秘密の師弟関係

ほのじー

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終章:師匠との恋

最終決戦!!(後)

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「父上、俺は彼女を愛しています。俺たちの婚約をお認めいただけませんでしょうか」



ランドルフは父であり侯爵に向かい、頭を下げた。それを見たシルベスターは二人に近づいていった。



「侯爵殿、僕からもお願いするよ。ちなみに認めなかったら第二女王と正妃からどんな報復をされるか分からないから覚悟しないとだよ」


権力に弱いサド侯爵の性格を把握しているシルベスターはもう一押しした。最も、報復の件は間違ってはいないだろう。王家の女はとても怖いのだ。



サド侯爵はポツポツと話しだした。


「・・・こんな素敵な女性がいたなら、そう言ってくれれば良かったのだ。お前が好いている女がいると聞いたとき、てっきり平民でお前の権力と金目当てのつまらん女だと思ったんだ。エステルとの件は、なしにしてもらおう・・・彼女との交際は認める。ただ、婚約の話は、まだお前の母さんの許可や、叔父さんにエステルとの婚約をなしにする旨を説明せねばならん。とりあえず保留とするが出来る限りお前の希望に沿おう」


ミリアは元々平民なのだが、王族の血が流れているならば話が違うだろう。ミリアがたとえ平民だったとしても、ランドルフの気持ちは変わらないのだが。


「ありがとうございます」
「ありがとうございます」


ミリアとランドルフはサド侯爵に再び頭を下げ感謝を述べた。二人は目を合わせ、幸せそうに微笑んだ。




ーーーピリッ



嫌な気配を感じ振り返ったミリアの前にはランドルフが立ちふさがっていた。


ーーーザクッ


ミリアが投げ捨てた剣を持ったエステルが、ミリアに向かって振り上げたのをランドルフがその胸に受け止めたのだ。ランドルフの胸から血がドクドクと溢れ出す。




「いやぁあああああああ!!!!」



ミリアは絶叫する。エステルはハッと我に返り、顔が青ざていく。



ランドルフは運ばれていく直前、ふっとミリアに甘い笑顔を見せ、彼は病院へ運ばれていったのだった。







ーピーッピーッピーッ



電子音が鳴り響く。彼は血を大量に失っていた。応急処置の後、王都の巨大病院の医療設備へと運ばれていった。この病院は王都研究所と医療学校が提携した、この国一、いや、世界一の設備が整っていることで知られている。



「師匠、早く起きてくださいね・・・もっとあなたに好きだって伝えたいですから」


ランドルフは手術の後、病院のベッドでまだ寝ていた。幸いにも心臓へのダメージはなく、彼の心臓がトクトクと鳴っていた。



ミリアは眠っているランドルフにゆっくり顔を近づけ、唇にキスをした。




ーー「ん!!」



いつの間にかミリアの頭ががっちりとホールドされ、ミリアはランドルフの唇から離れられない。舌がにゅるっと侵入してきて、ミリアの舌をくちゅくちゅと掻き乱した。


「んんんん!!」


するとランドルフの目がパチリと開いた。


「はぁ・・・し、師匠っ・・・」
「おはよう、可愛いミリア。俺も君が好きだよ」
「お、おはようじゃないですよ!!どんだけ心配したと思ってるんですか!!」


ミリアは元気そうなランドルフにホッとして、キスをしたランドルフをポカポカと叩いた。


「うっ・・・」


「ご、ごめんなさい!!今すぐお医者さん呼んできます!!」


ーーーガラガラ


「おい、起きたのかランドルフ」


そこから五十代程のお医者さんと、シルベスターが部屋に入ってきた。


「ああ、今ミリアとイチャついてるから少し出てってくれ」
「なっ・・・!!///」


ランドルフの発言に顔を赤くするミリアである。お医者さんとシルベスターはあきれ果てた顔をしていた。


「はぁ・・・お前の傷をどれだけ治してきたと思ってるんだ。懲りもせずまた一つ傷を増やしやがって。今から検査するのでお連れの方、少し外でお待ちいただいても宜しいかな?」
「僕も彼には聞くことがあるからね、ちょっと待っててね、ミリアちゃん」
「は、はい!!」


ミリアは部屋を出て待合室で待機していた。しばらくしてお医者さんとシルベスターが出てきて、数日入院すれば退院できるので、心配しないように言い去っていった。




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