上 下
27 / 221
ユミコ争奪編

第27話 勇者女性不信になる

しおりを挟む
 イワツキの村で再会したユミコ。
 だけどユミコは、俺の事を知らないと、しらばっくれる。


「あーん?おめー、なんなんだ!」
 ユミコに赤の他人扱いされた俺は、近場の男にすごまれる。

「あの、冗談はやめてください。」
 なんかヤバいひと扱いされそうなんで、俺はユミコに誤解を解いてもらおうとする。

「なんなんだよ、おめーはよ!」
 ドガ!
 いきなり俺は、殴られた。
 くっそいてー。
 流石は魔王討伐に旅立った者だけの事はある。
 傷つき、この村で温泉治療してるとは言え、そこそこ強い。

 ドゴ!
 倒れた俺を、女性勇者が踏みつける。
「あんた最低よ。」
 うん、あなたのおパンツ、見えてますよ。
「パンツ見てんじゃねーよ!」
 俺の心を読んだのか、ひとりの男が踏みつけてくる。
 俺は素早くかわして起き上がる。
 女性の攻撃なら、おパンツを見る特典付きだが、なんの特典もない男の攻撃は、かわさせてもらおう。

「きゃ。」
 勢いよく起き上がった俺は、よろけてバランスを崩す。
 そしてそのまま、背中からユミコにぶつかってしまう。
 今の俺は、鉄の鎧を装備している。
 つまり、ユミコの胸の柔らかみが、全く分からない。
 くそ、お買い物は後回しにするべきだったぜ!

「この変態!」
 ズガ!
 女性勇者の後ろ回し蹴りが、俺の顔面にクリーンヒット。
 いや、ユミコの胸を気にしてる最中に、パンツを見せるのは反則すぎる。
 こんなん、不可避やん。

 倒れた俺に、ストンピンクの嵐。
 鉄の鎧を着てるとはいえ、結構痛い。
 一応、鉄の盾で頭は守ります。

 流石は勇者崩れのヤツらが、本気で殺しにかかってくると、命の危険を感じる。

「やめてー、私の為に争わないでー!」
 ユミコのひと声で、俺へのストンピンク攻撃がやむ。

「ヒーリングっと。」
 ユミコの回復呪文で、俺の体力が回復。
 なんか、俺の回復呪文より強力で、体力は全回復してしまう。

「助かったよ、ユミ」
 立ち上がって礼を言う俺の口を、ふさぐ様にユミコが鷲掴み。
「少し、黙ろっか。」
 ユミコは顔を近づけ、ドスの効いた低い声で俺を脅す。

 俺が驚いて目を見開くと、ユミコはにっこりと俺を掴んだ手を離す。
 俺は数歩後ろによろける。

 トン。

 俺は後方の女性勇者にぶつかる。
「触んな、この変態。」
 女性勇者は、俺の後頭部を殴る。
 この頭の痛みより、ユミコに拒絶された心の痛みに方が、よっぽど痛かった。

「あなた、大丈夫?」
「あんな変態に、回復呪文使う必要ないわよ。」
「それより、私達とパーティ組みましょ。」

 俺がユミコから離れると、数名の女性勇者が、ユミコを男どもから守るように取り囲む。

 俺は強い失意のもと、ユミコのそばから離れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...