94 / 121
スノーランド婚約結婚編
研究員鉱山へ
しおりを挟む
「皆さん、くれぐれもお気をつけて行ってきてください。ハルティ山は熊や狼もいますので・・・これはスノーランドに伝わる安全のお守りです。皆さんお受け取り下さい」
「ミリア王女・・・!感謝します」
「ミリアさん・・・ありがとう・・・」
研究員たちはミリアの気づかいに感動する。彼らはそのお守りを胸ポケットにそっとしまった。
ミリアは研究員たちのお見送りをしていた。ミリアは外出を禁止されているので(とにかく家族が過保護だ)王城内で、彼らの成功を祈ることにした。お守りはミリア手製なのだが、不器用なミリアをマイヤー先生が手伝ってくれたので、なんとか完成することができたのだ。
「いってらっしゃい!」
『いってきます!』
研究員たちは雪の中を進んでいった。
「さあ、ミリア王女、寒いので中にお入り下さい」
「待ってリッヒ。彼らが見えなくなるまでお見送りするわ」
はじめは研究員たちも振り返り、手を振っていた。しかかし研究員たちの後ろ姿は徐々に小さくなり、完全に見えなくなった。
「では、中に入りましょうか、ミリア王女」
「ええ、ホットココアでも飲みたいわ」
「侍女に準備させましょう」
さすがにずっと外にいたので体が冷えてしまったようだ。執事のリッヒはテキパキと指示をし、部屋にストーブを付け、侍女がホットココアを持ってきた。リッヒも側に控えている。ミリアの手はかじかみ、足の先もひんやりとしている。
「はぁ~ココアが暖かい~」
「お疲れ様でございます。とりあえず一段落ですね・・・ミリア王女はよく頑張っておられます」
リッヒは毛布をミリアの肩に被せ、ミリアを労った。
「初の国務だもの。張り切っちゃうわ」
「でもミリア王女が自ら作られたお守りを彼らが貰うなんて羨ましいですよ」
「ふふふ、リッヒもお守りが欲しかったの?」
「ミリア王女の手作りのものでしたら、何でも大切にしますよ」
「あら、大げさね、リッヒは!では今度何か作って差し上げようかしら」
「はい、お願いします」
リッヒは嬉しそうな笑みを浮かべた。
(なんだか彼、私のこと敬いすぎじゃないかしら)
スノーランドの王族に相当な忠誠を誓っているのだろう。ミリアに対しても敬った態度を取る彼だ。
リッヒはソファーに座っているミリアに近づき、膝まずいた。そしてミリアの手をそっと取った。
「こんなに手が冷えてらっしゃる」
「ええ・・・」
リッヒは自身の手でミリアの手をさすった。リッヒの手は暖房器具のように暖かい。
「リッヒ、私の手冷たいでしょ?いいのよ、そんなことしなくて」
「いえ、こんな可愛らしい手が冷えては駄目です」
リッヒはミリアの手に顔を近づける。中指に彼の唇が触れた。
(今、指にキスした!?///)
「さあ、ミリア女王、冷えた体を温めましょう。もうすぐ温泉の準備が整いましたので、風呂場へどうぞ」
「わ、分かったわ///」
ードクッドクッ
(やだ、私だけ恥ずかしがってるみたいじゃない。リッヒってば天然タラシね・・・)
「ミリア王女・・・!感謝します」
「ミリアさん・・・ありがとう・・・」
研究員たちはミリアの気づかいに感動する。彼らはそのお守りを胸ポケットにそっとしまった。
ミリアは研究員たちのお見送りをしていた。ミリアは外出を禁止されているので(とにかく家族が過保護だ)王城内で、彼らの成功を祈ることにした。お守りはミリア手製なのだが、不器用なミリアをマイヤー先生が手伝ってくれたので、なんとか完成することができたのだ。
「いってらっしゃい!」
『いってきます!』
研究員たちは雪の中を進んでいった。
「さあ、ミリア王女、寒いので中にお入り下さい」
「待ってリッヒ。彼らが見えなくなるまでお見送りするわ」
はじめは研究員たちも振り返り、手を振っていた。しかかし研究員たちの後ろ姿は徐々に小さくなり、完全に見えなくなった。
「では、中に入りましょうか、ミリア王女」
「ええ、ホットココアでも飲みたいわ」
「侍女に準備させましょう」
さすがにずっと外にいたので体が冷えてしまったようだ。執事のリッヒはテキパキと指示をし、部屋にストーブを付け、侍女がホットココアを持ってきた。リッヒも側に控えている。ミリアの手はかじかみ、足の先もひんやりとしている。
「はぁ~ココアが暖かい~」
「お疲れ様でございます。とりあえず一段落ですね・・・ミリア王女はよく頑張っておられます」
リッヒは毛布をミリアの肩に被せ、ミリアを労った。
「初の国務だもの。張り切っちゃうわ」
「でもミリア王女が自ら作られたお守りを彼らが貰うなんて羨ましいですよ」
「ふふふ、リッヒもお守りが欲しかったの?」
「ミリア王女の手作りのものでしたら、何でも大切にしますよ」
「あら、大げさね、リッヒは!では今度何か作って差し上げようかしら」
