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第2章
2-02 明里の入学式
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先週、明里が大学へ着ていく服を準備させた。
今までは高校の制服で良かったが、大学で女子が毎日同じ服着ていたら恥かしい。
明里は、今ある服でいいと言ったが、これからは女子大生なのだから、高校までの服とは、趣が違うでしょうと言った。
それと、入学式に着ていく正装着と履物を買って来るように伝えた。
入学式は、普段着でいいと言ったので、私は明里を人並に育てたいと言ったら、親が子に向けるようなこと、言わないで下さいと言われた。
・・・・・・
そして今日は明里の入学式。
私は、明里にお願いされて、大学の入学式に出席する事となった。
私の中では、娘に付きそう父親の設定である。
大学キャンパス内で一緒に歩くのは、さすがに恥ずかしい。
キャンパスに着いたら別行動。
適当にキャンパスをまわってから入学式場に行く。
という事で許してもらった。
私は普段のスーツ、明里は用意した正装着で大学の入学式に向かった。
大学の校門前に着くと、新入生は校門を背に、親御さんと一緒に記念写真を撮っている。
その順番待ちとして、長い列が出来上がっていた。
校門を通ると、大学の関係者らしき人が並んで、「おめでとうございます」と声を掛けながら大学のロゴが印刷された小さなバックを渡している。
中には、大学のマスコットキャラクターが印刷されたクリアファイルや飲料水ペットボトル、大学を紹介するパンフレット等が入っていた。
明里とは、打ち合わせどおり、ここで別れた。
都内にありながら、なかなか広いキャンパスだ。
キャンパス内を、散歩しながら見てまわった。
体育館が入学式場になっている。
まだ早いが、式場に入った。
大きな体育館だ。
新入生に用意された椅子が、体育館を埋め尽くしている。
新入生の親族は、2階の観客席へ誘導された。
私は、2階の前の席に座り、集まって来た新入生を見ていた。
席が決まっている訳ではなく、自由に座っているようだ。
ブロック単位で概算すると、新入生の数は3000人ぐらいだろうか。
学部にもよるだろうが、女性は3割ぐらいか。
この人数の中、目に付く女性がいた。
明里だ。
決して目立つ装いではない。
何故だろう。
まだ、式は始まっていない。
みんな、ガヤガヤしている。
ところが、明里の周りだけ、整然としている。
明里の周りに座る男どもは、緊張しているのか行儀よく座っている。
この様子を見て、何とも言えない不安を感じた。
式は、学長の挨拶、吹奏楽団の演奏等が行われた。
式を終えて体育館を出ると、何やら小さな人だかりが目に付いた。
その中心にいたのは明里だった。
「ねえ、どこの学部?」
「彼氏いるの?」
「サークル決めた?」
男どもが、明里を囲って質問している。
私は、明里のスマホに電話した。
… … … …
「繁盛してますね」
「う~助けて!」
「駅前にある〇〇ホテルのコーヒーラウンジで待ってる」
「ちょっとぉ~」
私は電話を切った。
明里を遠くから目で追った。
明里は、群がる男共に頭を下げて、その人だかりから脱出した。
私も約束の場所へ向かった。
コーヒーラウンジに着いたのは、私の方が早かった。
案内された席に着いて、ブレンドコーヒーを注文した。
明里も一足遅れて到着した。
私は明里に提案した。
「入学式を終えた学生で駅は溢れているから、ここで落ち着くのを待ちましょう」
「う~」
明里にとっては、それどころではないようだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回:解っていた事
今までは高校の制服で良かったが、大学で女子が毎日同じ服着ていたら恥かしい。
明里は、今ある服でいいと言ったが、これからは女子大生なのだから、高校までの服とは、趣が違うでしょうと言った。
それと、入学式に着ていく正装着と履物を買って来るように伝えた。
入学式は、普段着でいいと言ったので、私は明里を人並に育てたいと言ったら、親が子に向けるようなこと、言わないで下さいと言われた。
・・・・・・
そして今日は明里の入学式。
私は、明里にお願いされて、大学の入学式に出席する事となった。
私の中では、娘に付きそう父親の設定である。
大学キャンパス内で一緒に歩くのは、さすがに恥ずかしい。
キャンパスに着いたら別行動。
適当にキャンパスをまわってから入学式場に行く。
という事で許してもらった。
私は普段のスーツ、明里は用意した正装着で大学の入学式に向かった。
大学の校門前に着くと、新入生は校門を背に、親御さんと一緒に記念写真を撮っている。
その順番待ちとして、長い列が出来上がっていた。
校門を通ると、大学の関係者らしき人が並んで、「おめでとうございます」と声を掛けながら大学のロゴが印刷された小さなバックを渡している。
中には、大学のマスコットキャラクターが印刷されたクリアファイルや飲料水ペットボトル、大学を紹介するパンフレット等が入っていた。
明里とは、打ち合わせどおり、ここで別れた。
都内にありながら、なかなか広いキャンパスだ。
キャンパス内を、散歩しながら見てまわった。
体育館が入学式場になっている。
まだ早いが、式場に入った。
大きな体育館だ。
新入生に用意された椅子が、体育館を埋め尽くしている。
新入生の親族は、2階の観客席へ誘導された。
私は、2階の前の席に座り、集まって来た新入生を見ていた。
席が決まっている訳ではなく、自由に座っているようだ。
ブロック単位で概算すると、新入生の数は3000人ぐらいだろうか。
学部にもよるだろうが、女性は3割ぐらいか。
この人数の中、目に付く女性がいた。
明里だ。
決して目立つ装いではない。
何故だろう。
まだ、式は始まっていない。
みんな、ガヤガヤしている。
ところが、明里の周りだけ、整然としている。
明里の周りに座る男どもは、緊張しているのか行儀よく座っている。
この様子を見て、何とも言えない不安を感じた。
式は、学長の挨拶、吹奏楽団の演奏等が行われた。
式を終えて体育館を出ると、何やら小さな人だかりが目に付いた。
その中心にいたのは明里だった。
「ねえ、どこの学部?」
「彼氏いるの?」
「サークル決めた?」
男どもが、明里を囲って質問している。
私は、明里のスマホに電話した。
… … … …
「繁盛してますね」
「う~助けて!」
「駅前にある〇〇ホテルのコーヒーラウンジで待ってる」
「ちょっとぉ~」
私は電話を切った。
明里を遠くから目で追った。
明里は、群がる男共に頭を下げて、その人だかりから脱出した。
私も約束の場所へ向かった。
コーヒーラウンジに着いたのは、私の方が早かった。
案内された席に着いて、ブレンドコーヒーを注文した。
明里も一足遅れて到着した。
私は明里に提案した。
「入学式を終えた学生で駅は溢れているから、ここで落ち着くのを待ちましょう」
「う~」
明里にとっては、それどころではないようだ。
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次回:解っていた事
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