秘密の師弟関係

ほのじー

文字の大きさ
上 下
121 / 121
スノーランド婚約結婚編

幸せな結婚式

しおりを挟む
~結婚式当日~




鏡にうっすらと化粧が施されたミリアが写っている。キラキラと輝く純白のドレスに身を纏うミリアはまるで空から舞い降りた天使のようだ。準備に参加した者たちはその美しさにホッとため息をこぼしている。案内人はミリアをドアの前に先導する。



「さあ、ミリア様、準備はよろしいでしょうか?」
「はい・・・」




バージンロードへと続くドアが開かれる。大勢の観客がミリアの一心に見つめ、感嘆の声やすすり泣きの声も聞こえてきた。マールは必死にミリアの写真を撮影し、リッヒはハンカチで涙を拭っている。



『ミリアさん・・・美しいです・・』
『本当に結婚されるのですね・・・』



騎士団からも数人参加しており、多くの女性がキースや他の騎士団員にチラチラと目線を送っていた。スノーランドの女性は肉食なので今日数人は彼女らに食べられてしまうであろう。



(ランドルフ・・・)



バージンロードにはミリアのドレスに合わせた純白のタキシードを身に付けているランドルフがミリアを待っており、その顔を見るだけで少し緊張が解れた。




「俺の奥さん・・・とっても綺麗だ・・・」




ランドルフは小声でミリアに告げる。結婚式にはスノーランド王族一同やランドルフの家族が参加している。皆二人に盛大な拍手をくれた。





牧師への誓いが終わり、二人は誓いのキスをする。




「ミリア・・・俺と結婚してくれてありがとう」
「こちらこそ私の旦那さんになってくれてありがとう」



二人は見つめあい、長い誓いのキスをした。




『わーーーーー』
『おめでとう!!』




教会を出ると一緒に鉄道プロジェクトを進めてきた研究員たちや、他のブラン騎士団員たち、フェリス国の劇団員たちなど多くの人がミリアとランドルフの姿を見にやって来たようだ。




「皆・・・お仕事大丈夫なのかしら」
「鉄道のお陰で皆今から二時間でフェリス国に帰れるんだから、大丈夫だろ」



今日、スノーランドとフェリス国を結ぶ鉄道が開通された。挙式はスノーランドだったのだが、大勢のフェリス国民が来てくれたことに驚きを隠せない。



「ミリアさーん、早くブーケブーケ!!」




劇団員の女性たちが手を上げてミリアのブーケトスを待ち構えているようだ。




「皆さーん!いきますよ!!せーのっ」




ミリアが投げたブーケは勢いよく上に舞った。思ったより強く投げてしまいそのブーケは劇団の後列にいた女性が受け取った。



「あら、受け取っちゃったわ」




(ん・・・あれは・・・ベラ様・・・!?)




平民の服を来ているが、そのオーラを全く隠しきれていないフェリス国正妃ベラは彼女はそのブーケを隣にいる女性へと譲ってあげていた。



(シャ、シャーロット様!!)



メガネを掛けて変装している女性はあきらかにシャーロットで、彼女は執務があるにもかかわらず駆けつけてくれたようだ。シャーロットはブーケを持ちニッコリとミリアに手を振っていた。さらにその隣にはシルベスターもおり、二人にウインクをする。



「ねえ、ランドルフ・・・今フェリス国の重要な王族三人もこっちに来ちゃってるけど・・・大丈夫かしら」
「まぁ、周辺国と平和条約を次々と結んでるし、戦争することなんてなくなりそうだ。いいんじゃないか?」
「そ、そうね・・・」




二人は新しく開通した鉄道に乗り込み、新婚旅行へと旅立つ。まずはフェリス国で最高級のホテルに一泊し、馬車に乗り換えてアングレ国や周辺国なども見て回る予定だ。




「愛してるよ、奥さん」
「私も愛してるわ、旦那様」




鉄道の開通日、各国の記者たちがミリアとランドルフの新婚カップルを目撃した。その熱々ぶりは世界中で話題となり、二人が新婚旅行をした場所場所は恋愛成就スポットとなり、多くのカップルが訪れることとなるのである。




〈婚約結婚編おわり〉

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?! 異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。 #日常系、ほのぼの、ハッピーエンド 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/08/13……完結 2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位 2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位 2024/07/01……連載開始

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

憧れの騎士さまと、お見合いなんです

絹乃
恋愛
年の差で体格差の溺愛話。大好きな騎士、ヴィレムさまとお見合いが決まった令嬢フランカ。その前後の甘い日々のお話です。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

処理中です...