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章なしで行きたいんだが~オオミヤからチチブへ

第121話 勇者あまえる

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ゴールドゴーレムとの戦いの後、3日も寝込んでた俺。
なぜか身体をうまく動かせない。
そんな俺に、ユミコは手料理を作ってくれた。


「出来たわよ、ユウタ。」
「んー。」
ユミコが手料理を作ってくれても、俺は前回のままだった。
うつ伏せのまま寝ぼけていて、こっ恥ずかしい事を口走ってた気がする。

「ユミコぉ、身体動かせないー。」
ともあれ俺の身体は、全然動かなかった。
いや、ほんと。ユミコに甘えてるとか、そんなんじゃないんだからね。
「もう、呪文が効かないって、厄介よね。」
「えー、何か言ったぁ?」

今の俺を見て、ユミコが呆れて何か言ったが、よく聞き取れなかった。
ただユミコの綺麗な声に、うっとりするだけだった。

「じゃあユウタ、身体を起こすわよ。」
「え、何ユミうわっ。」

ユミコは反動をつけて、俺の上体を起こす。
さっきまでうつ伏せだった俺が、ベッドの上にちょこんと座ってた。
急な姿勢の変更に、俺の身体がふらつく。

「しっかりしてよね、ユウタ。」
「ご、ごめん。」
ふらつく俺は、ユミコに寄りかかる。
離れなくっちゃって思うのだが、俺の身体は動かない。
このままだと、ユミコにくっついていたいだけの、ただの変態だ。

「ほら、無理しなくていいから。」
ユミコはその姿勢のまま、テーブルに置いたお盆に手を伸ばす。
お盆の上には、ユミコの手料理がのっている。

「はい、あーん。」
ユミコは手料理をスプーンですくい、俺の口元にもってくる。
「あーん。」
つられて俺は、口を大きく開ける。
俺の口に、ユミコの手料理が突っ込まれる。

モグモグ。
な、なんだこれ。
ひと噛みごとに、口中に幸せ成分が充満する。
喉ごしをこえたら、俺の身体の細胞ひとつひとつが活気付くのを感じる。
俺の身体が、ユミコの手料理を求めている!

俺は餌をねだるひな鳥の様に、大きく口を開ける。
その都度、ユミコがスプーンで俺の口に、ユミコの手料理を運ぶ。

「もうおしまいよ、ごめんなさい。」

あっという間に、ユミコの手料理を平らげてしまっていた。
「ああ、すげーうまかったよ、ユミコ、ありがとう。」
俺はまったりと、ユミコに寄りかかる。
ユミコの手料理。そしてユミコから漂う、ほのかな香り。
ああ俺は、世界一の幸せ者だ。この幸せの時間がずっと続けばいいのに。

「で、ユウタはいつまで、そうしてるのかしら。」
ユミコの言葉に若干のトゲがあるが、それもまた心地良い。
「ずっとこうしていたいよ。」

「ヒーリング。」
突然ユミコは回復呪文を唱え、俺の体力を回復させる。
そしてユミコは立ち上がる。

俺はユミコの支えを失い、俺は横に倒れる。
そんな俺を、汚物を見る様な目で、ユミコが見ている。
「ほんと、何のために私の手料理を食べたのか、分かってるのかしら。」
「あ、」
俺は血の気がひいた。
前回から俺は、何をうかれてたのだろうか。
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