117 / 121
スノーランド婚約結婚編
少しずつ・・・
しおりを挟む
あれからミリアはランドルフに会う度にドキドキするようになった。
(どうしよう、ドキドキが止まらない)
「ミリア王女、階段です。お手を」
「あ、ありがとう・・・」
ランドルフが階段を降りるときにエスコートをしてくれる。手が少し触れているだけで、夜にあんなことをしたにも関わらず、なぜか恥ずかしくなって目が合っても反らしてしまう。
(やだ・・・なんで・・・)
ミリアはそんな時、叔父ケネスの妻であるカミラとお茶をする機会があった。子供たちは庭で駆け回っている。
「ミリアちゃんが記憶喪失になって、色々ケネスに口止めされたわ。皆ミリアちゃんが心配だったの。ヴィヴィアン王女と婚約するランドルフさんを思い出させないように彼のことはミリアちゃんに一切知られないようにしたわ」
「そんなことが・・・」
「でも、私と子供たちはランドルフさんの本気を分かってる。彼ね、非番のときに子供たちに剣を教えてくれてるのよ」
「ランドルフが・・・?」
「ええ、あの有名な“女戦士ミリア”の舞台のヒーローだもの」
「舞台・・・?」
「ええ、あなたとランドルフさんの恋と勇気の物語よ」
その舞台は小説化されたそうで、カミラがそれを貸してくれた。誇張されている面があるらしいが、ミリアの実話をベースとしているらしい。
(そ、そんなものがあったなんて・・・恥ずかしすぎるわ)
「近々アングレの第二王子フォスターがスノーランドに来るわ。ヴィヴィアン王女も一緒にね・・・それまでにミリアちゃん、あなたの気持ちを決めるべきだわ」
(ヴィヴィアン王女・・・ランドルフの恋人)
ーツキン
ミリアは胸の痛みを感じた。カミラはミリアの表情に確信する。
「皆ミリアちゃんの味方よ。あなたのお祖父様お祖母様もケネスもエドアルドも、あなたの気持ちを大事にしたいと思ってる。だからあなたが彼と一緒にいたいと言うのなら、私たちは何でもするわ」
「・・・ありがとう」
ミリアは家族の温かさにホロリと涙した。
「ミリア王女・・・どうしましたか?」
ぼんやりと考え込むミリアにランドルフは覗きこんだ。
「ランドルフ・・・今日あなたと剣の練習してもいいかしら」
「ええ・・・いいですよ」
今日、実剣はやはり危ないとのことで、竹刀を使い練習することとなった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「やっぱ筋肉が衰えてるみたいだな」
「記憶喪失になってから全然運動してないもの」
ミリアは何度も何度もランドルフと打ち合うが、一本も取れない。それが悔しくて堪らなかった。
「あ~!悔しいわ!なんでそんな強いのよ!」
「そりゃあ、好きな奴に追い越されたくないからな」
ランドルフは得意そうにミリアの竹刀を取り上げ、ミリアに顔を近づける。
ードキン
「今日は全然目線を合わせてくれなかったですね」
「そ、そんなことないわ」
「俺はずっと君の瞳を見ていたいのに」
「も、もう、からかわないで!///」
「申し訳ございません、ミリア王女」
わざと綺麗な騎士の礼をミリアに向けた。ミリアは平常心を装ってその日をなんとかやり過ごした。
夜、ミリアはカミラに貸してもらった小説を読むことにした。
(どうしよう、ドキドキが止まらない)
「ミリア王女、階段です。お手を」
「あ、ありがとう・・・」
ランドルフが階段を降りるときにエスコートをしてくれる。手が少し触れているだけで、夜にあんなことをしたにも関わらず、なぜか恥ずかしくなって目が合っても反らしてしまう。
(やだ・・・なんで・・・)
ミリアはそんな時、叔父ケネスの妻であるカミラとお茶をする機会があった。子供たちは庭で駆け回っている。
「ミリアちゃんが記憶喪失になって、色々ケネスに口止めされたわ。皆ミリアちゃんが心配だったの。ヴィヴィアン王女と婚約するランドルフさんを思い出させないように彼のことはミリアちゃんに一切知られないようにしたわ」
「そんなことが・・・」
「でも、私と子供たちはランドルフさんの本気を分かってる。彼ね、非番のときに子供たちに剣を教えてくれてるのよ」
「ランドルフが・・・?」
「ええ、あの有名な“女戦士ミリア”の舞台のヒーローだもの」
「舞台・・・?」
「ええ、あなたとランドルフさんの恋と勇気の物語よ」
その舞台は小説化されたそうで、カミラがそれを貸してくれた。誇張されている面があるらしいが、ミリアの実話をベースとしているらしい。
(そ、そんなものがあったなんて・・・恥ずかしすぎるわ)
「近々アングレの第二王子フォスターがスノーランドに来るわ。ヴィヴィアン王女も一緒にね・・・それまでにミリアちゃん、あなたの気持ちを決めるべきだわ」
(ヴィヴィアン王女・・・ランドルフの恋人)
ーツキン
ミリアは胸の痛みを感じた。カミラはミリアの表情に確信する。
「皆ミリアちゃんの味方よ。あなたのお祖父様お祖母様もケネスもエドアルドも、あなたの気持ちを大事にしたいと思ってる。だからあなたが彼と一緒にいたいと言うのなら、私たちは何でもするわ」
「・・・ありがとう」
ミリアは家族の温かさにホロリと涙した。
「ミリア王女・・・どうしましたか?」
ぼんやりと考え込むミリアにランドルフは覗きこんだ。
「ランドルフ・・・今日あなたと剣の練習してもいいかしら」
「ええ・・・いいですよ」
今日、実剣はやはり危ないとのことで、竹刀を使い練習することとなった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「やっぱ筋肉が衰えてるみたいだな」
「記憶喪失になってから全然運動してないもの」
ミリアは何度も何度もランドルフと打ち合うが、一本も取れない。それが悔しくて堪らなかった。
「あ~!悔しいわ!なんでそんな強いのよ!」
「そりゃあ、好きな奴に追い越されたくないからな」
ランドルフは得意そうにミリアの竹刀を取り上げ、ミリアに顔を近づける。
ードキン
「今日は全然目線を合わせてくれなかったですね」
「そ、そんなことないわ」
「俺はずっと君の瞳を見ていたいのに」
「も、もう、からかわないで!///」
「申し訳ございません、ミリア王女」
わざと綺麗な騎士の礼をミリアに向けた。ミリアは平常心を装ってその日をなんとかやり過ごした。
夜、ミリアはカミラに貸してもらった小説を読むことにした。
10
お気に入りに追加
795
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?!
異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。
#日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……完結
2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位
2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位
2024/07/01……連載開始
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる