよ。」
 オオミヤ城のどこにあるのか気になってたが、ローザが持っているらしい。

「ま、待って。すぐには来ないでよ。」
「え、なんで。」
 一刻も早くゲットしたいのに、なぜかローザが拒否る。

「私もその、ユミコお姉さまにお話ししたい事があるのよ。」
「ユミコと?」
 俺は思わずユミコに視線を向ける。
 ユミコは無表情のまま、俺とローザの会話を聞いている。

「お、お父様の前では話せない事なのよ。」
「お父様?ああ、王様の事か。俺、あの王様苦手なんだよな。なんか俺の事嫌ってるみたいだし。」
「その事についても、一緒に話すわ。
 だから、あと二時間したら、オオミヤ城の裏に来て。
 私もどうにか抜け出してみるから、呼びかけてこないでね。」

 ローザからの通信が、一方的に切られた。
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