秘密の師弟関係

ほのじー

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番外編(ただのエロコメディー)

団長補佐官の初恋(中)Side:マックス

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『お疲れさまでした、団長』
「ああ、おつかれ、エド、マックス。お前ら今から出かけるのか?」
「はい、セリーヌ通りのレストランに行くんです」
「ああ、夜道は気をつけろよ。マックス、エドを守ってやれよ」
「はい」




マックスは道場で背が一番低く、年下でそれがコンプレックスだった。剣道場の仲間であったエドはいつも頭を撫でてきたものだ。しかしある時から、マックスはそれがとても嫌になった。


(俺はそんな弟として見てほしくない)


いつも優しいエド。いつの間にかエドを見たり触ったりするとドキドキして、股間がむくむくと膨らむのが分かった。夢にエドが出てきて夢精も経験した。その時は何が起こったのか分からなかった。

しばらくして地元のお兄ちゃんが性について教えてくれた。しかし誰にも男に興奮しているなんて恥ずかしくて言えなかった。もちろん本人にもだ。


男を好きになるなんておかしいと思ったが、エドに気持ちを伝えようと思った。しかし伝えられずに、エドに怪我をさしてしまい、それから会うことはなかった。


(悔しくて、なんであの時伝えとかなかったんだって悔しくて、俺は毎日必死に頑張ったんだ・・・)


マックスの初恋は、伝えられず終わってしまった。その後ノアール騎士団に入った。


ノアール騎士団は性にオープンだったので男同士でヤルのも普通であるとそこで学んだ。先輩からの教えてもらったりと無駄に知識だけが増えていった。女性とも、新人の可愛らしい男の子とも一夜経験してみたが、エドを思う時のような興奮は得られなかったが。



(またエドと会えたのも運命かな・・・)



再会したエドは、背もほとんど変わらず、少年の時のまま時が止まったようだ。しかしなにか色気も含まれて、マックスは少年時代以上の興奮を覚えた。


エドとマックスはセリーヌ通りで食事することとなった。ここはレストランやバーで夜とても賑やかだ。

週末の夜で人通りはいっぱいである。マックスはエドの手を握りしめた。


「ほら、お前とはぐれたら駄目だろ?」
「そうだね!」


(手が汗ばんでるの気づかれねぇかな)


ドキドキと胸が高鳴る。エドの横顔をチラリと見やると、エドもこちらの視線に気づいた。



ーー浅い水辺のような青に吸い込まれる




「マックス?」
「ん?あ、ああここにしようか」



羊料理が自慢のたくさん飲んで食べれるその店に入ることにした。

「じゃ、再会を祝って、乾杯」
「乾杯~」

ひとまずビールで乾杯し、羊料理を次々と頼んだ。癖のある味付けに手が止まらない。


「わ~マックスよく食べるね」
「ああ、エドもたくさん食べないと仕事中倒れるぞ。そんな痩せててよく騎士になったな」


エドの腹は女のように締まっていて、食事をする手も女のように細く、肌もきめ細かい。


「いやぁ僕は元々文官で、ブラン騎士団の会計士が欲しいってなった時に僕が行くことになったんだ」
「へ~まぁ今度手合わせ願おうかな」
「団長補佐の実力には到底敵わないよ~お手柔らかにね。ふふっ。マックス口にクリーム付いてるよ」

エドは手を伸ばし、マックスの口の横のクリームを指で取る。


ーーパシッ


エドの腕を掴んだ。彼はビックリした表情をしている。


「お、おいエド。俺はもう立派な大人だ。今お前を押し倒して襲うこともできるんだぜ。子供扱いすんなよ」
「ご、ごめん。つい・・・」
「分かってくれりゃいいってことよ」



ー二時間後ー


「うにゃ~マックス~よしよしさして~」
「はぁ・・・まったく子供扱いするなっていったのに・・・」


エドは酔っぱらって座っているマックスの頭をよしよしと撫でている。


「おい、もう飲むの辞めとけよ、エド」
「あんなちっちゃかったマックスが・・・こんな大きくなっちゃって・・・うわ~ん」
「ちょ、ちょっと!もう店出るぞ。送ってくから!」


マックスはエドの腰を支え、家の場所を聞いてだいたい把握する。


(本当に腰ほっせ~な。しかも、すげーいい匂いする)


体を支えているので身体はかなり密着している。


(ん?胸になんか付いてる?)


エドの背中を支えるときになにか分厚い布のような手触りがした気がした。するとエドはよたよたとベンチに向かっていく。


「ちょっと、ベンチで休憩しよぉ~」
「はいはい、よっこいしょっと」



エドをベンチに座らせる。エドはうにゃうにゃと眠たそうにしていた。


「まったく、人の気も知らないで」


マックスはタオルを濡らせ、エドの汗を拭き、その頭にタオルを置いてあげた。


「ほら、水だ、飲めよ」



ーーごくっごくっごくっ


エドは水を口に含ませ、タラタラと口の端から水が溢れているにも関わらず一心不乱に水を飲んでいた。


「冷たくて、きもちいい~もっとちょ~らい」


「ぐっ・・・」


あーんと口を開けるエドから赤い舌が見えた。顔を赤らめトロンとした目でマックスにおねだりする情景は、まるで情中に彼のモノをねだっているようだ。


(ああ、やべ~、すげー興奮してきた)


「ほら、いっぱい口から漏れてるから、口移しで飲ませてやるよ」


そう言って口に水を含み、エドの顔にゆっくりと顔を近づけた。



「ーーーエド!!」


振り向くと必死な表情をしたランドルフが立っていた。汗をかいていて、必死に二人を探していたようにも見える。


「あ、ししょ~~」
「はぁ・・・やっぱお前飲んだのか・・」
「だっこ~」
「はいはい」


ランドルフはエドをヒョイっとおんぶして、マックスに向かった。


「エドは俺が送ってくから、お前はもう帰れ」
「でも・・・」
「ししょ~、ぎゅ~ってしよ」
「はいはい、家に帰ってからな」



(なんだ、この二人の関係は・・・)


剣道場にいる時は師匠と弟子の関係でそれ以上も以下も絶対になかった。ずっとエドを見ていたのでそれは間違いない。


(俺がいない間に何があったんだ・・・)



エドはランドルフにおぶわれて、エドの家と違う方向に去っていった。マックスはドンッと壁を殴った。まわりの歩行者は驚いてそそくさと歩いていく。


(十歳のときから俺はエドが好きだったんだぞ・・・初恋だったんだぞ。師匠はそんな素振り一つもなかったじゃないか!)


あのランドルフがエドを見たときの顔と、エドがランドルフを見ときの顔。それは二人にだけしか分からないような、甘い空間があった。まるで誰も入る隙がないような・・・



「くそっ・・・」


マックスは悔し涙を流した。





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