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スノーランド婚約結婚編
旅立ち
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『ねぇねぇ、お聞きになった?サド侯爵のご子息がアングレのお姫様に見初められたって』
『もうアングレ国王にも婚約できるようお願いしたみたいよ』
貴族、いや、国内中にそんな噂が広まっていた。ゴシップ紙にも『スクープ!サド侯爵ご子息ランドルフ、今話題のミリア・ロングと破局!新恋人はアングレのお姫様!!』とランドルフとヴィヴィアンがキスをしている写真と共に記事が掲載されていた。その端には以前スクープされたミリアとランドルフのデート写真が小さく乗っていて、その上にはハートが二つに割れたマークが付けられていた。
シャーロットの部屋の空気はどんよりとして暗くなっている。
「ミリア、私お兄さまに聞いてみたのだけど、今日アングレ国王の許可が出てしまったみたいね・・・これじゃもう勝ち目がないわ」
「・・・そうですか」
(この恋は諦めなきゃいけないのね・・・)
両思いとなり愛を少しずつ育んできた。スノーランドに挨拶に行こうねと言って二週間後に休みを取っていたのに、ランドルフはヴィヴィアンの専属護衛となり、さらに二人の縁談を進められるときた。もう約束が叶うことはないだろう。
「ミリア・・・ごめんなさいね。両国にとっても悪くない縁談だからお父様も話を進めるようにって・・・」
「いいんです。もし私がスノーランドのお姫様だったとしても、小国のスノーランドでは勝ち目がないんです。アングレとフェリス国が関係を持つことは良いことですもんね」
スノーランドの人口は少なく寒冷な地域なので食物も育ちにくいし、物産品もあまりない。それ上スノーランドは戦争に負けても、土地は取り上げられずに(管理が大変であるため)地元民が狩りなどをして自給自足の生活をしてきたのだ。
(スノーランドは自然が美しいっていうし、ゆっくり失恋旅行でもしようかしら)
「ミリア、気をつけて行ってらっしゃいね」
「はい、シャーロット様も体にはお気をつけて」
ミリアは騎士団を退職し、ミリアがリーダーをしていた慈善団体もしばらくの間、副リーダーであるランランに任せた。次にいつフェリス国へ戻るかは決めていない。
ミリアは船着き場まで馬を走らせた。スノーランドへはフェリス国から船で三時間とそこまで遠くないが、船は二週間に一便と少ない。ミリアは時間に遅れないように早めに出発したので余裕で到着した。
ボーーーーーー
『まもなくスノーランド便、出発致します』
家族の見送りなど、船着き場は人がいっぱいだ。涙を流す女性や子どももいた。
(船が出るわ)
船がゆっくりと動き出す。少しずつ陸から離れていった。
「ーーーミリア!」
(幻聴かしら・・・ランドルフの声・・・)
外をぼんやりと眺めていると、馬に乗って走ってくる男の人が見えた。
(ランドルフだわ!)
「ーーーミリア!俺はお前のこと愛してる!!」
「私もよ!ランドルフ!私も愛してる・・・!」
ミリアは船の上からめいっぱい叫び返した。
(でも、さようなら、私の初恋・・・)
ミリアはランドルフに一生懸命笑顔を向けた。
ランドルフがヴィヴィアンを好きでないことは分かっている。ランドルフがヴィヴィアンにキスをしたときもミリアに向けるような熱い目線はなかった。あの縁談がアングレとフェリス国を強く結ぶ鍵となるからこそ、きっと無下にはできなかったのだろう。
「ぅぅう・・・ううう」
ミリアはしゃがみこんだ。辛くて涙が止まらないのだ。
(最後私、ちゃんと笑えてたかな・・・)
ミリアはスノーランドに着くまでの間、じっと、アングレの方角を見つめていた。
『もうアングレ国王にも婚約できるようお願いしたみたいよ』
貴族、いや、国内中にそんな噂が広まっていた。ゴシップ紙にも『スクープ!サド侯爵ご子息ランドルフ、今話題のミリア・ロングと破局!新恋人はアングレのお姫様!!』とランドルフとヴィヴィアンがキスをしている写真と共に記事が掲載されていた。その端には以前スクープされたミリアとランドルフのデート写真が小さく乗っていて、その上にはハートが二つに割れたマークが付けられていた。
シャーロットの部屋の空気はどんよりとして暗くなっている。
「ミリア、私お兄さまに聞いてみたのだけど、今日アングレ国王の許可が出てしまったみたいね・・・これじゃもう勝ち目がないわ」
「・・・そうですか」
(この恋は諦めなきゃいけないのね・・・)
両思いとなり愛を少しずつ育んできた。スノーランドに挨拶に行こうねと言って二週間後に休みを取っていたのに、ランドルフはヴィヴィアンの専属護衛となり、さらに二人の縁談を進められるときた。もう約束が叶うことはないだろう。
「ミリア・・・ごめんなさいね。両国にとっても悪くない縁談だからお父様も話を進めるようにって・・・」
「いいんです。もし私がスノーランドのお姫様だったとしても、小国のスノーランドでは勝ち目がないんです。アングレとフェリス国が関係を持つことは良いことですもんね」
スノーランドの人口は少なく寒冷な地域なので食物も育ちにくいし、物産品もあまりない。それ上スノーランドは戦争に負けても、土地は取り上げられずに(管理が大変であるため)地元民が狩りなどをして自給自足の生活をしてきたのだ。
(スノーランドは自然が美しいっていうし、ゆっくり失恋旅行でもしようかしら)
「ミリア、気をつけて行ってらっしゃいね」
「はい、シャーロット様も体にはお気をつけて」
ミリアは騎士団を退職し、ミリアがリーダーをしていた慈善団体もしばらくの間、副リーダーであるランランに任せた。次にいつフェリス国へ戻るかは決めていない。
ミリアは船着き場まで馬を走らせた。スノーランドへはフェリス国から船で三時間とそこまで遠くないが、船は二週間に一便と少ない。ミリアは時間に遅れないように早めに出発したので余裕で到着した。
ボーーーーーー
『まもなくスノーランド便、出発致します』
家族の見送りなど、船着き場は人がいっぱいだ。涙を流す女性や子どももいた。
(船が出るわ)
船がゆっくりと動き出す。少しずつ陸から離れていった。
「ーーーミリア!」
(幻聴かしら・・・ランドルフの声・・・)
外をぼんやりと眺めていると、馬に乗って走ってくる男の人が見えた。
(ランドルフだわ!)
「ーーーミリア!俺はお前のこと愛してる!!」
「私もよ!ランドルフ!私も愛してる・・・!」
ミリアは船の上からめいっぱい叫び返した。
(でも、さようなら、私の初恋・・・)
ミリアはランドルフに一生懸命笑顔を向けた。
ランドルフがヴィヴィアンを好きでないことは分かっている。ランドルフがヴィヴィアンにキスをしたときもミリアに向けるような熱い目線はなかった。あの縁談がアングレとフェリス国を強く結ぶ鍵となるからこそ、きっと無下にはできなかったのだろう。
「ぅぅう・・・ううう」
ミリアはしゃがみこんだ。辛くて涙が止まらないのだ。
(最後私、ちゃんと笑えてたかな・・・)
ミリアはスノーランドに着くまでの間、じっと、アングレの方角を見つめていた。
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