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【改訂前】うるさい
屋上
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まあ、保健室に行くつもりはさらさら無い。
包帯はいつも常備してるから。
まさか、こんなに早くこの鍵を使うことになるなんて思わなかった。
父さんからもらった黒いカードを眺める。
『何かあったらこの鍵を使いなさい』
生徒会以外入れないらしい。
ということは生徒会役員がいるかもしれなくて、それで色々バレたら面倒くさい。
だけどまあその時はその時だ。
何とかなるだろう。
やっと階段を登り終え、白い扉が見えた。
カードをかざすとピピッという電子音と共に扉が開く。
ドアの先は、屋上だった。
風が心地良い。
木がそよそよと揺れる音が、時折聞こえる鳥のさえずりが、静寂が、心地良かった。
「あ、こんなことしてる暇無いか…」
パーカーの裏のポケットから包帯を取り出す。
実はこの黒いパーカー、リバーシブルなのだ。
慣れた手つきでくるくると手に巻き付ける。
いつもと比べ物にならない血の量だ。
一度拭いたのに包帯はすっかり赤く染っている。
ぽけーっとまた眺め、そっと手を床に落とし、目をつぶる。
ここは案外いい場所かもしれない。
キィッ
はっと目を開けて慌てて立つとその弾みで何かが音を立てて落ちる。
カランッ
その音で誰かが近付いてきた。
どうすることも出来ずに突っ立っていると、そこに無口な男が近付いてきた。
あ、この前の。
そう思いながらただ見つめているとその男もこちらに気付いた。
しかしすぐに驚いたように近付いてきて、僕の手をとった。
下に落ちたものを見て、目付きが鋭くなる。
「ここ、で…なに、して、た」
ああ、怖い怖い。
「何もしてない。包帯を巻いてただけだし、そのカッターはたまたま落ちただけです」
肩を竦めて答えるとその態度にイラッとしたのかさらに目付きが険しいものになる。
「その…け、が…なに…?」
「…別に、なんでもないです。」
そう、何でもないよ。
フィッと目を逸らして答えると何を思ったのか僕の腕を引っ張って何処かに連れていこうとする。
「何処に行くんですか。」
負けじと踏ん張ると僕を一瞥してから今度はヒョイッと首元を掴んだ。
これじゃあまるで子猫だ。
「ほけ、室…行く」
「…別に大丈夫ですよ、包帯巻いたので」
「そんな、の…めっ!」
いや、別に貴方が心配する事でもないだろうし…。
でもまあ、首根っこを掴まれてるわけだから抵抗も出来ず、ズルズルと保健室まで連行されてしまった。
包帯はいつも常備してるから。
まさか、こんなに早くこの鍵を使うことになるなんて思わなかった。
父さんからもらった黒いカードを眺める。
『何かあったらこの鍵を使いなさい』
生徒会以外入れないらしい。
ということは生徒会役員がいるかもしれなくて、それで色々バレたら面倒くさい。
だけどまあその時はその時だ。
何とかなるだろう。
やっと階段を登り終え、白い扉が見えた。
カードをかざすとピピッという電子音と共に扉が開く。
ドアの先は、屋上だった。
風が心地良い。
木がそよそよと揺れる音が、時折聞こえる鳥のさえずりが、静寂が、心地良かった。
「あ、こんなことしてる暇無いか…」
パーカーの裏のポケットから包帯を取り出す。
実はこの黒いパーカー、リバーシブルなのだ。
慣れた手つきでくるくると手に巻き付ける。
いつもと比べ物にならない血の量だ。
一度拭いたのに包帯はすっかり赤く染っている。
ぽけーっとまた眺め、そっと手を床に落とし、目をつぶる。
ここは案外いい場所かもしれない。
キィッ
はっと目を開けて慌てて立つとその弾みで何かが音を立てて落ちる。
カランッ
その音で誰かが近付いてきた。
どうすることも出来ずに突っ立っていると、そこに無口な男が近付いてきた。
あ、この前の。
そう思いながらただ見つめているとその男もこちらに気付いた。
しかしすぐに驚いたように近付いてきて、僕の手をとった。
下に落ちたものを見て、目付きが鋭くなる。
「ここ、で…なに、して、た」
ああ、怖い怖い。
「何もしてない。包帯を巻いてただけだし、そのカッターはたまたま落ちただけです」
肩を竦めて答えるとその態度にイラッとしたのかさらに目付きが険しいものになる。
「その…け、が…なに…?」
「…別に、なんでもないです。」
そう、何でもないよ。
フィッと目を逸らして答えると何を思ったのか僕の腕を引っ張って何処かに連れていこうとする。
「何処に行くんですか。」
負けじと踏ん張ると僕を一瞥してから今度はヒョイッと首元を掴んだ。
これじゃあまるで子猫だ。
「ほけ、室…行く」
「…別に大丈夫ですよ、包帯巻いたので」
「そんな、の…めっ!」
いや、別に貴方が心配する事でもないだろうし…。
でもまあ、首根っこを掴まれてるわけだから抵抗も出来ず、ズルズルと保健室まで連行されてしまった。
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