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終章:師匠との恋
最終決戦!!Side:ランドルフ(前)
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※ランドルフが騎士団を去った直後からの話です
ランドルフは実家に戻り、父と母と話し合った。貴族絶対主義であり、ランドルフといつも口論になっていた父も、今では少し丸くなり、ランドルフが戻ることを歓迎していた。
「お前の叔父さんもその娘のエステルもしょっちゅううちに来て、ランドルフはまだ戻らんのかとうるさかったんだ。これを期に婚約を再開したいと言っていたよ」
「・・・父さん、実は俺には好きな女がいるんです。結婚もその人しか考えられません」
彼の眉毛が少し上がる。これは不機嫌になった時にする彼の癖だ。
「お前は次期侯爵となるのだぞ、どこの骨かもしらん女を認める訳にはいかんぞ!」
「いや、でも・・・」
「この話は止めだ、とにかくお前は跡取りとしてまた教えることがたくさんある。早く仕事を覚えるんだ」
ランドルフのこの話はそれから何度言っても取りあってもらえず、一日一日が過ぎていった。外部との接触もしばらく禁止され、ミリアに手紙の一つも書くことができない。
(くそっ・・・地位がないとスノーランド国王も俺を認めてくれないだろうに、しかし彼女はこの国では平民扱いで板挟みだ・・・)
ずっと会えていないミリアを思い、心を痛める。
(きっと、怒ってるだろうな)
なにも言わずに騎士団から出ていってしまった。まだミリアから好きと言われていないのに、婚約するための準備をするなんて、恥ずかしくて言えなかった。
(ああ・・・どんだけミリアを好きなんだよ、俺は)
「はっ・・・んっ・・・」
夜はミリアにキスをした夜のことを思いだし、自分の息子を慰める。何度吐き出してもランドルフの気分は一向に上向かなかった。
(頭脳も顔も良いキースが上手いことミリアを慰めて、キースを好きになってしまわないだろうか・・・)
騎士団を出ていくときにされたキースの宣言を思い出す。
(一刻も早く、父に認めてもらわないと・・・)
時が過ぎ、とうとうランドルフの御披露目パーティーの日となった。ランドルフは父の横に控え招待客に挨拶をしていった。王城で働いていたので、顔も見知っている貴族も見えた。途中シルベスターの馬車が到着したとざわざわしだす。
(シルベスターも来てくれたんだ)
なんといってもこの国の王子である。彼の友人だと皆に知らしめることができればランドルフも安泰だ。そう気がゆるんだ時であった。
数秒の沈黙が会場を襲う。
『誰、あの方』
『なんか、神々しい・・・』
『どこの姫だ?』
全身ランドルフの髪と目の色である黒のドレスに身を包んだミリアが、シルベスターの横に立っているではないか。
(なんで彼女が・・・!!)
無情にも皆ミリアとシルベスターに注目し、ランドルフはミリアとの距離に絶望しかかったが、シルベスターとミリアが主催者である父の方へ向かってきた。
「お久しぶりですね、サド侯爵。ランドルフも、久しぶりだな」
「殿下、これはこれは、愚息のお披露目パーティーにお越しくださいましてありがとうございます」「ありがとうございます」
(ミリア、こっちを見てくれ)
シルベスターとミリアは父と少し話をしていたが、父の乾杯の音頭の時間となり、話を切り上げ本格的にパーティーが開始された。
ランドルフとエステルはファーストダンスを踊るよう父に言われ、断れずに踊ったのだが、ランドルフの頭の中はミリアでいっぱいだった。エステルに「また会えて嬉しいわ」とか「皆私たちのことお似合いだって」みたいなことを言われたが、ランドルフは上の空で生返事した。
少ししてシルベスターとミリアがダンスを踊りだした。シルベスターもどことなく楽しそうだ。
(ダンスなのにまるで、男に戦いに挑む女戦士だ・・・)
チラチラと見える足に、仰け反る腰、色っぽい玉の汗を吹き出して様々なシルベスターの要求に答えるミリアは、シルベスターという芸術家が作り出した芸術作品のようだ。その動きは招待客全てを魅了していた。
(シルベスターをそんな表情で見つめないでくれ・・・)
ランドルフはミリアの瞳に映る全ての男に嫉妬しそうになる。この会場にいる全ての者の目を潰してしまいたいくらいだ。俺は男たちに囲まれているミリアの元へ向かう。
「殿下、是非とも私が彼女とダンスを踊る許可を」
「・・・う~ん、断るよ。今日は僕のパートナーだから、誰にも踊らせないよ。特に彼女を不安にさせた君にはね」
「っ・・・」
(自業自得だと分かってるが・・・くそっ)
するとミリアがやっと自分を見てくれたと思ったのもつかの間、彼女は想定外の言葉を発したのだった。
「私、ミリア・ロングはランドルフ・ド・デルタに決闘を申し込みます!」
(そんなに俺が憎いのか・・・ミリア)
「ランドルフ騎士団長、いえ、師匠。私はあなたが好きです。・・・もし勝ったらあなたの恋人にしてください!」
