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章なしで行きたいんだが~オオミヤからチチブへ
第120話 勇者寝ぼける
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サジタリウスのゴールドゴーレムの力を借りて、チチブを護るゴールドゴーレムを撃ち破った。
だけど第七感を目覚めさせた反動で、俺は倒れてしまった。
俺はチチブの宿屋で目を覚ました。
まあ、ここがどこだか知ったのは、後の事だが。
「あ、やっと起きたのね、ユウタ。」
俺は声のした方を振り返る。
買い物袋を抱えたユミコが、丁度部屋に入ってきた。
「ユミコ、ここは?」
「もう、ユウタったら、3日も寝込んでたのよ。」
「そうなんだ。3日もか。で、ここは?」
「私がユウタを運んであげたのよ、感謝しなさい。」
「うん、ありがとう。で、ここは?」
「お腹減ってるでしょ。今ご飯作るから、ちょっと待っててね。」
「え、ユミコの手料理?楽しみだなぁ。」
「もう、あんまり期待しないでよね。」
ユミコの手料理。
お嫁さんにしたいキャラナンバーワンの、ユミコの手料理か。
ならばただ待つよりも、俺も何か手伝って俺の株を上げるべきだろう。
ユミコがお婿さんにしたいキャラナンバーワンに、俺がなるために。
俺はベッドから起き上がろうとするが、うまく身体を動かせない。
まだ疲れが溜めってるのかと、回復呪文を唱える。
「ヒーリン、ぐっ。」
唱えた瞬間、目の前が真っ白になる。
「な、なんだよ、これ。」
頭が頭痛でめっちゃ痛い。
「もう、しばらく安静にしてなきゃダメよ。」
ユミコが俺の頭に手をそえる。
頭痛の痛みが頭から引いていく。
ユミコの手から、安らぎに満ちた何かを感じる。
「どうやら、聞いてなかったみたいね、私の話し。」
「えと、なんの話し?」
ユミコに唐突に言われても、俺には何の事だか、分からない。
「はあ、しょうがないわね、ちょっと待ってなさい。」
ユミコはきびすを返す。
あれ?なんか説明してくれるんじゃないの?
「お腹すいたままじゃ、どうせ聞き流すんでしょ。」
ユミコは、お料理の続きにとりかかる。
「あ、俺も手伝う、」
俺は寝返りをうってうつ伏せになるが、そこから起き上がれない。
「いいから、じっとしてなさい。」
ユミコは俺にはもう、目もくれず、お料理に専念している。
こ気味良い包丁さばきの音、火にかけたお鍋から漂う美味そうな匂い。
俺の心が安らいでいく。
「ユミコぉ、俺も手伝うぅ。」
「だから、じっとしてなさい。」
「やだぁ、手伝うぅ、いいとこ見せたいぃ。」
「ユウタのいいとこなら、いっぱい見てるわよ。」
「ええ、ほんとぉー?」
「うふふ、嘘なんか言わないわよ。」
「えへへ、やったー。」
俺は寝ぼけていた。
料理するユミコの暖かさを感じながら、完全に夢見心地だった。
そして、言ってはいけない事も、口走ってしまった。
「ユミコ、この戦いが終わったら、一緒に暮らそ。」
当然、ユミコからの返答は無かった。
だけど第七感を目覚めさせた反動で、俺は倒れてしまった。
俺はチチブの宿屋で目を覚ました。
まあ、ここがどこだか知ったのは、後の事だが。
「あ、やっと起きたのね、ユウタ。」
俺は声のした方を振り返る。
買い物袋を抱えたユミコが、丁度部屋に入ってきた。
「ユミコ、ここは?」
「もう、ユウタったら、3日も寝込んでたのよ。」
「そうなんだ。3日もか。で、ここは?」
「私がユウタを運んであげたのよ、感謝しなさい。」
「うん、ありがとう。で、ここは?」
「お腹減ってるでしょ。今ご飯作るから、ちょっと待っててね。」
「え、ユミコの手料理?楽しみだなぁ。」
「もう、あんまり期待しないでよね。」
ユミコの手料理。
お嫁さんにしたいキャラナンバーワンの、ユミコの手料理か。
ならばただ待つよりも、俺も何か手伝って俺の株を上げるべきだろう。
ユミコがお婿さんにしたいキャラナンバーワンに、俺がなるために。
俺はベッドから起き上がろうとするが、うまく身体を動かせない。
まだ疲れが溜めってるのかと、回復呪文を唱える。
「ヒーリン、ぐっ。」
唱えた瞬間、目の前が真っ白になる。
「な、なんだよ、これ。」
頭が頭痛でめっちゃ痛い。
「もう、しばらく安静にしてなきゃダメよ。」
ユミコが俺の頭に手をそえる。
頭痛の痛みが頭から引いていく。
ユミコの手から、安らぎに満ちた何かを感じる。
「どうやら、聞いてなかったみたいね、私の話し。」
「えと、なんの話し?」
ユミコに唐突に言われても、俺には何の事だか、分からない。
「はあ、しょうがないわね、ちょっと待ってなさい。」
ユミコはきびすを返す。
あれ?なんか説明してくれるんじゃないの?
「お腹すいたままじゃ、どうせ聞き流すんでしょ。」
ユミコは、お料理の続きにとりかかる。
「あ、俺も手伝う、」
俺は寝返りをうってうつ伏せになるが、そこから起き上がれない。
「いいから、じっとしてなさい。」
ユミコは俺にはもう、目もくれず、お料理に専念している。
こ気味良い包丁さばきの音、火にかけたお鍋から漂う美味そうな匂い。
俺の心が安らいでいく。
「ユミコぉ、俺も手伝うぅ。」
「だから、じっとしてなさい。」
「やだぁ、手伝うぅ、いいとこ見せたいぃ。」
「ユウタのいいとこなら、いっぱい見てるわよ。」
「ええ、ほんとぉー?」
「うふふ、嘘なんか言わないわよ。」
「えへへ、やったー。」
俺は寝ぼけていた。
料理するユミコの暖かさを感じながら、完全に夢見心地だった。
そして、言ってはいけない事も、口走ってしまった。
「ユミコ、この戦いが終わったら、一緒に暮らそ。」
当然、ユミコからの返答は無かった。
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