「はい、お願いします」
リッヒは嬉しそうな笑みを浮かべた。
(なんだか彼、私のこと敬いすぎじゃないかしら)
スノーランドの王族に相当な忠誠を誓っているのだろう。ミリアに対しても敬った態度を取る彼だ。
リッヒはソファーに座っているミリアに近づき、膝まずいた。そしてミリアの手をそっと取った。
「こんなに手が冷えてらっしゃる」
「ええ・・・」
リッヒは自身の手でミリアの手をさすった。リッヒの手は暖房器具のように暖かい。
「リッヒ、私の手冷たいでしょ?いいのよ、そんなことしなくて」
「いえ、こんな可愛らしい手が冷えては駄目です」
リッヒはミリアの手に顔を近づける。中指に彼の唇が触れた。
(今、指にキスした!?///)
「さあ、ミリア女王、冷えた体を温めましょう。もうすぐ温泉の準備が整いましたので、風呂場へどうぞ」
「わ、分かったわ///」
ードクッドクッ
(やだ、私だけ恥ずかしがってるみたいじゃない。リッヒってば天然タラシね・・・)
10
お気に入りに追加
795
あなたにおすすめの小説
【完結】優しくて大好きな夫が私に隠していたこと
暁
恋愛
陽も沈み始めた森の中。
獲物を追っていた寡黙な猟師ローランドは、奥地で偶然見つけた泉で“とんでもない者”と遭遇してしまう。
それは、裸で水浴びをする綺麗な女性だった。
何とかしてその女性を“お嫁さんにしたい”と思い立った彼は、ある行動に出るのだが――。
※
・当方気を付けておりますが、誤字脱字を発見されましたらご遠慮なくご指摘願います。
・★が付く話には性的表現がございます。ご了承下さい。
【R18】出来損ないの魔女なので殿下の溺愛はお断りしたいのですが!? 気づいたら女子力高めな俺様王子の寵姫の座に収まっていました
深石千尋
恋愛
バーベナはエアネルス王国の三大公爵グロー家の娘にもかかわらず、生まれながらに魔女としての資質が低く、家族や使用人たちから『出来損ない』と呼ばれ虐げられる毎日を送っていた。
そんな中成人を迎えたある日、王族に匹敵するほどの魔力が覚醒してしまう。
今さらみんなから認められたいと思わないバーベナは、自由な外国暮らしを夢見て能力を隠すことを決意する。
ところが、ひょんなことから立太子を間近に控えたディアルムド王子にその力がバレて――
「手短に言いましょう。俺の妃になってください」
なんと求婚される事態に発展!! 断っても断ってもディアルムドのアタックは止まらない。
おまけに偉そうな王子様の、なぜか女子力高めなアプローチにバーベナのドキドキも止まらない!?
やむにやまれぬ事情から条件つきで求婚を受け入れるバーベナだが、結婚は形だけにとどまらず――!?
ただの契約妃のつもりでいた、自分に自信のないチートな女の子 × ハナから別れるつもりなんてない、女子力高めな俺様王子
────────────────────
○Rシーンには※マークあり
○他サイトでも公開中
────────────────────
つがいの皇帝に溺愛される幼い皇女の至福
ゆきむら さり
恋愛
稚拙な私の作品をHOTランキング(7/1)に入れて頂き、ありがとうございます✨ 読んで下さる皆様のおかげです🧡
〔あらすじ〕📝強大な魔帝国を治める時の皇帝オーブリー。壮年期を迎えても皇后を迎えない彼には、幼少期より憧れを抱く美しい人がいる。その美しい人の産んだ幼な姫が、自身のつがいだと本能的に悟る皇帝オーブリーは、外の世界に憧れを抱くその幼な姫の皇女ベハティを魔帝国へと招待することに……。
完結した【堕ちた御子姫は帝国に囚われる】のスピンオフ。前作の登場人物達の子供達のお話に加えて、前作の登場人物達のその後も書かれておりますので、気になる方は是非ご一読下さい🤗
ゆるふわで甘いお話し。溺愛。ハピエン♥️
※設定などは独自の世界観でご都合主義となります。
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
【R18】英雄となった騎士は置き去りの令嬢に愛を乞う
季邑 えり
恋愛
とうとうヴィクターが帰って来る——シャーロットは橙色の髪をした初恋の騎士を待っていた。
『どうしても、手に入れたいものがある』そう言ってヴィクターはケンドリッチを離れたが、シャーロットは、別れ際に言った『手に入れたいもの』が何かを知らない。
ヴィクターは敵国の将を打ち取った英雄となり、戦勝パレードのために帰って来る。それも皇帝の娘である皇女を連れて。——危険を冒してまで手に入れた、英雄の婚約者を連れて。
幼馴染の騎士 × 辺境の令嬢
二人が待ちわびていたものは何なのか
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる