99 / 121
スノーランド婚約結婚編
協定会議
しおりを挟む
「今回フェリス国研究員たちに協力していただきありがとうございました」
「いえいえ、当たり前のことをしたまでですよ」
どちらも次期国王となる予定であるミリアの叔父ケネスとシルベスターを筆頭に鉄道についての話し合いが始まった。
「スノーランド側で鉱石を改めて色々調査しました。今回調査した鉱山だけでなく、周辺の鉱山にもあの鉱石が発見されました、そうだね?ミリア」
「はい、ケミ鉱山とタルビ鉱山でも地下九百メートル付近で同様の鉱石が発見されたそうです」
ミリアは調査隊の報告書を読み上げる。そしてマールも同様に報告書を読み上げた。
「実験を行いましたが・・・小さな鉱石一粒でも1日鉄道を走らせることができそうです・・・」
「ふむ、それは朗報ですな」
ケネスは感心したように頷いた。
「この鉱石は非常に利用価値があります。是非ともフェリス国とスノーランド両国にとって素晴らしい取引をさせて頂きたく思います」
「ええ、鉱山へもご案内したく思うので、それまでゆっくりと協議を行いましょう」
シルベスターとケネスはにこやかに握手をする。
今回の会議はほぼ報告のみで終わらせた。シルベスターは二週間ほど滞在する予定で、その間に数回協議時間を設けるそうだ。深い話はまだ先となるだろう。
「さあ、皆さん、お腹もおすきでしょう。食事会場にご案内します」
食事会場に皆そろい、乾杯をした後、前菜からゆっくりと料理が出てくる。今日のメインディッシュはスノーランド自慢の海鮮で作った料理だ。
「いやぁ、素晴らしい料理です、ケネス王子。蟹もすごく身がプリプリで大きいですね」
「スノーランドでは海鮮がよく取れるんですよ」
「いやぁ、フェリス国にこれ程の海鮮はないですね。鉄道が開通すれば是非輸入させていただきたいですね」
シルベスターやフェリス国の者たちはスノーランドの料理に満足げだ。皆ゆっくり噛み締めて食べている。
「ちなみにシルベスター王子、明日の夜のご予定は決まっておるでしょうか」
「明日は研究員たちの鉄道の状況を見たいと思いますが、夜は空いてますが、何か?」
ケネスはシルベスターに明日の晩の予定を尋ねた。
「実はここではオーロラを見ることができるんです。よければミリアが皆さんをご案内しますが、どうでしょう?」
「是非ともお願いしたく思います!スノーランドの書物に記載されていて、死ぬまでに一度は見てみたいと思っていたんです」
フェリス国の人々はオーロラを見たことがない。スノーランドでしか見られない不思議な現象なのだそうだ。
「いやぁ、今晩は素敵な食事をありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ。今まで国交があまりなかったフェリス国の皆さんとお食事ができて非常に興味深かったです。やはり機械の技術はフェリス国が世界一ですな」
今やスノーランド全国民が使用しているこの暖房も、戦後に負けたスノーランドと戦争に勝ったフェリス国は和平条約を結び、今後戦争をしないことを約束した。そのときに寒さで死ぬ人が続出していたスノーランド国民にフェリス国が暖房の技術を提供をしたのだ。
「では、また明日から宜しくお願いします、ケネス王子」
「こちらこそ。今宵はゆっくりと温泉にお浸かりになってお休みください」
両国共、良いスタートを切れたと満足する食事会であった。フェリス国の者は、温泉の気持ちよさで夜はぐっすりと眠れたのだった。
「いえいえ、当たり前のことをしたまでですよ」
どちらも次期国王となる予定であるミリアの叔父ケネスとシルベスターを筆頭に鉄道についての話し合いが始まった。
「スノーランド側で鉱石を改めて色々調査しました。今回調査した鉱山だけでなく、周辺の鉱山にもあの鉱石が発見されました、そうだね?ミリア」
「はい、ケミ鉱山とタルビ鉱山でも地下九百メートル付近で同様の鉱石が発見されたそうです」
ミリアは調査隊の報告書を読み上げる。そしてマールも同様に報告書を読み上げた。
「実験を行いましたが・・・小さな鉱石一粒でも1日鉄道を走らせることができそうです・・・」
「ふむ、それは朗報ですな」
ケネスは感心したように頷いた。
「この鉱石は非常に利用価値があります。是非ともフェリス国とスノーランド両国にとって素晴らしい取引をさせて頂きたく思います」
「ええ、鉱山へもご案内したく思うので、それまでゆっくりと協議を行いましょう」
シルベスターとケネスはにこやかに握手をする。
今回の会議はほぼ報告のみで終わらせた。シルベスターは二週間ほど滞在する予定で、その間に数回協議時間を設けるそうだ。深い話はまだ先となるだろう。
「さあ、皆さん、お腹もおすきでしょう。食事会場にご案内します」
食事会場に皆そろい、乾杯をした後、前菜からゆっくりと料理が出てくる。今日のメインディッシュはスノーランド自慢の海鮮で作った料理だ。
「いやぁ、素晴らしい料理です、ケネス王子。蟹もすごく身がプリプリで大きいですね」
「スノーランドでは海鮮がよく取れるんですよ」
「いやぁ、フェリス国にこれ程の海鮮はないですね。鉄道が開通すれば是非輸入させていただきたいですね」
シルベスターやフェリス国の者たちはスノーランドの料理に満足げだ。皆ゆっくり噛み締めて食べている。
「ちなみにシルベスター王子、明日の夜のご予定は決まっておるでしょうか」
「明日は研究員たちの鉄道の状況を見たいと思いますが、夜は空いてますが、何か?」
ケネスはシルベスターに明日の晩の予定を尋ねた。
「実はここではオーロラを見ることができるんです。よければミリアが皆さんをご案内しますが、どうでしょう?」
「是非ともお願いしたく思います!スノーランドの書物に記載されていて、死ぬまでに一度は見てみたいと思っていたんです」
フェリス国の人々はオーロラを見たことがない。スノーランドでしか見られない不思議な現象なのだそうだ。
「いやぁ、今晩は素敵な食事をありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ。今まで国交があまりなかったフェリス国の皆さんとお食事ができて非常に興味深かったです。やはり機械の技術はフェリス国が世界一ですな」
今やスノーランド全国民が使用しているこの暖房も、戦後に負けたスノーランドと戦争に勝ったフェリス国は和平条約を結び、今後戦争をしないことを約束した。そのときに寒さで死ぬ人が続出していたスノーランド国民にフェリス国が暖房の技術を提供をしたのだ。
「では、また明日から宜しくお願いします、ケネス王子」
「こちらこそ。今宵はゆっくりと温泉にお浸かりになってお休みください」
両国共、良いスタートを切れたと満足する食事会であった。フェリス国の者は、温泉の気持ちよさで夜はぐっすりと眠れたのだった。
10
お気に入りに追加
795
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?!
異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。
#日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……完結
2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位
2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位
2024/07/01……連載開始
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる