秘密の師弟関係

ほのじー

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スノーランド婚約結婚編

スノーランドでの生活

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「ミリ姉!!」
「エド!!」


ミリアとエドアルドは抱き合った。エドアルドは船が到着するのをスノーランドの船着き場待ってくれていたのだ。スノーランドは話で聞いていたとおり、地面や家が雪で被われていて気温もマイナスだ。


「もう、こんな寒いのに、待ってくれなくて良かったのよ」
「だって、ミリ姉初めての外国だろ?心細いかと思ってさ」


息を白く吐き、鼻を赤くさせたエドアルドはミリアにそう言って笑った。


「ふふふ、ありがとうエド!」


道行く人は、スノーランドの元祖であると言われている雪姫の絵姿にそっくりな二人をチラチラと見ていた。


「早く行こう、ミリ姉、おじいさまもおばあちさまも待ちくたびれてるよ!」
「うん、分かった!」





ーーー


「ミリア!!ようこそ来てくれましたね!」
「疲れただろう、食事まで部屋で少しゆっくりしておれ」


ミリアの祖父母であるスノーランド国王と王妃がミリアを抱きしめた。


「会いたかったです、おじいさまおばあさま!」


ミリアは自分を待ってくれていた人がいると思うと気持ちが上向いた。


(私は一人じゃないわ・・・)


執事に広い部屋に通され、ほっと一息ついた。



(さすが王城、広い部屋だわ)


ミリアは少し目を瞑り休憩をして、服を着替えた。いくつかの服が用意されていたが、エドアルドが注文をしたらしく、ミリアに合ったドレスがクローゼットに並べられていた。


(こんなに服が・・・なんだか申し訳ないわ)


ミリアは一番地味そうなグレーのドレスを見にまとい、食事へ向かった。





「ミリアお姉さま!」
「ミリアお姉さま!!」


ドアを開けると、六歳くらいの男の子と、十歳くらいの女の子がミリアのことを呼んだ。


(誰の子どもかしら)


「マリオ、ウェンディ、席に座りなさい!」
『はぁ~い』


国王がミリアへの歓迎の言葉を述べ、食事が始まった。


「やあ、ミリア、うちの子どもがごめんね」


そう謝ったのは次期国王で、ミリアの叔父のケネスだ。すでに四十歳近く、白髪も少し出てきているそうだ。ミリアの母ミーシャの弟にあたる。その側には奥さんであるカミラがにこやかに座っていた。


「うちの子たちと、こないだスノーランドに遠征公演に来ていたフェリス国劇団の“女戦士ミリア”を見に行ってきたんだけど、二人がハマってしまってね~。話の元になったっていうミリアさんに会えるって言ったら二人共興奮してしまって昨日からもう、うるさいのよ~」
「え!フェリス国劇団ここまで公演に来てたんですか!?」
「フェリス国劇団は世界一って言われるくらいこっちでも有名よ!しかも今回はスノーランド国王の孫の話だからって言うから公演数を倍に増やしたみたいだけど、即完売だったんだから!」



(うわ~皆に見られてるなんて、なんだか恥ずかしい・・・)



「ミリアお姉さま、ブラックスター・ソードは持ってきたんですか??」
「見たい!見たい!」


子どもたちがはしゃぐ。ブラックスター・ソードとはミリアがランドルフにもらった短剣である。劇中でミリアが剣を取り出すのだが、「このブラックスター・ソードであなたの愛を受け止める!」という臭い台詞のシーンがあるのだ。ミリアは決してそんな台詞を吐いたことはない。


(あんな台詞流行ってから、もう恥ずかしくてあの短剣使えないのよ!!)


ミリアは少しだけ劇団を恨んだ。


ミリアは次の日マリオに剣を教えることを約束した。ウェンディも見に来るそうだ。「皆に自慢するんだ!」と喜んでいた。


「ふふふ、可愛らしいわね、エド」
「よかった・・・ミリ姉少し元気になって。ランドルフ騎士団長のこと、ベラ様とかから手紙で聞いてたから・・・僕心配してたんだよ」
「・・・悲しいけど・・・エドもいるし、おじいさまおばあさまもいる。あんな元気な子どもたちもいるしね!元気出さなくっちゃ!」
「無理だけはするなよ、ミリ姉・・・」



ーキーーン

「マリオ、もっと腰を低く、剣に振り回されちゃだめよ!」


真剣に剣と向き合うマリオである。体力があるので力で押すスタミナタイプとなるだろう。この国は森などで狩りをする生活があるので、貴族も一般市民も剣を振るうのは珍しくない。彼は強い剣の使い手となるだろう。



「はぁ・・・はぁ・・・」


「マリオ、お疲れ様!!ウェンディも、ちょっと休憩しましょうか!」



ミリアと子どもたちは丘の上に寝転び休憩をした。丘は広く、どこまでも天然の白い絨毯が続いていた。

(ああ・・・ひんやりとした風が気持ちいい~・・・今頃ランドルフはどうやって過ごしてるのかな・・・)

「あ、ミリアお姉さま、あんなところにウサギがいるわよ!」
「早くきて、ミリアお姉さま!ウサギ逃げちゃう!」
「あ、本当だわ!」


ミリアはひょっこり現れた可愛らしいウサギに気をとられて、雪が凍った地面から足を滑らせた。


ーーーーーゴンッ!!!



「キャァア!ミリアお姉さま!」
「大丈夫!?しっかりして!」








ーーーーーここはどこ、私は・・・誰?






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