121 / 221
章なしで行きたいんだが~オオミヤからチチブへ
第121話 勇者あまえる
しおりを挟む
ゴールドゴーレムとの戦いの後、3日も寝込んでた俺。
なぜか身体をうまく動かせない。
そんな俺に、ユミコは手料理を作ってくれた。
「出来たわよ、ユウタ。」
「んー。」
ユミコが手料理を作ってくれても、俺は前回のままだった。
うつ伏せのまま寝ぼけていて、こっ恥ずかしい事を口走ってた気がする。
「ユミコぉ、身体動かせないー。」
ともあれ俺の身体は、全然動かなかった。
いや、ほんと。ユミコに甘えてるとか、そんなんじゃないんだからね。
「もう、呪文が効かないって、厄介よね。」
「えー、何か言ったぁ?」
今の俺を見て、ユミコが呆れて何か言ったが、よく聞き取れなかった。
ただユミコの綺麗な声に、うっとりするだけだった。
「じゃあユウタ、身体を起こすわよ。」
「え、何ユミうわっ。」
ユミコは反動をつけて、俺の上体を起こす。
さっきまでうつ伏せだった俺が、ベッドの上にちょこんと座ってた。
急な姿勢の変更に、俺の身体がふらつく。
「しっかりしてよね、ユウタ。」
「ご、ごめん。」
ふらつく俺は、ユミコに寄りかかる。
離れなくっちゃって思うのだが、俺の身体は動かない。
このままだと、ユミコにくっついていたいだけの、ただの変態だ。
「ほら、無理しなくていいから。」
ユミコはその姿勢のまま、テーブルに置いたお盆に手を伸ばす。
お盆の上には、ユミコの手料理がのっている。
「はい、あーん。」
ユミコは手料理をスプーンですくい、俺の口元にもってくる。
「あーん。」
つられて俺は、口を大きく開ける。
俺の口に、ユミコの手料理が突っ込まれる。
モグモグ。
な、なんだこれ。
ひと噛みごとに、口中に幸せ成分が充満する。
喉ごしをこえたら、俺の身体の細胞ひとつひとつが活気付くのを感じる。
俺の身体が、ユミコの手料理を求めている!
俺は餌をねだるひな鳥の様に、大きく口を開ける。
その都度、ユミコがスプーンで俺の口に、ユミコの手料理を運ぶ。
「もうおしまいよ、ごめんなさい。」
あっという間に、ユミコの手料理を平らげてしまっていた。
「ああ、すげーうまかったよ、ユミコ、ありがとう。」
俺はまったりと、ユミコに寄りかかる。
ユミコの手料理。そしてユミコから漂う、ほのかな香り。
ああ俺は、世界一の幸せ者だ。この幸せの時間がずっと続けばいいのに。
「で、ユウタはいつまで、そうしてるのかしら。」
ユミコの言葉に若干のトゲがあるが、それもまた心地良い。
「ずっとこうしていたいよ。」
「ヒーリング。」
突然ユミコは回復呪文を唱え、俺の体力を回復させる。
そしてユミコは立ち上がる。
俺はユミコの支えを失い、俺は横に倒れる。
そんな俺を、汚物を見る様な目で、ユミコが見ている。
「ほんと、何のために私の手料理を食べたのか、分かってるのかしら。」
「あ、」
俺は血の気がひいた。
前回から俺は、何をうかれてたのだろうか。
なぜか身体をうまく動かせない。
そんな俺に、ユミコは手料理を作ってくれた。
「出来たわよ、ユウタ。」
「んー。」
ユミコが手料理を作ってくれても、俺は前回のままだった。
うつ伏せのまま寝ぼけていて、こっ恥ずかしい事を口走ってた気がする。
「ユミコぉ、身体動かせないー。」
ともあれ俺の身体は、全然動かなかった。
いや、ほんと。ユミコに甘えてるとか、そんなんじゃないんだからね。
「もう、呪文が効かないって、厄介よね。」
「えー、何か言ったぁ?」
今の俺を見て、ユミコが呆れて何か言ったが、よく聞き取れなかった。
ただユミコの綺麗な声に、うっとりするだけだった。
「じゃあユウタ、身体を起こすわよ。」
「え、何ユミうわっ。」
ユミコは反動をつけて、俺の上体を起こす。
さっきまでうつ伏せだった俺が、ベッドの上にちょこんと座ってた。
急な姿勢の変更に、俺の身体がふらつく。
「しっかりしてよね、ユウタ。」
「ご、ごめん。」
ふらつく俺は、ユミコに寄りかかる。
離れなくっちゃって思うのだが、俺の身体は動かない。
このままだと、ユミコにくっついていたいだけの、ただの変態だ。
「ほら、無理しなくていいから。」
ユミコはその姿勢のまま、テーブルに置いたお盆に手を伸ばす。
お盆の上には、ユミコの手料理がのっている。
「はい、あーん。」
ユミコは手料理をスプーンですくい、俺の口元にもってくる。
「あーん。」
つられて俺は、口を大きく開ける。
俺の口に、ユミコの手料理が突っ込まれる。
モグモグ。
な、なんだこれ。
ひと噛みごとに、口中に幸せ成分が充満する。
喉ごしをこえたら、俺の身体の細胞ひとつひとつが活気付くのを感じる。
俺の身体が、ユミコの手料理を求めている!
俺は餌をねだるひな鳥の様に、大きく口を開ける。
その都度、ユミコがスプーンで俺の口に、ユミコの手料理を運ぶ。
「もうおしまいよ、ごめんなさい。」
あっという間に、ユミコの手料理を平らげてしまっていた。
「ああ、すげーうまかったよ、ユミコ、ありがとう。」
俺はまったりと、ユミコに寄りかかる。
ユミコの手料理。そしてユミコから漂う、ほのかな香り。
ああ俺は、世界一の幸せ者だ。この幸せの時間がずっと続けばいいのに。
「で、ユウタはいつまで、そうしてるのかしら。」
ユミコの言葉に若干のトゲがあるが、それもまた心地良い。
「ずっとこうしていたいよ。」
「ヒーリング。」
突然ユミコは回復呪文を唱え、俺の体力を回復させる。
そしてユミコは立ち上がる。
俺はユミコの支えを失い、俺は横に倒れる。
そんな俺を、汚物を見る様な目で、ユミコが見ている。
「ほんと、何のために私の手料理を食べたのか、分かってるのかしら。」
「あ、」
俺は血の気がひいた。
前回から俺は、何をうかれてたのだろうか。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる