上 下
85 / 221
ユミコ奪還編~十二宮殿の戦い

第85話 勇者なんか損した気分になる

しおりを挟む
 ぎゃらうちゃーたたーたたー、ちゃーたたたーたたあ、ぎゃらうたーたあたーん、勇者ユウタぁ、ユウタぁ、ちゃらうちゃーちゃらーちゃーん。
 だーきしめたぁー、ずんちゃあずずちゃ、(中略)
 ぴしぃぷうぴいがしん、ごごんきんごん。しゃぉ!
 はーばーたーけぇー、じゃーんじゃじゃじゃー、じゃん!じゃん!じゃーん!


 ユミコを救うため、十二の宮殿を突破した俺。
 だけど精霊ルギアは、俺に頼んでおいたピザの代金を立て替えさせた。
 何を言ってるのか分からないと思うが、俺も、何が起きたのか分からない。
 ストーリーの迷走やネタ切れなんて言う、そんなチャチなもんじゃない。
 もっと恐ろしいモノの片鱗を、味わった気分だぜ。


「ルギア様ぁ、1583円立て替えておきましたよー。」
 俺はピザを持って戻ってくる。
 見ると、再びこたつが用意されている。
 ルギアもこたつに入って座ってるので、俺もピザをこたつの上に置いて、こたつに入る。

「おう、すまなかったなユウタ。おまえもくつろげ。」
「あの、ルギア様?」
 女神様然としていたルギアも、普通の綺麗なお姉さんっぽい雰囲気を醸し出し始めてる。
 俺には戸惑う事しか出来ない。
 だって、第一の宮殿から仲間の熱い想いを受けて、ここに来たんだぞ。
 したら、なんか作品の質自体が変わってやがる。
 ほんと、何がしたいんだ?

「まったく、新装ガチャの実況配信でもしようかと思ってたのに、おまえ、来るの早すぎるんだよ。」
 えと、ルギア様?何言ってんだ?
「おう、ひと切れだけなら、恵んでやるぞ。食え食え。」
「は、はあ。」

 状況がいまいち飲み込めない俺だが、とりあえず勧められたピザをひと切れつまむ。

「あ、立て替えた1583円、払ってくださいよ。」
 俺はこのひと切れのピザでチャラになるのではと、不安になる。

「細かいヤツだのう。
 1583円は、チチブのルギア神殿の宝箱に入れておくから、後で取りに行け。」
「え、今払ってくださいよ。」
「今はキャッシュレス決済の時代だから、現金は持ち合わせておらんのだ。」

「キャッシュレス?
 ああ、だから俺が現金出したら、お兄さん変な顔してたんか。」
「え、何おまえ。現金で払ったの?」
「そりゃあ、キャッシュレス決済なんて知らんから、現金で払うだろ。」
「ぷぷ、」

 俺の答えに、ルギアは笑いをこらえている。
「な、何がおかしい!」
「いや、すまぬ。この時代、おまえの持ってるお金は、古銭扱いだ。」
「古銭?昔のお金って事か?」
 ならここは、時代が進んだ世界なのか?

「左様。商取引には額面の価値しかないが、古銭商に持ってけば、状態次第で十倍の価値になる。」

「はあ?なんだよそれ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

処理中です...