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銀の笛奪還編
第10話 勇者依頼を受ける
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俺はイワツキの村へ橋を越えて向かうのをあきらめ、川沿いに北上する。
岩の魔物やチビデブの魔物に遭遇するも、蹴散らして進む。
岩の魔物からはダメージを受けるので、回復呪文を使う。
帰還する時のマジックパワーが心配になった頃、地下へと続く階段を発見。
階段の周りには結界が張ってあるらしく、明らかに空気の質が違った。
俺は階段を降りてみる。
そこは金属質の何かで覆われた地下室だった。
奥の壁際には、これまた金属質の何かが置かれていて、その前には蓋が開けっぱなしの宝箱があった。
部屋のすみには、閉じた宝箱があった。
俺は蓋の開いた宝箱を覗き込む。
中身は空っぽだった。
「誰?」
突然何者かの声がする。
俺は辺りを見渡すが、誰もいない。
「あなたは誰なの?」
再び女性っぽい声がするが、その姿は見えない。
「俺はユウタです。」
とりあえず名乗ってみる。
「ユウタ?勇者ウラワの子孫ですか?」
「はい、そうです。」
「おお、ついにこの日が来てしまったのですか。」
嘆く女性の声はすれど、姿は見えない。
「お願いです、ユウタさん。
吟遊詩人ユーズルに奪われた私の銀の笛を、取り戻して下さい。」
「え?」
いきなり伝説の吟遊詩人の名が出てきて、俺はびっくりする。
「銀の笛を使えば、魔物と心をかよわす事が出来るのです。
ユーズルは銀の笛を使って魔物を従えました。
ですが魔物を制御出来なくなり、魔物に殺されたのです。」
俺は選択を迫られる。
銀の笛をここに持って来るか、こないのか。
「銀の笛は、ユーズルの死体ごと埋葬されました。
ユーズルの墓には、彼が使役して、操れなくなった魔物達も封じ込められています。」
俺は再び、選択を迫られる。
銀の笛をここに持って来るか、こないのか。
「ユーズルの墓を封じるため、カワゴエの村は作られました。
ユーズルの墓は魔法の扉で封印されています。
再び魔物達が解き放たれる事のないように。」
俺は再び、選択を迫られる。
銀の笛をここに持って来るか、こないのか。
補足説明のネタは、尽きたらしい。
返事を保留して、相手の出かたを待っても、女性の声は黙ったままだ。
何か気まずい空気が流れはじめる。
「あのー、私のお願い、聞いてくださらないのですか?」
女性の声は寂しげな口調で、俺に聞いてくる。
「えと、その、ユーズルの墓に入るには、魔法の鍵が必要ですよね。
俺、魔法の鍵持ってないから、どうしたものかと。」
魔法の鍵は、俺が立ち寄ったカスカベにもカワゴエにも売ってなかった。
これから向かうイワツキにも売ってなかったらと思うと、この依頼を受けるに躊躇する。
「魔法の鍵なら、そこの宝箱に入ってます。
銀の笛を取り戻してくださるなら、さしあげます。」
俺は宝箱を開けてみる。
中には魔法の鍵と転移の翼が入ってた。
「あ、ちょっと、何勝手に開けてるんですか!」
女性の声は怒ってる。
「あ、すいません、つい。」
俺は軽く頭を下げる。
「ついってあなたねえ。
やっていい事と悪い事があるでしょ!」
「す、すいません。」
女性の声に、俺は謝る事しか出来ない。
「で、銀の笛を取り戻してくれるんですよね?」
「は、はい。」
再び選択を迫られた俺は、断る事が出来なかった。
岩の魔物やチビデブの魔物に遭遇するも、蹴散らして進む。
岩の魔物からはダメージを受けるので、回復呪文を使う。
帰還する時のマジックパワーが心配になった頃、地下へと続く階段を発見。
階段の周りには結界が張ってあるらしく、明らかに空気の質が違った。
俺は階段を降りてみる。
そこは金属質の何かで覆われた地下室だった。
奥の壁際には、これまた金属質の何かが置かれていて、その前には蓋が開けっぱなしの宝箱があった。
部屋のすみには、閉じた宝箱があった。
俺は蓋の開いた宝箱を覗き込む。
中身は空っぽだった。
「誰?」
突然何者かの声がする。
俺は辺りを見渡すが、誰もいない。
「あなたは誰なの?」
再び女性っぽい声がするが、その姿は見えない。
「俺はユウタです。」
とりあえず名乗ってみる。
「ユウタ?勇者ウラワの子孫ですか?」
「はい、そうです。」
「おお、ついにこの日が来てしまったのですか。」
嘆く女性の声はすれど、姿は見えない。
「お願いです、ユウタさん。
吟遊詩人ユーズルに奪われた私の銀の笛を、取り戻して下さい。」
「え?」
いきなり伝説の吟遊詩人の名が出てきて、俺はびっくりする。
「銀の笛を使えば、魔物と心をかよわす事が出来るのです。
ユーズルは銀の笛を使って魔物を従えました。
ですが魔物を制御出来なくなり、魔物に殺されたのです。」
俺は選択を迫られる。
銀の笛をここに持って来るか、こないのか。
「銀の笛は、ユーズルの死体ごと埋葬されました。
ユーズルの墓には、彼が使役して、操れなくなった魔物達も封じ込められています。」
俺は再び、選択を迫られる。
銀の笛をここに持って来るか、こないのか。
「ユーズルの墓を封じるため、カワゴエの村は作られました。
ユーズルの墓は魔法の扉で封印されています。
再び魔物達が解き放たれる事のないように。」
俺は再び、選択を迫られる。
銀の笛をここに持って来るか、こないのか。
補足説明のネタは、尽きたらしい。
返事を保留して、相手の出かたを待っても、女性の声は黙ったままだ。
何か気まずい空気が流れはじめる。
「あのー、私のお願い、聞いてくださらないのですか?」
女性の声は寂しげな口調で、俺に聞いてくる。
「えと、その、ユーズルの墓に入るには、魔法の鍵が必要ですよね。
俺、魔法の鍵持ってないから、どうしたものかと。」
魔法の鍵は、俺が立ち寄ったカスカベにもカワゴエにも売ってなかった。
これから向かうイワツキにも売ってなかったらと思うと、この依頼を受けるに躊躇する。
「魔法の鍵なら、そこの宝箱に入ってます。
銀の笛を取り戻してくださるなら、さしあげます。」
俺は宝箱を開けてみる。
中には魔法の鍵と転移の翼が入ってた。
「あ、ちょっと、何勝手に開けてるんですか!」
女性の声は怒ってる。
「あ、すいません、つい。」
俺は軽く頭を下げる。
「ついってあなたねえ。
やっていい事と悪い事があるでしょ!」
「す、すいません。」
女性の声に、俺は謝る事しか出来ない。
「で、銀の笛を取り戻してくれるんですよね?」
「は、はい。」
再び選択を迫られた俺は、断る事が出来なかった。
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