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章なしって設定できないの?~イワツキからサカドへ
第47話 勇者死ねない
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サカドの街へと向かう途中、海底洞窟のドラゴンにやられた俺は、ユミコとはぐれてしまった。
「もう、何勝手に死んでんのよ。
私、逃げなさいって言ったよね。」
ユミコのほこらでユミコと再会した俺は、普通にユミコに怒られる。
「ごめん、次からは気をつけるよ。」
ユミコと再会出来て嬉しくはあるが、俺はユミコに怒られてしょげる。
「たくう、何度も死んだら大変な事になるから、気をつけなさい。」
「大変な事?」
俺はユミコの言葉に引っかかる。
「あら知らないの、勇者専用の転移蘇生の儀式。」
「え、何その儀式。」
「はあ、ほんと何も知らないのね。」
ユミコはそうため息をつくと、説明してくれた。
「王様が勇者と認めた者は、どこで死のうが、王様の前で蘇生する。
それが転移蘇生の儀式よ。」
「へー、便利だね。いざとなったら、死んで戻れるんだ。」
「バカな事言わないで!」
俺の脳天気な返しに、ユミコはキレる。
「儀式には、代償をともなうのよ。
儀式は、勇者の持ち金の半分を捧げる事で、発動するわ。」
なるほど、だから俺の持ち金減ってるのか。
確か2000円くらいあったと思ったのに、1004円しかないや。
「そして、死んだ身体を転移させる時、転移エラーが必ず発生する。
勇者の身体を構成する物質を、全て転移させる事は、不可能なのよ。」
この説明には、俺もショックを受ける。
つまり、今の俺は元の俺と比べて、何かが足りないと言う事になる。二回分。
「五回目の転移蘇生辺りから、自覚症状が現れるわ。
何かが足りないってね。」
ごくり。
ユミコの説明に、思わずツバを飲む。
「十回目ともなれば、もう人格も変わってる。
二十回目ともなれば、それはもう、ひとと言えるかも怪しい存在にまるわよ。」
「な、」
初めて知る衝撃の事実に、俺も言葉を失う。
「その様子だと、死ぬのは初めてじゃないみたいね。」
うろたえる俺を見て、ユミコはめざとく気づく。
「ああ、二回目だ。」
「そう、ならこれ以上死なない事ね。
今が、ユウタがユウタでいられる、限界のはずよ。」
「そっか、俺はもう死ねないのか。」
「ええ、あなたがあなたで、いたいならね。」
ユミコの説明を受けて、俺は茫然自失。
蘇生した俺を見て、ニヤけてる王様達の真意も、なんとなく理解した。
俺が俺でなくなるのを、なんで笑ってんだ!
そう思うと、自然と腹がたつ。
「だから、死なない事を心がけなさい。
タカスナは、一度も死ななかったわよ。」
「もう、何勝手に死んでんのよ。
私、逃げなさいって言ったよね。」
ユミコのほこらでユミコと再会した俺は、普通にユミコに怒られる。
「ごめん、次からは気をつけるよ。」
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「たくう、何度も死んだら大変な事になるから、気をつけなさい。」
「大変な事?」
俺はユミコの言葉に引っかかる。
「あら知らないの、勇者専用の転移蘇生の儀式。」
「え、何その儀式。」
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ユミコはそうため息をつくと、説明してくれた。
「王様が勇者と認めた者は、どこで死のうが、王様の前で蘇生する。
それが転移蘇生の儀式よ。」
「へー、便利だね。いざとなったら、死んで戻れるんだ。」
「バカな事言わないで!」
俺の脳天気な返しに、ユミコはキレる。
「儀式には、代償をともなうのよ。
儀式は、勇者の持ち金の半分を捧げる事で、発動するわ。」
なるほど、だから俺の持ち金減ってるのか。
確か2000円くらいあったと思ったのに、1004円しかないや。
「そして、死んだ身体を転移させる時、転移エラーが必ず発生する。
勇者の身体を構成する物質を、全て転移させる事は、不可能なのよ。」
この説明には、俺もショックを受ける。
つまり、今の俺は元の俺と比べて、何かが足りないと言う事になる。二回分。
「五回目の転移蘇生辺りから、自覚症状が現れるわ。
何かが足りないってね。」
ごくり。
ユミコの説明に、思わずツバを飲む。
「十回目ともなれば、もう人格も変わってる。
二十回目ともなれば、それはもう、ひとと言えるかも怪しい存在にまるわよ。」
「な、」
初めて知る衝撃の事実に、俺も言葉を失う。
「その様子だと、死ぬのは初めてじゃないみたいね。」
うろたえる俺を見て、ユミコはめざとく気づく。
「ああ、二回目だ。」
「そう、ならこれ以上死なない事ね。
今が、ユウタがユウタでいられる、限界のはずよ。」
「そっか、俺はもう死ねないのか。」
「ええ、あなたがあなたで、いたいならね。」
ユミコの説明を受けて、俺は茫然自失。
蘇生した俺を見て、ニヤけてる王様達の真意も、なんとなく理解した。
俺が俺でなくなるのを、なんで笑ってんだ!
そう思うと、自然と腹がたつ。
「だから、死なない事を心がけなさい。
タカスナは、一度も死ななかったわよ。」
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