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銀の笛奪還編
第21話 勇者先祖の性癖に触れる
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勇者ウラワと旅をしたと言う、クマガイユミコの幽霊。
自分を生きた人間だと言いきる幽霊を、俺は問い詰めた。
「あまり、言いたくないんだけどなぁ。聞いちゃう?」
「ええ、ぜひ、お聞かせください。クマガイユミコさん。」
「そうね、タカスナも子孫には伝えなかったみたいだし、私が言うしかないよね。きゃ。」
「きゃ?」
勇者ウラワタカスナと、クマガイユミコの関係。
それが今、語られる。
「あれは、魔王との最終決戦の時。
色々あって私は、タカスナと気まずくなってしまったの。」
「色々とは?」
「それは、色々よ。
私が姿を見せない事とは、関係ないから、聞かないでちょうだい。」
「分かりました。続けてください。」
「そして魔王討伐セレモニーの後、私はタカスナの前から姿を消したの。」
「なるほど、その時の恨みをはらすため、タカスナの子孫である私を、呪い殺しに現れた。という訳ですね。」
「違うわ!」
俺の名推理を、ユミコは即座に否定する。
「私は、タカスナを愛していた。なぜタカスナの子孫を呪うのよ!」
「それは、愛憎のもつれ、ってヤツですよね。
現にあなたは、タカスナと一緒になれなかった。」
「ち、違うわよ、私とタカスナは、そんなんじゃないわよ。」
「ならばなぜ、あなたはタカスナの前から、姿を消したのですかな。」
「仕方ないじゃない、あんな姿を見られたのだから。」
次第に弱気な口調になる、クマガイユミコ。
なんか気の毒に思えてくるが、俺も幽霊への追及をゆるめる訳にもいかない。
「あんな姿とは、どんな姿ですか。」
「それは、、」
「どんな姿ですか。裸でも見られたのですか。」
「裸、ね。ある意味裸だけど、裸の方が、どんなにマシだった事か。」
「つまり、裸以上に恥ずかしい姿を、見られてしまった、という事ですね。」
「そう言う事。これ以上は、聞かないでほしい。」
「分かりました。続けてください。」
俺はあんな姿に対する追求を避ける。
ちょっと興味はあるが、今の俺とユミコには、関係なさそうだ。
「セレモニーが終わった晩、タカスナはゴハン一世の娘、スーシ姫の部屋に呼ばれたの。
特別なおもてなしをしたいから、って。」
「なるほど、つまり18禁。」
「まさか、スーシ姫は当時まだ10歳よ。」
「それは、手を出したら犯罪ですな。」
「私は城の外で、銀の笛を奏でた。
城の中にいるタカスナに、私の居場所を知らせるために。」
「…。」
「夜が明けるまで、私は銀の笛を奏で続けた。
でもタカスナは、来てくれなかった。」
「それが本当なら、タカスナは性犯罪者ですね。」
ユミコの話しを聞いていて、俺の心が痛むのは、なぜだろう。
自分を生きた人間だと言いきる幽霊を、俺は問い詰めた。
「あまり、言いたくないんだけどなぁ。聞いちゃう?」
「ええ、ぜひ、お聞かせください。クマガイユミコさん。」
「そうね、タカスナも子孫には伝えなかったみたいだし、私が言うしかないよね。きゃ。」
「きゃ?」
勇者ウラワタカスナと、クマガイユミコの関係。
それが今、語られる。
「あれは、魔王との最終決戦の時。
色々あって私は、タカスナと気まずくなってしまったの。」
「色々とは?」
「それは、色々よ。
私が姿を見せない事とは、関係ないから、聞かないでちょうだい。」
「分かりました。続けてください。」
「そして魔王討伐セレモニーの後、私はタカスナの前から姿を消したの。」
「なるほど、その時の恨みをはらすため、タカスナの子孫である私を、呪い殺しに現れた。という訳ですね。」
「違うわ!」
俺の名推理を、ユミコは即座に否定する。
「私は、タカスナを愛していた。なぜタカスナの子孫を呪うのよ!」
「それは、愛憎のもつれ、ってヤツですよね。
現にあなたは、タカスナと一緒になれなかった。」
「ち、違うわよ、私とタカスナは、そんなんじゃないわよ。」
「ならばなぜ、あなたはタカスナの前から、姿を消したのですかな。」
「仕方ないじゃない、あんな姿を見られたのだから。」
次第に弱気な口調になる、クマガイユミコ。
なんか気の毒に思えてくるが、俺も幽霊への追及をゆるめる訳にもいかない。
「あんな姿とは、どんな姿ですか。」
「それは、、」
「どんな姿ですか。裸でも見られたのですか。」
「裸、ね。ある意味裸だけど、裸の方が、どんなにマシだった事か。」
「つまり、裸以上に恥ずかしい姿を、見られてしまった、という事ですね。」
「そう言う事。これ以上は、聞かないでほしい。」
「分かりました。続けてください。」
俺はあんな姿に対する追求を避ける。
ちょっと興味はあるが、今の俺とユミコには、関係なさそうだ。
「セレモニーが終わった晩、タカスナはゴハン一世の娘、スーシ姫の部屋に呼ばれたの。
特別なおもてなしをしたいから、って。」
「なるほど、つまり18禁。」
「まさか、スーシ姫は当時まだ10歳よ。」
「それは、手を出したら犯罪ですな。」
「私は城の外で、銀の笛を奏でた。
城の中にいるタカスナに、私の居場所を知らせるために。」
「…。」
「夜が明けるまで、私は銀の笛を奏で続けた。
でもタカスナは、来てくれなかった。」
「それが本当なら、タカスナは性犯罪者ですね。」
ユミコの話しを聞いていて、俺の心が痛むのは、なぜだろう。
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