ミリアの目は真剣である。今すぐにも抱き締めたいが、彼女の本気の挑戦にノーとは言えなかった。
ランドルフは実家に戻り、父と母と話し合った。貴族絶対主義であり、ランドルフといつも口論になっていた父も、今では少し丸くなり、ランドルフが戻ることを歓迎していた。
「お前の叔父さんもその娘のエステルもしょっちゅううちに来て、ランドルフはまだ戻らんのかとうるさかったんだ。これを期に婚約を再開したいと言っていたよ」
「・・・父さん、実は俺には好きな女がいるんです。結婚もその人しか考えられません」
彼の眉毛が少し上がる。これは不機嫌になった時にする彼の癖だ。
「お前は次期侯爵となるのだぞ、どこの骨かもしらん女を認める訳にはいかんぞ!」
「いや、でも・・・」
「この話は止めだ、とにかくお前は跡取りとしてまた教えることがたくさんある。早く仕事を覚えるんだ」
ランドルフのこの話はそれから何度言っても取りあってもらえず、一日一日が過ぎていった。外部との接触もしばらく禁止され、ミリアに手紙の一つも書くことができない。
(くそっ・・・地位がないとスノーランド国王も俺を認めてくれないだろうに、しかし彼女はこの国では平民扱いで板挟みだ・・・)
ずっと会えていないミリアを思い、心を痛める。
(きっと、怒ってるだろうな)
なにも言わずに騎士団から出ていってしまった。まだミリアから好きと言われていないのに、婚約するための準備をするなんて、恥ずかしくて言えなかった。
(ああ・・・どんだけミリアを好きなんだよ、俺は)
「はっ・・・んっ・・・」
夜はミリアにキスをした夜のことを思いだし、自分の息子を慰める。何度吐き出してもランドルフの気分は一向に上向かなかった。
(頭脳も顔も良いキースが上手いことミリアを慰めて、キースを好きになってしまわないだろうか・・・)
騎士団を出ていくときにされたキースの宣言を思い出す。
(一刻も早く、父に認めてもらわないと・・・)
時が過ぎ、とうとうランドルフの御披露目パーティーの日となった。ランドルフは父の横に控え招待客に挨拶をしていった。王城で働いていたので、顔も見知っている貴族も見えた。途中シルベスターの馬車が到着したとざわざわしだす。
(シルベスターも来てくれたんだ)
なんといってもこの国の王子である。彼の友人だと皆に知らしめることができればランドルフも安泰だ。そう気がゆるんだ時であった。
数秒の沈黙が会場を襲う。
『誰、あの方』
『なんか、神々しい・・・』
『どこの姫だ?』
全身ランドルフの髪と目の色である黒のドレスに身を包んだミリアが、シルベスターの横に立っているではないか。
(なんで彼女が・・・!!)
無情にも皆ミリアとシルベスターに注目し、ランドルフはミリアとの距離に絶望しかかったが、シルベスターとミリアが主催者である父の方へ向かってきた。
「お久しぶりですね、サド侯爵。ランドルフも、久しぶりだな」
「殿下、これはこれは、愚息のお披露目パーティーにお越しくださいましてありがとうございます」「ありがとうございます」
(ミリア、こっちを見てくれ)
シルベスターとミリアは父と少し話をしていたが、父の乾杯の音頭の時間となり、話を切り上げ本格的にパーティーが開始された。
ランドルフとエステルはファーストダンスを踊るよう父に言われ、断れずに踊ったのだが、ランドルフの頭の中はミリアでいっぱいだった。エステルに「また会えて嬉しいわ」とか「皆私たちのことお似合いだって」みたいなことを言われたが、ランドルフは上の空で生返事した。
少ししてシルベスターとミリアがダンスを踊りだした。シルベスターもどことなく楽しそうだ。
(ダンスなのにまるで、男に戦いに挑む女戦士だ・・・)
チラチラと見える足に、仰け反る腰、色っぽい玉の汗を吹き出して様々なシルベスターの要求に答えるミリアは、シルベスターという芸術家が作り出した芸術作品のようだ。その動きは招待客全てを魅了していた。
(シルベスターをそんな表情で見つめないでくれ・・・)
ランドルフはミリアの瞳に映る全ての男に嫉妬しそうになる。この会場にいる全ての者の目を潰してしまいたいくらいだ。俺は男たちに囲まれているミリアの元へ向かう。
「殿下、是非とも私が彼女とダンスを踊る許可を」
「・・・う~ん、断るよ。今日は僕のパートナーだから、誰にも踊らせないよ。特に彼女を不安にさせた君にはね」
「っ・・・」
(自業自得だと分かってるが・・・くそっ)
するとミリアがやっと自分を見てくれたと思ったのもつかの間、彼女は想定外の言葉を発したのだった。
「私、ミリア・ロングはランドルフ・ド・デルタに決闘を申し込みます!」
(そんなに俺が憎いのか・・・ミリア)
「ランドルフ騎士団長、いえ、師匠。私はあなたが好きです。・・・もし勝ったらあなたの恋人にしてください!」
ミリアの目は真剣である。今すぐにも抱き締めたいが、彼女の本気の挑戦にノーとは言えなかった。
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